連載
第1回 都会から山の中へ サラリーマンから農業へ
※ 前方の山々は自宅付近から見る那須連山

2021年1月から新たな連載がスタートします。
映画「蘇生U」の冒頭に登場する栃木県那須塩原市のEM柴田農園の和明さんと知子さんです。映画では東日本大震災(2011年3月11日発生)で起きた福島原発事故で放射能汚染が広がる地域に踏みとどまり、住宅周辺や農地の除染にEM散布し続けている前向きな姿が映し出されました。就農して3年目の出来事です。
就農するまでは神奈川県在住のモーレツ会社員だったようです。健康はお金で買えないと都会のサラリーマン生活から脱出したのに生活環境を直撃するまさかの災害。
「EMを毎日散布して除染効果を実感しています。収穫野菜はすべて測定、無検出です」
EMのすばらしさを若い人たちに広げたいと農閑期はご夫婦でEM勉強会を行っています。連載では就農希望者やEM技術に関心のある若い人たちへ向けてEM柴田農園が取り組む土づくりや栽培の工夫などを紹介しながら、EM勉強会のお知らせや柴田さんへの質疑応答も受け付けます。

第1回 都会から山の中へ サラリーマンから農業へ

皆さん、初めまして。
EM柴田農園の柴田和明と柴田知子と申します。
「50から畑人(ハルサー)」のタイトルで毎月畑の状況の報告と、特にこれから家庭菜園を始めたいという方に化学肥料や化学農薬に頼らないで野菜を育てる方法を分かりやすくお伝えしたいと思います。
また、質問をお受けして次回(翌月)に回答する試みを通して、皆さまとのやり取りを楽しみにしています。
今は農閑期なので作業が始まる春までは、なぜ栃木で農業を始めたのか、EM柴田農園はどうして誕生したのかなどをお話ししたいと思います。

15年前の50歳の時、会社を退職して栃木県那須塩原市で小さな農園を始めました。
友人には「安定した収入や60歳になったら退職金ももらえるのであと10年頑張れば〜」と言われました。
しかし私たちは共働きで毎日忙しく働き、深夜に帰宅するという日々でした。

古い話ですが、「24時間働けますか?」というコマーシャルの歌詞、そんな言葉が普通にまかり通っていた時代でした。 それを最後まで引きずっていたのが私の会社だったかもしれません。
広告代理店に努めていた私は、終電が無くなりタクシーで帰ることも多く、同時期別の会社で働いていた奥さんも帰りが遅く、やっと普及し始めたPHSで連絡を取り合い、どちらかがコンビニで食材を調達。
当時は、最寄りのスーパーは8時で閉店。セブンイレブンもその名の通り7時開店11時閉店だったのです。

40代後半になると、このままでは60歳の定年退職まで健康で働けないのでは?と考えるようになり、会社の上司に退職したい理由をと話すと「病気になるかもしれないから退職」というのは理由にならないと言われました。
何回かの話し合いの結果、2006年3月31日で退職をする予定でしたが、有給休暇を消化しながら引き継ぎを兼ねて7月31日まで会社に残り、夏のボーナスを頂きめでたく(?)退職しました。

サラリーマンはもうやらない。
夏の暑い時期に退職したので、着ていたスーツはクリーニングには出さず毎日のようにゴミ箱へ。(冬のスーツは今でも残っていますが)。
奥さんは私より少し早く退職しました。その話はまた別の機会に。

私は、宇都宮にある栃木県農業大学校に2年間通い、農業の基礎と専門コースではトマト栽培を学びました。
私は農業の知識や経験が全くなかったので、この時期が人生の中で一番勉強をしたかもしれません。
これから農業を始める方へは、各県にある農業大学校で基礎を学ぶことをお薦めします。
もちろん化学肥料や化学農薬を使った農業ですが、やみくもに本などを読みあさるより、植物の生育に関する基礎知識を実践と共に習得できることはかなりの近道だと思います。
基礎があれば応用(無農薬や無化学肥料栽培など)はいくらでもできるのです。

この後、さらにもう1年間は、1万本以上栽培するトマト専業農家さんのところで研修させていただきました。

トマト農家での研修
トマト農家での研修
農業は実際に体験しないと分からないことも多い。 たとえば、1万本の苗に水をあげるだけでも1時間以上かかり、その水分量は天候によって違います。 苗の顔色をみながら行なう微妙な調整は、机の上では理解できないことばかり<2008年撮影>

トマト栽培についてはもちろんですが、農協やその他農業資材関係の方との打ち合わせなどもすべて参加させていただき、農業経営についてなど幅広く指導していただきました。
今でもお世話になっていて、私にとって一生の師匠です。
3年間の研修のあと就農して12年目。
トマトは1年に1作なので、まだ12回しか経験がないのです。
そして今年、13回目の挑戦が始まります。
夫婦の会話も農業の話が中心となり、生活も大きく変化しました。

昨年、新型コロナウイルスの影響で、一時世の中からマスクが無くなってしまいました。
国内生産量わずか20%だからです。
農作物も自給率37%、世界でなにか異変が起こったら、日本人はすぐに飢えてしまいます。
命につながる農業は重要な職業なんですよ。
今、その重要な農業に携われていることを誇らしく思っています。
農業は英語で「アグリカルチャー」良い響きでしょう!
皆さん、プランターでもいいので野菜作り始めませんか?

次回は、上空1万メートルで決まった「EM柴田農園」のお話です。

(2021年1月29日)

 【 EM柴田農園からのEM勉強会のお知らせ】→ 詳細はイベントページで

<PROFILE>
50歳まで神奈川県で共働きをし、残業続きの忙しい日々を送っていた。定年退職まで共働きをしていればお金は貯まるし、何でも買える。 しかし健康は買えない。健康でいられたらお金は要らない。そういう思いから和明さんの父親の故郷、栃木県那須塩原市に移住して夫婦で農業を始める。健康維持のためEM生活実践中!
柴田和明(しばたかずあき)
会社退職後、約2年間栃木県農業大学校で農業を学び、その後トマト農家で1年間研修を受け就農。

柴田知子(しばたともこ)
会社退職後、東京農業大学(世田谷区)オープンキャンパスのカレッジ講座で野菜や果樹の育て方、スローフード、発酵などの講座を受講。EM柴田農園では、種まきから仮植、種取りなどの細やかな作業を担当。

Facebook:http://www.facebook.com/kazuaki.shibata.98
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