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タイ国におけるEMによる汚水対策報告書

前回は、タイ国における世紀的な大洪水に伴う汚水の浄化に対し、EMが国策として活用されました。その成果は極めて劇的なもので、世界中に報道されましたが、今月に入って、このプロジェクトを推進した諮問委員会のラヌワット委員長から、「中部14県の洪水被害地域における汚水問題緊急プロジェクト、実施成果のまとめ」と「タイ王国陸軍における洪水被害による汚水浄化プロジェクト実施結果報告」が送られてきました。

この二大プロジェクトは国の予算を使い、国の機関で実行されていますので、その実施方法と成果の評価は不可欠であり、その情報を公開する必要があります。

「中部14県の洪水被害地域」でのプロジェクトは、天然資源・環境省と国防省・陸軍が共同で行ったものです。委員会の立ち上げから予算の計上、実行に移るまでのプロセスと、その成果の検証が行われていますが、各県の知事はすべて実行委員となっています。対象は大型のごみ集積場(数ha以上)から発生する臭気の強い汚水対策が中心となっています。

検査の方法もBODとかCODとかSSといった一般的な水の清浄レベルを調べる方法ではなく、臭気と溶存酸素(DO)を中心に評価が行われています。これはタイ国の過去の多数の経験から出された結論であり、それに異をはさむ者はEMを知らなかった学者くらいです。一般に溶存酸素(DO)が2.0mg/L以下になると、水の腐敗が進み、大腸菌が多発し、悪臭を発するようになります。その結果、生物が棲めなくなるような状況となります。この指標でチェックした結果、当初のDOが0.5mg/Lで悪臭を発していた。ごみ集積場の汚水が、ニオイは散布直後から急速におさまり、7日後のDOが2.0mg/Lとなり、その後さらに改善が進み4.0となり、地域によっては良質の水とされる6.0に達している例もあるとのことでした。

報告書のまとめでは、成果が十分に上がり、本プロジェクトは予算、実施方法などなどすべてが期待されるレベルとなり、大成功であったとの結論となっています。

「タイ王国陸軍における汚水浄化プロジェクト」は市民にEMを配布し、自己防衛的に市民の協力を得て対応した成果がまとめられています。同様なことは天然資源・環境省や社会開発省でも行われましたが、注目すべきは、その実施方法です。当然のことながら、実行委員会の立ち上げから予算、具体的な実行方法ですが、災害時の危機管理のモデル的な実施方法となっていることです。

まず軍や各師団において、EMを供給できるシステムを構築し、使用マニュアルのパンフレットをつくり、ボランティアの研修を幅広く行ったことです。同時に軍と民の協力システムをさらに強化し、各地域で民は民ができる浄化活動に積極的に取り組んだことです。EMの配布量は1日当たり1か所で10,000L、5つのセンターでEM活性液の市民への配布量は1,500,000L以上となっています。その成果が次のようにまとめられています。

現在、洪水により発生した汚水を微生物を用いて浄化する作業は、効果的かつ整然と進められ、事前に定められた洪水被害による汚水浄化プロジェクトの目的は達せられた。これは、任務を担った全組織の協力による成果であり、どの箇所においても任務が地道に実施されたことで、今回の活動の成功を収める結果となり、この度の被災者の苦しみを軽減することができたと考えられる。今回、支援を受けた市民は、陸軍の洞察力と善意、市民の安全と健康を重視するその姿勢に感動を受けた。陸軍司令官の代理となって任務に当たるすべての軍兵士への感謝の言葉をここに伝える。市民を救援するために活動したことは、任務を遂行した者にとって大きな喜びであり誇りである。これらの各種活動の写真を、実施委員会は以下のとおりまとめ、当文書に添付する。

NPO法人チェルノブイリへのかけはし による東北EMサミット
EM女子会・東北EMサミット実行委員会

2月18〜19日、山形県の上山温泉の月岡ホテルで、上記の皆様方の提案で東北EMサミットが開催され、大盛況であったとの報告を受け、大変喜んでいます。「被災地から学ぶ、緊急勉強会。母から母へEMセミナー」です。私は日程の都合で感謝のメッセージを送りましたが、今の東北の現状に、なんとかしたいというEM女子会とチェルノブイリへのかけはしの皆様に改めて敬意を表し、感謝申し上げます。

詳しい内容は当サイトにも紹介される予定ですが、このセミナーのすばらしさは昨年11月沖縄で行われたEMフォーラムをはるかに進化させたことに尽きます。沖縄でのEMフォーラムは東日本大震災にともなうEMの力や福島の放射能対策についての具体的な対策法や、EMを生活したり、病気にならないための医療に対する考え方などなどを含め、過去におけるいかなるEMフェスタやEMフォーラムよりも内容が充実していたと評価されるものでした。

このような成果を現実の困難に直面している人々に直に伝えたいという関係者の熱い思いが、福島から最も多くの避難されている方々を受け入れている山形の地で開催されたのです。発表の内容も沖縄でのような時間の制限も少なく、また、その後に得られた数多くの成果も含まれています。そのため、深くEMを理解し、活用し、生活化するとともに、先の見えないと思われていた被災地に対し、具体的な解決法を示し、未来に対し希望を持って挑戦できる力を与えるものです。

このようなEMサミットが東日本の各地で開催されることは、EMの天の理にかなったものです。この輪が広がることによって、EMの真の実力がより深く理解され、やがては前項で述べたタイ王国のようにごく当然のごとく災害時にはEMが国策として実施されるようになるものと確信しています。関係者のさらなる楽しく実効があり、意義の深い活動を期待しています。

(2012年3月6日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


無償提供を開始する陸軍のオープニングセレモニー

EM活性液の説明を聞く人々


バンコク市内の軍施設内でEMを受け取る市民。他県から駆けつける人も


報告書の表紙。下が陸軍の報告書 ※クリックで拡大します。日本語に翻訳してあります

 

 

東北EMサミット 発表の様子

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