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中米のEM活動①グアテマラ

9月30日、船井幸雄オープンワールド2007で、「甦る未来・エントロピーからシントロピーへ」というタイトルで講演を行いました。前回で述べたように、EMグループと船井、江本グループとの共働の一環となりましたが、シントロピーの概念をより広く理解してもらえる機会ともなりました。EMの根源は蘇生作用(シントロピー)であることは改めて述べるまでもありません。

この作用はEMの持つ抗酸化作用、非イオン作用、重力波と想定される超々高周波で超々低エネルギーの微弱な波動によって引き起こされるものであり、エントロピーの法則とは逆の関係になっています。

講演終了後、成田からダラス(米国)経由で、夜にグアテマラに入りました。翌朝、環境省による記者会見があり、EMでアマティトゥラン湖に流入する河川の有機物(沈殿有機物)を75%も減少することに成功したという報告がなされました。

その後、私からEMの構成微生物や安全性、生態系に及ぼす影響の説明を行いました。「すなわち、汚染源にEMを処理すると浄化源に変えられるばかりでなく、自然発生の有機物は極めて短期間で機能性の高い良質な有機肥料にすることが可能である。家庭でのEMの活用はもとより、畜産やごみ処理にも積極的に活用すれば、日々の生活や生産活動を通し環境を積極的にキレイにすることができる。その上にEMは安価である」

この記者会見は地元のテレビ各社、ラジオ、新聞などすべてのマスコミが参加し、大きく報道されましたので、EMの普及活動に大きな弾みとなるものと思います。記者会見後、アマティトゥラン湖の浄化のシステムとEMの製造現場を見せてもらいました。環境省のごみ処理現場に近い事務所の倉庫の一角で、電気もガスもなく、水道も外に1本しかないという部屋で活性液をつくっていました。 加熱殺菌が必要な場合は、マキをたいて湯をわかすという原始的な方法で行っていましたが、極めて良質な活性液がつくられていました。

EMによるアマティトゥラン湖の浄化システム

アマティトゥラン湖は1500haもあり、かつては山紫水明の地で観光地や高級別荘地として名を馳せていました。残念ながら、この湖にはグアテマラ市の排水がすべて流れ込んでおり、人口の増加とともに汚染は深刻となり、湖一面にアオコが張って魚もとれなくなり、悪臭の漂う死の湖になってしまったとのことです。

その対策のため、スペインの助力でバイオフィルターシステムを設置し、同時にEMを投入したのです。まずグアテマラ市から流れてくる汚染した川の水を雨期には10分の1、乾期には全量を、バイオフィルターにEMを併用した装置で浄化し、アマティトゥラン湖に流すシステムになっていました。

原水池は5ha程度のものが3基、その池にEMの活性液を週に2~3トン投入し、その上澄水を水生植物を植えているプラスチック池を通し、3~4日後に下流で本川と合流させ湖に流していました。また、万全を期すため湖の入口に5ha程度のEM浄化池を数個つくる計画で、工事は70~80%完成していました。

EM投入9か月後、私が見たアマティトゥラン湖は緑青の美しい湖となっていました。風下のアオコの集まる部分は濃緑のアオコがまだ残っていましたが、水面に浮いているアオコは皆無で、ニオイもまったくなく、沿岸では多数の人々が釣りを楽しんでいました。

EMを投入すると水のクラスターが小さくなるため、アオコは水面に浮くことができず、溺れてしまいます。その後、アオコは沈殿し死滅しますが、その有機物はEMによって分解され、動植物プランクトンのエサになり、食物連鎖の基礎をつくり、生態系を豊かにしてくれます。

オー(O)リングテストでチェックした結果、アマティトゥラン湖の水は山の緑よりも波動が高く、望ましい水質に変わっていました。アマティトゥラン湖の水は下流120kmで太平洋に流れ出ていますが、途中でその水を活用している人々が多数います。

広島県の神石高原町の人々が各所でEMを使い、「神龍湖」をキレイにした結果、岡山県へ流れ出る高梁川がキレイになったのと同じ様子です。グアテマラ市から流れ出た汚水がEMで浄化され、アマティトゥラン湖でさらに浄化され、その下流の人々の健康を守り、合流河川をキレイにしつつ海まで浄化する。想像するだけでもEMのロマンは尽きないものです。

次の日はグアテマラ市にある200年以上の伝統あるサンカルロス大学で、午前と午後の2回講演を行いました。午前は農学部の学生を中心に、午後は専門家を対象にしたものでしたが、この講演会がグアテマラの新しい国づくりの記念すべき日になるよう努めてほしい旨もつけ加えておきました。

講演のあと、計画中の水処理やごみ処理などを含め、環境全般にEMを使うことが確認され、公的部分はすべて政府ペースになるとのことでした。このような単純で効果の高いEMの活動は、EMの拠点大学であるコスタリカのアース大学の卒業生会の活躍によるもので、中米全体に広がっています。

(2007年11月1日・毎月1日更新)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。
グアテマラのEM製造現場


EMできれいになったアマティトゥラン湖


バイオフィルターシステム


河口の浄化池の工事の状況

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