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EMによる口蹄疫対策について

私は10年以上も前から、本シリーズの中でEMによるトリインフルエンザ対策について何回となく説明してきました。この際にウイルスが原因である口蹄疫やコイヘルペス、エビのホワイトスポットウイルスやイエローヘッドウイルスはもとより、生物に発生するすべてのウイルスに効果があることをくり返し述べてきました。

EMを空気や水のごとく畜産で活用すると、抗生物質はもとより、一般の薬品はまったく不要で、飼料の効率も10〜15%も高まり、生産物の品質は人間の健康にとって極めて望ましいものとなります。その上、衛生問題はすべて解消され、悪臭や水質汚染等々の畜産公害は完全に解決できるばかりでなく、その糞尿はすばらしい有機肥料となり、有機農業を支える大きな力となります。

このような話は、EMの世界では常識ですが、今回の宮崎県の口蹄疫パンデミック(大流行)も、EMを活用することで十分に対応できるものです。

−EMの具体的活用法−
1. 飲水にEM1号、または良質のEM1号活性液(pH3.5以下)を初日に50倍、2日目から100倍になるように添加する。
2. エサには5〜10倍にうすめたものを噴霧する。
3. 畜舎に10〜20倍にうすめたものを消毒的に毎日散布する。(EMはpHが3.5以下ですので、散布された空間はpHが4.5以下となります。ほとんどのウイルスはpHが4.5以下で失活しますので、一般的な消毒よりもはるかに効果的です。
4. 畜舎内のEMスーパーセラCを1000m3あたり20kgを散布(月1回)
5. 畜舎の外壁や内部、天井などにも十分に散布する(10〜20倍、週1回)

牛の場合、EM・Xゴールドの注射は10日に1回30ccで効果的ですが、この場合はすべて自己責任で行ってください。豚や子牛は、その3分の1〜2分の1が目安です。
EMボカシはエサの1〜3%を目安にやや多めに与えます。
沈静化した時点で使用量を2分の1〜3分の1に減らしてもかまいません。


10〜20倍にうすめて毎日散布する
これを機会にすべての畜産をEM仕様に変えれば、抗生物質や消毒薬不要な飼育が可能になり、畜産公害も解消し、その糞尿はすばらしい有機肥料となり、有機農業を支える大きな力となります。

以上のことが宮崎や鹿児島をはじめEM関係者の問い合わせに対する私の返答です。

EMの畜産への活用は20余年の実績

不幸なことに、宮崎県は口蹄疫のパンデミック(大流行)に陥ってしまいました。現在は、宮崎県内にとどまっているかもしれませんが、他県にも飛び火する懸念もあり、予防に万全を期す必要があります。不幸中の幸いといえば身勝手に聞こえるかもしれませんが、今のところ、非常事態宣言後も宮崎県内でEMを活用している牛や豚に口蹄疫が発生したという報告は受けていません(5月26日現在)。

EM1号の中心的役割を果たしている光合成細菌は、多様な抗ウイルス作用を有しています。このことは、かなり以前から専門家の常識となっています。また、EMの主要構成菌である乳酸菌や酵母も、免疫力を高めるため様々な抗ウイルス作用があり、これも一般に広く認知されています。

EM1号は、畜産用として国に登録され、認可を受けている微生物資材であり、誰でも入手し、使うことのできる微生物であり、法令違反の訳のわからない微生物ではありません。EMの畜産への活用は20余年の実績があり、沖縄をはじめ、各地に「EM豚、EM牛乳」等々がトップブランドとして流通しています。

これまで述べたことは、すべて個々の農家の責任で実行できることであり、県や国の方針に反するものではありません。このような私の説明に対し、EMは口蹄疫や鳥インフルエンザに効果があるという科学的な立証がないとか、公的に認められていないという反論が必ず出てきます。

私が言いたいことは、決定的な対応ができないこの種の問題に対しては、現実に効果が認められた例は公開し、各々の判断で実行できることは実行し、その結果を徹底的に検証し、次の対策につなげる必要があるということです。当然のことながら、このプロセスでは国の方針に従わなければなりませんが、この場合、EMを活用して病気がまったく発生していない事例の対処の仕方です。

従来の方法では、感染地域であれば、発症の有無にかかわらず、すべて殺処分となります。しかしながら、EMのような特例が出てくると、次の対応のために経過観察をし、本当にウイルスの発症がなければ防疫上の実用的な知見が得られるという願ってもないチャンスになるということです。


週に1度、外壁などにも十分に散布
宮崎県内で今回、口蹄疫が発症した地域で、大半の畜産農家がEMを使うようになった結果、感染は止まり、現在、県が浄化の確認を行っている事例もあります。偶然とか運が良かったと言わず、最後まで病気にならずに殺処分された事例を多角的に検証してほしいものです。

宮崎県は過去にも口蹄疫や鳥インフルエンザが発生しており、他県に比較するとウイルス感染の危険度の極めて高い地域です。環境全体が酸化し、有害微生物が発生しやすく、そのために消毒を徹底するということを繰り返しています。その結果、酸化がさらに促進され、家畜の免疫力も著しく低下する状況をつくり出しています。過去に処分されたウイルスの情報を完全に除去したという確証もありません。

食中毒を起こしたレストランが、いくら消毒をし、保健所の許可が出ても、また再発する事例が多いということと類似しています。このような潜在情報を除去するには、環境中にEMのような抗ウイルス作用を持つ微生物の密度を高めることから始める必要があります。殺処理された現場にEMを徹底して散布すれば悪臭もなく、急速に分解し、他の方法のように二次汚染はまったく発生しません。抗菌、抗ウイルスのバリアをつくることになります。

要は沈静後の次の飼育に入るときです。畜舎のあらゆる場所にEMを散布し、飼育にEMを水や空気のごとく使うという心得が必要です。このようなことが徹底できれば、宮崎県の畜産は過去に例を見なかったレベルで発展するとともに、環境の浄化や有機農業に多大なる貢献を果たすことも可能となります。

(2010年6月1日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

 

 

牛舎にEM1号の希釈液を散布

エサにEM1号の希釈液を散布。EMボカシはエサの1〜3%を目安に与える

EM希釈液やEMボカシを散布すると、床が清潔な状態に保たれる

EMが入った飲水やエサを与えた牛の糞は悪臭がない

悪臭のない牛糞の山

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