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EMの中の光合成細菌の重要性


DND(大学発ベンチャー起業支援サイト)




EM・1の顕微鏡写真


EMが開発されて36年、普及に移され34年目をむかえることになりました。効果がなければ、こんなに長く、こんなに幅広く世界に広がるはずはなく、福島の放射能対策も前号(第102回)の報告やDND(大学発ベンチャー起業支援サイト) で述べた通り、着実な成果を上げています。

このEMの効果は、光合成細菌を中心に乳酸菌や酵母等の発酵菌との複合的な共生関係によって成り立っています。EMの施用量があるレベルに達すると、土壌中の微生物の種類や数が圧倒的に増え、いつの間にか悪玉菌が衰退し、善玉菌中心の微生物相に変わります。

そのため、EMの上手な使い方のコツは、良質のEM活性液をつくり、効果が出るまで使い続けるということになります。EMに効果がないという場合は、この原則に反したEMの使い方をしているに過ぎません。

メタゲノム分析法の発達によって、これまで環境中にいる培養できない微生物の遺伝子解析が可能となり、その結果、私が36年前から提唱している複合微生物による微生物相、すなわち、マイクロバイオームの改善が正しかったという結論となっています。

現今では、腸内の微生物相の改善に対する健全な糞便移植は、数々の難病に効果があるという最先端の医療技術として、また多様な生菌食品が花盛りです。それらの結果は、当然のことながら、微生物が産生する生理活性物質等々の機能性によるものです。

その機能性については、EMの場合、1.抗酸化作用、2.非イオン化作用、3.有害なエネルギーを触媒的に無害化または有用化するエネルギーの転換力(整流力)にあることを25年以上も前から説明しています。それらの件は、放射能の消滅という事実が応用されるという現実となり、今では誰も否定できないレベルに達しています。


光合成細菌

当時の共同研究関係者は、この事実を認めても、理論的に説明が不可として発表をためらってしまいました。そのため、すべて、私の責任で公表することを決心し、1997年に公開しましたが、そのお陰で、私はエセ科学者、トンデモ科学の代表となってしまいました。福島の原発事故は、前号(第102回)でも述べたように、私の主張が正しいということになりました。

光合成細菌が放射能のエネルギーを使う能力があるとか、放射性物質を集める機能があるという件については、多くの実験で証明されています。しかし、放射能を消すということは、少数派に過ぎませんでしたがEMの効果は、まぎれもなく光合成細菌の存在と不可分のものです。


EMの光合成細菌の増強法


EMシリーズ





専用キットで培養した光合成細菌

EMにはEM・1、EM・2、EM・3があります。一般にEMとしてあらゆる分野に活用されているのがEM・1で、光合成細菌を軸に乳酸菌や酵母等の有用微生物群です。EM・2は抗酸化力を強化し、葉面散布による病害虫の予防や光合成の促進剤、落果防止剤、品質向上対策資材として使われています。EM・3は、EMの光合成細菌を強化したり、光合成細菌の種菌としても活用されています。

極めて初歩的な平板希釈法という微生物の検出方法では、光合成細菌が検出されるのは、EM・3のみで、EM・1やEM・2からは検出されないため海外を含め多くの研究者からEM・1とEM・2には光合成細菌は居ないのではないかという指摘がありました。

確かに、そのレベルの分析法では、その通りですが、私の答えは以下の通りでした。「EM・1はpHが3.5以下という強い酸性下にあるため、光合成細菌はシスト状態となり、休眠的になっており、施用後に発芽的に再生し、増殖します。この場合、乳酸菌や酵母等は、その作用を著しく増強しますが、糖蜜等で活性化(培養)し太陽に当てると赤くなります。この時点で調べると光合成細菌は多数検出されます。それでも不可であればメタゲノム分析をしてください。」というものです。

本来EM・1は活性化(培養)して大量に使うという活用法が基本になっていますので、種菌的なEM・1から初歩的手法で光合成細菌が検出されなくても、EM活性液に存在すれば、または、施用後の環境で増えておれば、十分にその役割を果たしたことになります。

福島の原発事故をきっかけに、EM中の光合成細菌の機能を強化する必要から、種々の増強法を提案してきました。その第1はEM・1を海水で培養し、光合成細菌の増殖の阻害要因である雑菌の抑制です。その次は、それらの活性液に直射光線を当て35℃以上にする。光が不足な場合は白熱光を中心に可能な限り強い光を当てる。1〜2週間後、EM活性液が当初の橙色から赤味を帯びた段階で使用する。第3は木炭や燻炭等、整流力の強い炭素やシリカを含む材料と併用するということです。

当然のことながら、EMダンゴにも海水で活性化したEMを活用し、さらには炭を20〜30%添加し、2〜3m間隔で埋め込むと、放射能の消失が著しく促進されるということです。前号(第102回)の福島からの事例報告は、このような方法を実行した結果です。光合成細菌を当初から高めたい場合は、EM・3をEM・1と等量添加します。

これらの方法は、すべて公開されていますが放射能対策だけでなく、作物生産やあらゆる環境汚染対策や有機物のリサイクルに著しい効果を発揮します。

これまでも、本シリーズで様々な限界突破現象を紹介し、それを多くの人が実行し、極めて満足すべき結果を得ています。EMのさらなる効果を期待し、さらなる安定的な活用を望む場合は、EM中の光合成細菌の増強は不可欠であることを忘れてはなりません。


(2016年2月8日)

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PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

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