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吉田俊道 NPO法人大地といのちの会理事長

生ごみという要らないものを使って、大地を菌ちゃん(微生物)だらけにします。その力で、農薬不要の元気野菜を育てて、味とパワーを実感しながら食べる。このことが、日本中の保育園や幼稚園で当たり前のようにできることが私の夢(目標)の1つです。

生ごみリサイクル元気野菜づくりの一連の循環体験を自分の手で実体験した子どもの感性は、大きく変わります。「世の中に要らないものなんて無いんだ」ということを実感するのです。生ごみも、みんな菌ちゃんの力でよみがえるのです。菌ちゃんとは、もののけ姫の“しし神様”。いのちを復活させる、循環の神様です。

子どもが変われば、お母さんが変わる。保育園の食が変われば、家庭の食が変わる。幼児という物まねをして生きるこの時期にこそ、親子で菌ちゃんを使った最高の元気野菜をつくって食べることが子育ての常識になっていくと良いですね。生まれたての頃は、みんな天使様です。この時期に、自分が多くの生き物たちに支えられて生きていることを体感して欲しいです。

“おなか畑”をつくる畑づくりから始めよう!!

生ごみマジック ─ 今年の夏の目標は、保育園児・幼稚園児が自分でつくったとびっきり元気で美味しい野菜を食べることです。コラム第1回目では、元気野菜づくりに取り組みたい保育園・幼稚園を読者の皆さんに見つけておいてと提案しましたが、見つかりましたか?それでは実行への準備が必要です。そのためには、まず野菜を育てる畑をつくる段取りをしましょう。

①畑
土の表面に白カビがみえます。目に見えない微生物の働きを目にすることができる状況です

土の表面に白カビがみえます。目に見えない微生物の働きを目にすることができる状況です

同10ページ右上写真 枠をつくって、畑と通路を区切ります

土の表面に白カビがみえます。目に見えない微生物の働きを目にすることができる状況です

広さは半畳からでも大丈夫。日の当たる運動場の隅などにブロックや板などで枠をつくってください。そしてできるだけ排水の良さそうな黒い土を集めて入れてください。使い古しのプランターの土もOKです。日頃から校内清掃の時などに出る雑草ごみをどこかに積んでおくと良いですね。半年ほどで、積み上げた内部はぼろぼろの状態になっていますから、そんな腐葉土も入れたら最高です。

園の近くに畑がある場合は、幼児が作業しやすいように、最初からウネ幅を70cm程度に狭くして、溝の部分と通路をはっきり区別できるようにつくります。歩くところと歩かないところを明確に区別しないと、子どもたちに踏み固められてしまいます。

生ごみを畑に入れる際に注意することですが、土が濡れすぎていたら生ごみを混ぜると腐敗しやすくなります。反対にカラカラ状態に乾燥しすぎでも生ごみは分解しません。ややしっとりした感じの状態が最適です。ここが一番肝心で、生ごみを入れる前、数日の間、もし雨が降りそうでしたら、前もってシートで広く覆って、絶対に土が濡れないようにしておいてください。

②生ごみ
生ごみの量は、1平方メートルの畑に対して約10〜15kgが必要です。足りない分は、給食の調理クズ、または八百屋さんやスーパーに頼んで野菜クズを分けてもらうことです。たいていは喜んで協力してくれますよ。
生ごみを土に入れて混ぜます。元気な土づくりの第1歩です

生ごみを土に入れて混ぜます。元気な土づくりの第1歩です

土に還るものなら何でも良いのですが、特に皮や芯、ヘタ、サヤ、タネなど野菜の調理の際に出るごみの中には、微量ミネラルやファイトケミカル、その他様々な未知の成分が凝縮されていますので、これが後でとっても元気で美味しい野菜が育つもとになります。肝心なことは、子どもたちの生活の中から出てきた生ごみを使うことです。そうすると、その後の子どもたちの関心度が違ってきます。

