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越智資行 有機農家
上の写真は、ある日の山道で見つけた自然の色です。自然はアーティストです。人の心が豊かになります。美術館で絵画を眺めるように、しばらく見入ってしまいました。

有機農業では、この自然のアートが非常に参考になるのです。

美味しい野菜の色

例えば、「美味しいホウレンソウは、どんな色?」と質問されたら、「濃い緑色」とほとんどの人が答えると思います。私もそうでした。でも、違います。答えは「野草の色」なのです。

「濃い緑色」のホウレンソウは、栄養過多で育ったホウレンソウなのです。生で食べると渋みやエグみが舌に残ります。でも「野草の色」のホウレンソウは、やさしい自然の甘みだけが舌に感じられます。そして、茹でると鮮やかな緑になります。

「ダイコンの葉は大きいのに根が太らない」、「トマトの花が落果する」、「サツマイモのツルだけ伸びる」など、よく質問されます。これはすべて栄養過多の症状です。その作物の葉の色を視ると、どれも濃い緑色をしています。一般的に家庭菜園では、作物の調子が悪いと肥料が足らないと判断し、すぐに追肥してしまいます。

この追肥がさらに作物の状態を悪化させます。私が相談を受けた内容のほとんどが栄養過多の症状です。人と同じで、栄養過多はいろいろな病気の原因になります。人は食べることを制限できますが、野菜たちは、水の浸透圧で根から余分な栄養が吸収されてしまうのです。

追肥してしまった肥料分を土から取り除くことはできません。そういう場合、私は、水やりの時に500〜1000倍に希釈したEM活性液※で潅水(かんすい)することを勧めています。

土の状態

土が肥えると、黒っぽくなります。そして、小動物や微生物の働きで団粒化構造になります。良い土は、耕さなくてもフカフカです。

我家の畑には、不耕起栽培をしている場所があります。でも10年前は、マサ土(花崗岩風化土壌)で埋め立てたので、運動場のような土でした。そこで、土が肥えていない初めのうちは、マメやサツマイモ、ジャガイモなどを栽培し、だんだん肥えてきたと思ったら、葉もの野菜の種をまきました。それらがだいたい栽培できるようになってから、ナス、トマトなどの果菜類を定植しました。土の肥沃度で作物を選びました。

その肥沃度は、そこに自生する野草でだいたい判断できます。概略ですが、肥えていない土には、イネ科などの葉が細い野草が自生し、肥えてくると葉が大きい野草が自生します。さらによく観察すると、湿気の多いところに自生する野草、酸性土壌に自生する野草などなど、野草は土の状態の違いで、種類が違うのです。

「畑にスギナが繁殖して困る」とよく聞きます。スギナは酸性土壌に自生する野草です。石灰を多めに入れて酸性土壌を中和してやると、自然にスギナは自生しなくなります。スギナには除草剤ではなく、石灰でいいのです。もちろん、土づくりをきちんとすることが最も重要なのは言うまでもありません。土のバランスがよくなると石灰を入れる必要もなくなります。

野草の花

ハルジオン
クサフジ
シロバナサクラタデ
野草の花々が四季を教えてくれる。春:ハルジオン、夏:クサフジ、秋:シロバナサクラタデ
野草は、自然の中で育っています。野菜は人の都合で育てています。私は、野菜栽培も自然の中で育てるためには、その野菜の育ちたい時期を見極めることが最も必要だと考えています。

しかし近年、寒波や猛暑など異常な気候になっています。例年通りの栽培経験では、野菜の育ちたい時期を見つけることが困難です。野菜の育ちたい時期は、人の経験ではなく自然の指標から見つけることが、今後の栽培に重要です。

梅の花が咲くころ、地元のおじさんに「今年は雨が多いぞ」と教えていただきました。理由は、梅の花が下を向いて咲いていたからだそうです。ちなみに昨年は、上を向いて咲いていたそうで、雨が少なく農作業に困ったことを思い出しました。

自然の草花は、自然のことをよく知っています。1年を通して野草は色とりどりの花を咲かせ、楽しませてくれます。毎年、野草の花は必ず咲きます。でも同じ日ではありません。きっと理由があるのです。

私は、昨年から野菜の世話をしながら野草の咲く時期を観察しています。将来、「この野菜は、この野草が咲くころが栽培適期」と、自然が指標の栽培ができるようになりたいからです。1年に1度しか経験できない栽培なので、一生かかっても30〜40回くらいしか観察できません。1つの作物でもいいから、楽しく見つけたいと思います。

自然観察が大好きな私は、こんなにおもしろい仕事は他にはありません。有機農業は、自然の観察力が重要な栽培技術だと、日々楽しく実感しています。

過剰に投入された有機物は、根の周りで腐敗し始め、作物に悪い影響を与えるので、土壌中の有機物の分解を促進するEM活性液の潅水は効果的です。他にもEM活性液には定期的に散布を続けることによって悪玉菌の発生を抑制し、微生物層を活性化して土壌を豊かにする働きがあります。生育中は10〜15日に1回を目安に1000倍に希釈して散布するなど、EM活性液の散布はEMを使用した栽培のもっとも基本的な使用方法です。詳しくはEM使用マニュアル栽培編[PDF]をご覧下さい。

掲載日:2008年6月25日
越智資行 プロフィール

おち・もとゆき
1967年大阪市生まれ。31歳までは大阪の電力会社に勤務。 1992年休職し、青年海外協力隊に参加。先進国の利益のために自然環境が悪化している途上国の生活を知る。1995年復職。余暇で自然環境の専門学校に通い、1997年卒業。ある時から"農業にこそ真の 豊かさを伝える原点がある"と考えるようになり、脱サラして就農することを決意。1998年父親の出身地である瀬戸内海の大三島に家族で移住し就農。現在、約70aで野菜や果樹、稲作栽培、養鶏などで産直販売をしている。また地元生産者らと有機野菜グループ「家庭菜園」を結成し共同出荷を開始。その他、NPO「大三島愛らんど自然倶楽部」や「大三島自然探検隊」なども立ち上げ、EM活用も含めた多彩な環境保全活動を展開。家族は両親と奥様、そして元気な3人の息子さん。


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