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四国EMフェスタ2011
善循環の輪とくしまの集いin鳴門

10月23日、四国EM普及協会地球環境・共生ネットワークの共催で「四国EMフェスタ2011」と「善循環の輪とくしまの集いin鳴門」が徳島教育大学講堂で開催されました。「四国はひとつ」を合い言葉に四国4県が持ち回りで、オリンピックなみに各県に4年ごとにまわってきます。当初は各県で十分に事例報告が集められないため、他県の協力を受けていましたが、今ではすべて、各々の県で、すばらしい事例発表ができるようになりました。

4年前の大会にも、期待すべき数々の事例発表がありましたが、今回はさらに進化し、行政とともにEM活動が着実に行われ、様々な地域活性化の原動力として、大きな役割を果たしています。この内容は資料集に分かりやすくまとめられていますが、この資料集はEM技術の最新情報を含め、EM活用にあたってのノウハウ集ともなっています。同時に四国各県のEM活用団体の活動内容もコメントされており、四国のEM普及活動がすべてわかるようになっており、貴重なEM情報の資料集として、また史的な価値としても高く評価される内容となっています。

EMの全国的な普及組織は、全国EM普及協会と地球環境・共生ネットワーク(U−ネット)があり、両方の組織の会長は私が務めています。EMは当初、自然農法をより発展させる資材としての活用から始まりましたので、全国EM普及協会を発足させ、(財)自然農法国際研究開発センターとの協力で普及が始まりました。同時に農業に関する様々な環境問題の解決にも取り組んできました。

それに対し、地球環境・共生ネットワークは農業分野以外のEM環境活動や都市部におけるEMの普及などなどを目指し、EM研究機構の協力を得て活動してきました。EMの社会化は両組織の基本的な課題であり、EMの普及とともに両組織の活動が重なり合うことも多くなり、また両方の組織に関わる人々も増えてきました。そのため、3年前から四国のEMフェスタは両組織が共同で行うようになりました。その分、予算的な負担も軽減され、両組織の交流や協力体制もさらに強化され、四国のEM普及活動の大きな力となっています。

その結果、学校のプールをはじめ、トイレ掃除や環境活動にEMを活用している件数は四国が抜きんでています。また、各県の協力体制も着実に発展強化され、相乗効果的な良きライバル意識も育っています。将来的には、この四国モデルが九州、中国、関西などなどの各ブロックで行われるようになると、EMの普及は、より効果的になるものと考えています。

花のまちづくりセミナー

午前中に行われた花のまちづくりセミナーでは、NPO法人ボランティア鳴門西の事務局長の橋本国勝さんに、「鳴門市における花のまちづくり」について発表いただきました。鳴門市は平成5年の東四国国体を機に、これに備えて平成元年にまちを花できれいにするボランティア団体を立ち上げ、その活動が様々なイベントや地域のボランティア活動と連動し、創造性豊かな鳴門市花街道・地域づくりネットワークにまで成長させています。平成22年に、この活動は緑綬褒章の叙勲をはじめ、各種の表彰を受けるようになりました。今では市民の交流や高齢者の社会活性化の活動の場や市民の資質向上のための場として、また市民と行政の協働がスムーズに行える大きな力としての機能性を発揮しています。

鳴門市内の花づくりの団体は100あまり、地区の世話人も165名あまり。花苗の配布から始まり、自家採取や自家育苗など様々なノウハウを積み重ねています。同時に、花がより美しく映えるように、そのまわりの環境の浄化にも積極的に取り組んでいます。この環境浄化活動には、EM活性液EMダンゴが幅広く活用され、学校のプールやトイレはもとより、環境学習にも活用されています。

このように、市全体の花づくり団体が連携し、環境問題の解決にも楽しく取り組んでいる事例は、全国でも鳴門市が初めてであり、このシステムをつくり育てた村元信江さんの功績は、歴史に残るものです。発表していただいた橋本さんは、この花づくりの中でも、最も広い管理面積を持つ鳴門西の例を紹介してくれました。地域の住民や行政の協力を視野に入れ、NPO法人を立ち上げ、現在の会員数80名、常時20~30名が積極的に参加しているとのことです。また管理している地域が市有地となっていることから、市と管理委託契約を結び、活動資金を得ると同時に、労働条件が厳しい管理には、有料ボランティアとし、特定な人に余分な負担がかからないような配慮も行き届いています。

雑草対策、土壌改良などの解決すべき課題もありますが、肥料袋のような厚手のシートをスポット的に部分マルチとして敷いて、その上に剪定枝を取った雑草や花が終わった残渣を置いて米ヌカとEM活性液を散布すれば、その場で良質な堆肥となり、いつの間にか雑草もなくなります。また灌水にEMを使い続けると土壌も改良され、不耕起栽培することも容易です。この鳴門西の花のまちづくりの真骨頂は、行政と住民の協力関係はもとより、高齢者を含め「地域全体の環境浄化とともに花を美しく」という、花の社会性の活用レベルを実現したもので、システムとしては全国の範となるもので、時間とともに美しい住み良い楽しいまちづくりに直結し始めています。

EMを活用した農地・水・環境保全の取り組み

三野町有機農産物生産組合の中西俊輔さんの事例発表です。2001年に設立され、4年前にも組合長の真鍋さんから発表していただきました。真鍋さんは前徳島EM普及協会の会長で、現在は顧問となり、多くのEMに関わる人材の育成に尽力されています。今回の発表は資料集の中にあるように、より簡略で確実なEM活用法になっています。4年前でも、すでに全国のモデル的なレベルに達していましたが、自然農法はもとより、生ごみリサイクル、水質浄化、学校のプールおよび環境学習を含め、地域の特産品化などにEM技術の応用と実績が着実に根付いています。水田の事例でも収量は慣行農法と同じレベルに達しており、品質は高く、地域全体の生態系の保全にも大きく貢献しています。

