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吉田俊道 NPO法人大地といのちの会理事長

芝や樹木と生ごみを堆肥に



日本の堆肥技術を指導する


堆肥と作物の関係はあまり知られていない
2日目は、ヤジンカットコンポストセンターで堆肥づくりを視察しました。現在のところ、試験段階の比較的小規模での取り組みですが、芝や樹木の選定屑を80%、生ごみを20%合わせて堆肥を作り、その堆肥で野菜を試作していました。

北クチン市はとにかく緑が多く、毎日膨大な量の芝や樹木の選定屑が出てくるそうで、これで作った堆肥ならミネラル抜群ですから、有機農家の私としては本当にうらやましい限りでした。

雨が多い時期は悪臭が出て困っていたそうですが、EM活性液を散布する指導を受けて以降は、ニオイがほとんど無くなったそうです。この日も、発酵中の堆肥はやや水分過剰状態でしたが、悪臭を餌にして食べる光合成細菌類がうまく働いている堆肥も、その堆肥からにじみ出た液がたまっている小さな池もほとんど無臭でした。池の近くの草だけ、青々と茂っていて、これにはびっくりしました。

堆肥と作物の関係を伝授



堆肥の浸出液が流入した池
完成した堆肥で生育中のトマトがやや黄色くなっていました。私は、ハダニが原因であること、堆肥をあと数か月熟成させてから使うと、ハダニはつきにくくなること、またこの堆肥ならミネラル効果で、トマトが柔らかい味になることや、できた野菜の栄養分析をして、「この堆肥の素晴らしさを表示して付加価値をつけて売ってはどうか」と助言しました。

コンポストセンターの所長や担当者は、堆肥の出来が、病虫害の程度や野菜の味に大きく関係していることを具体的に知って、今後の改善目標がわかり、大変喜んでいました。

また、各家庭での生ごみリサイクル元気野菜作りを普及させる場合、EMボカシを自分たちで作る必要があるが、原料の米ヌカは入手しにくいということでした。

そこで一案として、現在作っている堆肥の生ごみの割合を減らして、窒素含量の少ない堆肥を作れば、それがボカシの代用になること。または、サトウキビの搾りかすやココナツの殻の粉末なら十分あるそうなので、まずEM拡大培養液を作ってそれを染み込ませるだけでボカシの代用になれることを説明しました。今後実際にやってみてどれがいいか検討するそうです。最初は私たちの技術が異国の地で何か役に立てるだろうかと不安でしたが、大変喜んでいただけたのでホッとしています。

ところで、マレーシアは、イスラム教のマレー系マレーシア人以外に、ヒンズー教のインド系マレーシア人、中華系マレーシア人の3つの人種の人々が暮らす国でした。マレー系の方々は豚肉とお酒は厳禁。女性はみんな頭に頭巾をかぶっています。びっくりしたのは、豚肉や豚肉エキスが入ったものは堆肥の原料にも入れてはいけないそうです。動植物みんな微生物によって分子レベルに分解されて、再び様々な動植物の体になって渾然一体なのに・・。堆肥の原料まで制限するのは、理屈に合わないように感じましが、郷に入れば郷に従えですね。(続く)

掲載日:2012年3月8日



よしだ・としみち
NPO法人大地といのちの会理事長。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県の農業改良普及員に。96年、県庁を辞め、有機農家として新規参入。99年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜作りと元気人間作りの旋風を巻き起こしている。2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)。長崎県環境アドバイザー。主な著書は「いのち輝く元気野菜のひみつ」「生ごみ先生のおいしい食育」「まるごといただきます」など。


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