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EM仕様の社会づくりをめざして

平成22年になりました。世界同時不況の昨年はいかがだったでしょうか。過ぎてみれば、「このようなことも悪くはない」「新型インフルエンザも大したことはなかった」になっていたと思います。自己責任を自覚している人は何か起こっても大したことはないとして、すべてを受け入れ、対応することが可能なのです。

とは言っても、先進国には内需を拡大する力はなく、従来型のパターンで成功するのは発展途上国に限られています。このような状況を打開するには低コストで高品質で持続可能である技術革新と、EMによる幸福度の高い国造り以外に選択肢はありません。

我が国の昨年の状況を示す言葉は「新」となりました。人々は従来の方法とは異なる新しいものを求めているという世相で、その代表格は新政権であり、そのおちが新型インフルエンザということになります。選出された民主党の大半の国会議員はEMをよく理解しており、その結果、EMに対する政府の姿勢も根本から変わり始めています。

新政権は予想外の税収の落ち込みの中で、仕分け作業や大型工事の中止など様々な手を打っていますが、これまでの政権の仕組みが悪すぎて傷が深いため、システムを根本から変えない限り泥沼に落ち込んでしまいます。子ども手当や高校の授業料の無料化などはその先駆になると思いますが、同時に、国民の自己責任能力と社会貢献認識を高める必要があります。これまで繰り返しお話してきたように、「EMをあらゆる場面に空気や水のごとく使うこと」がその解決策であり、国が国民にEMを空気や水のごとく使わせる仕組みをつくってしまえば、すべての問題を根本から解決することが可能であると断言することができるからです。

まず国内のあらゆる有機廃棄物をEMで効率よく処理し、日本の農業をすべて、自然農法や有機農業に変えることだけでも、環境や健康問題、雇用問題や自給率向上や温暖化問題の大きな解決策になります。化学肥料や農薬をまったく使用しなくても、EMを上手に活用すれば、多収高品質で経済性が高くなる事例は全国に多数あり、有機農業推進法や食品廃棄物リサイクル法等々施策と連動すれば、北海道の三笠市や新篠津村のようなことを全国に広げることができます。

また、日本中の下水処理場や水田でEMを活用すると、水田や湖沼から発生するメタンガスを完全に抑えることができ、畜産や水産養殖に活用すれば、牛のゲップから発生するメタンガスはもとより、畜水産から発生するメタン対策は決定的なものとなります。

改めて述べるまでもなく、メタンは炭酸ガスの20〜30倍の温室効果ガスであり、その対策は不可能と言われており、規制の対象になっていませんが、EMを活用すると数値化できますので、炭酸ガス取り引きの対象にすることも可能です。また、農地から発生する化学肥料由来の窒素酸化物はCO2の200〜300倍の温室効果ガスですが、EMを活用すると、窒素酸化物の発生を完全に抑えることができますが、メタンガス同様に規制の対象にはなっていません。地球温暖化という視点からすれば、メタンガス同様の戦略を描くことができます。

当然のことながら、一次産業全般にEMを活用すれば、これまで蓄積されていた化学物質の汚染問題や農薬の汚染問題も解決すると同時に、川や海がキレイで豊かになり、多様な生態系を復活させることも容易となり、近海漁業も振興することも可能になります。

EMを活用してつくられた一次産品は、すべて高い機能性を有するようになりますので医食同源が常識となります。生活習慣病をはじめ、病気にならないための教育にいくら力を入れても、それを支える食に根本的な手を加えない限り、「砂上の楼閣」になってしまいます。

もちろん、あらゆる加工食品にEM技術を活用すれば、化学的な保存剤はまったく不要になり、加工品そのものも、機能性の高い食品に変えられます。清涼飲料も例外ではありません。

このように、飲食に関するすべての分野をEM化すれば健康に関する大半の問題は解決し、我が国の最大の難事である医療問題を根本から解決することも可能となります。その上に各々の産業分野でEMを徹底して活用すればCO2を含め、環境問題の大半のものは解決されますが、私たちのライフスタイルや生産体勢や環境を必然的に浄化する仕組みに変える必要があります。これまでの技術体系では、生活をしたり、生産を強化し、経済活動を発展させると、それに伴って環境汚染問題が発生します。EMを掃除、洗濯、トイレ、風呂その他、日常的に水を使う部分に活用したり、生産の現場にEMをスプレーするだけでも環境が浄化されます。また、EMを加温器に入れて、日常的に活用すれば、空気が浄化され、あらゆる病気に対し予防的な効果も発揮します。すなわちEMで汚染源を浄化源に変えることです。

EMを活用した建築物は、コンクリートなら300年以上、その後EMで管理すれば1000年以上も保持することが可能です。古い住宅の寿命も、2〜3倍にすることも可能であり、アスファルト舗装も30年に1回(現在は4〜5年)にすることも可能です。日本の道路のアスファルト舗装を5分の1以下にすることができれば、その分だけで25%CO2削減を達する可能性もあります。建築物には膨大なCO2が使われていることを忘れてはなりません。

電化製品などを含め、あらゆる機材にEM技術を活用すれば、30%程度の省エネは可能であり、静電気や電磁波の弊害もなくすることもでき、そのような家電製品や機械の存在が、マイナスイオン効果を含め、健康に対し促進的に作用するようになります。電池の機能性の向上も劇的な効果を発揮しています。

医学へのEM技術の応用については、ALS、パーキンソン、認知症、網膜色素変性症、多発性硬化症、エイズ、インフルエンザ、成人白血病、末期癌等々あらゆる分野で顕著な成果が確認されています。薬理的効果はほとんどありませんが、すべての機能を正常に戻す触媒エネルギー的効果が確認されています。

これまで述べたことは、EMフェスタやEMフォーラムで公開され全国のEM関係者にとっては特に目新しい情報ではありません。EMが社会になかなか普及しないのは、政策的な後押しがなく、ボランティアの範囲にとどまっているからです。また、これまでの社会や技術のシステムからすると、EMは常識外れのものであり、出番は限られていました。

地球環境の問題を含め、現在する問題のすべてが構造的なものであることがようやく理解され始め、システムの根本的なあり方を検討せざるを得ない状況となってきました。私の所属する名桜大学国際EM技術研究所は、EM研究機構と協力し地域全体をEM特区とするモデル事業を進めており、三笠市はその第1号となりましたが、今年はさらに範囲を広げて県単位のモデルもつくりたいと考えています。

多難な時ほどEMにとってはチャンスであり、世の中を変えることができる力となります。今年のEM関係者の多様な活動を楽しみにしています。

(2010年1月1日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


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