願わくば、これまでの技術体系にEMを上手に使う方法から、EMの能力を最大限に生かすEM中心の栽培体系に変えるという視点が必要です。そうなれば、簡単な代かきで雑草は完全におさえられ、収量は800kg以上の自然農法にすることも可能です。この事例発表で大切なことは、三野町有機農産物生産組合が安全、快適、低コストで地域の人々の積極的な協力体制をつくり上げ、環境や教育や、地域の活性化や発展の要となっていることです。同時に自力で無理なく、ある意味で楽しく、長続きできるような体勢となっており、組合の存在が地域の大きな社会資産になっていることです。これからの中山間地の発展モデルとして高く評価されます。

ブルーベリー栽培に新しい付加価値・EM導入と有機JASの取得

ベリーベリーファーム脇町の吉田文昭さんに発表していただきました。詳しい内容は資料集に載っているとおりですが、研究熱心な吉田さんの活動はNHKのプロフェッショナルか仕事の流儀を見る思いでした。同時に当初からEMを徹底して使っておれば、こんなに難儀しなくてもいいのにと、ついつい思ってしまいました。暖地でのEM栽培のブルーベリーは三重県の志摩市や愛知県の知多にもあり、これまでの常識を覆す成果が得られています。

吉田さんのブルーベリーファームの特筆すべきは、彼の技術や自然と共に生きるという哲学が地域の人々に受け入れられ、脇町にブルーベリー産業が着実に育つ状態に発展しつつあることです。また、自給を目的とした乳用の山羊や放し飼いのニワトリも含め、ブルーベリー狩りに来るお客さんをはじめ多くの人々に自給自足の楽しさと、その原点を教えてくれている点です。この成果は、現在、大騒ぎとなっているTPP対策や、農山村の自立や活性化のモデルにもなるものです。今後はEMに徹した栽培法と剪定法を工夫すれば、さらに安定した成果が得られますので、その面でのチャレンジを期待しています。

美馬市脇町には、シンビジウムの育種や栽培で世界NO.1の㈱河野メリクロンがあり、EMを活用したあんみつ館や蘭夢美術館もあり、EMづくしの花鳥風月の聖地として、四国はもとより日本を代表するランの観光、生産の一大拠点が出来上がっています。吉田さんのブルーベリー活動も近い将来、河野メリクロンや美馬市の花のまちづくりなどと連動し、大きな社会的な力になることを期待しています。㈱河野メリクロンから、今大会にEMを活用した見事な胡蝶蘭を多数寄贈していただきました。なお、いずれの胡蝶蘭も本大会参加者に競売され、この収益も含め、当日のEM関連商品やEM野菜と卵のすべての収益は、地元の作業所でつくってもらったEMボカシに替えて、U−ネットを通して東日本大震災の被災地に送ることになっています。河野社長をはじめ、関係者の皆様にお礼申し上げます。

EMを活用して川をきれいにしよう!!

この事例発表は「川をきれいに志隊」の会長で徳島EM普及協会の副会長でもある黒崎好夫さんに報告していただきました。徳島市は吉野川の河口域に位置するため、市内には数多くの河川があり、水の都とも称されそうですが、河川の浄化が進んでいないため、水の都となるためには「川をきれいに志隊」の活動いかんにかかっています。成果は徐々に上がり始めていますが、注目すべきは徳島城のある中央公園の堀川や公園内の池の浄化活動です。堀川は海水堀ですので浄化も早く、多数の大きなタイも泳いでおり、ボラなどを含め、自然水族館になり始めています。

市との協力体制も万全で、市によるボランティア活動の安定的な支援は、着実に市民と行政の協動関係も育んでいます。EMフェスタの翌日に中央公園を訪ねましたが、原秀樹市長も現場においでになりました。市長自らEMダンゴづくりや投入を行っているという楽しい話も聞かせてもらいました。

徳島市は全国に先駆けて、EM活用の生ごみ減量化に成果を上げ、市民のEMインストラクターはかなりの数に上ります。そのため、市民のEMに対する理解も全国的に見るとかなり高いレベルにあり、潜在力は大きく、その活動は途切れることなく続いています。市長さんに、この旨を話し、EMによる危機管理や市の活性化についてもお話しすることができました。中央公園は波動的には、すでにEM化しており、今後の取り組み次第では、全国のEMモデル公園になれるレベルに達しています。

その他、4年前に発表いただいた徳島EM普及協会の大川勝定会長の環境活動もさらなる成果を上げており、鰍スむらのタマゴもさらに内容がよくなり、消費者はもとよりEM鶏糞を使ったEM農家も着実に広がっているとのことでした。それらの成果によって、地域全体にEMの理解が深まり、EMの活用が加速的に広がっているという楽しい話もうかがいました。

今回の四国EMフェスタには、地元の副市長や県の環境部次長をはじめ、多くの市町村関係者が参加され、徳島が県ぐるみのEM活動に突入し始めていることを強く認識する機会ともなりました。フェスタに協力いただいた皆様に改めて感謝するとともに、徳島のEM立県に期待しています。

(2011年11月4日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

四国一円から集まった参加者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子どもたちとEMダンゴづくり

 

 

 

有料ボランティアによる除草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質の高い三野町の水田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリーベリーファーム脇町のブルーベリー

 

 

 

 

 

 

 

堀川へEM活性液の投入

 

中央公園でお堀を視察

 

大会の資料集は徳島県EM普及協会(芝商事㈱内・TEL:088-622-8666/FAX:088-623-4304)で入手できる

 

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