本来、生ごみはEMボカシ和えして、嫌気発酵処理をしてから土に戻すのが分解も早く、良い土づくりの基本です。今回は、初めての保育園・幼稚園がより手軽に、失敗無くできる方法として、新鮮な生ごみを土に直接入れる方法で次回から説明していきます。

ところで、「生ごみを子どもに持たせるなんて・・」と、衛生・清潔面に敏感に反応する保護者から苦情が来ることを懸念して取り組みにちゅうちょ躊躇することがあるとしたら、その対策として保護者に安心していただけるようにお便りを書いて欲しいのです。その文面のヒントを末尾に紹介しますので、活用してください。きっと、「こんな厄介ものの生ごみから本当に美味しい野菜ができるのかしら」とびっくりするような話しに、保護者らも喜んで協力してくれることでしょう。

③その他準備するもの
軍手、土を混ぜる道具(幼児の場合、小さめのスコップか移植ゴテが良い。プラスチック製は不可)、ブルーシート、EMボカシ、枯れ草、シートを押さえるための石などの重し、土が乾きすぎていた場合に水を加えるためのジョロ。

以上で準備は完了です。次回から、いよいよ子どもたちと“いのちの循環”体験をしましょう。

保護者宛のお便りの文案

食育の一環として、生ごみを使ってとても美味しいお野菜を育てます。その体験を通して、子どもたちと一緒に、地球さんと自分のいのちのつながりを感じ、野菜をとっても大切に感じながらいただくところまでたどり着きたいと思っています。つきましては、下記の通りご家庭のご協力をよろしくお願いします。

○月○日○曜日の登園の時、生ごみを園児に持たせてください。初めての取り組みですから、抵抗感がないように、生ごみは野菜の調理の際に出る皮や芯、へた、サヤ、タネ、出しに使った昆布や煮干し、お茶ガラなどを主体にしてください。(今回は、魚の骨や内臓、食べ残しなどは入れないでください)

衛生的に行いたいので、新鮮なものを持参してください。前日、前々日の生ごみは、冷蔵庫で保管して置いて、当日朝持参させてください。

なお、生ごみを土に混ぜるときも、後で不衛生にならないように、有用微生物がいっぱい入ったEMボカシというものを一緒に混ぜます。すると、生ごみは腐らずに、良い発酵をして1週間程度で大部分が分解されますのでご安心ください。 なお、当日朝、実際に生ごみを土に帰す作業を園児と一緒に行いますので、ご参加いただけると助かります。

※編集部より
5月の吉田さんの講演予定のお知らせ。詳細は各主催者へ
5月8日(土)13:30〜
会場 大分市東春日町 アイネス大会議室
おおいた有機農業推進ネットワーク設立1周年記念シンポジウム
問合せ 大分県農林水産部おおいたブランド推進課 大西さん

5月11日(火)14:00〜16:30
会場 茨城県下妻市 大宝保育園 参加費500円
「生ごみリサイクル元気野菜&元気人間作り」
主催・問合せ:大宝保育園(0296-43-6464)

5月15日(土)13:30〜16:30
会場・江戸川区 篠崎文化プラザ
田中優「奪い合う世界と日本の危機的状況」
吉田俊道「土作りと元気野菜から見える未来」
対談「奪い合う過去から循環する未来へ」
資料代 500円
主催・問合せ 足温ネットえどがわ 03-3654-9188

5月27日(木)福岡県で第18回環境自治体会議
生ごみの分科会で吉田が発表とコーディネーターを務めます。
詳しくは http://www.town.oki.fukuoka.jp/tiggokaigi/tiggokaigi_11.htm

掲載日:2010年4月26日



よしだ・としみち
NPO法人大地といのちの会理事長。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県の農業改良普及員に。96年、県庁を辞め、有機農家として新規参入。99年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜作りと元気人間作りの旋風を巻き起こしている。2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)。長崎県環境アドバイザー。主な著書は「いのち輝く元気野菜のひみつ」「生ごみ先生のおいしい食育」「まるごといただきます」など。


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