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EMフォーラム2012と福島での環境フォーラム

前回でも述べたように、今年のEMフォーラムは、大洪水や台風、地震などの自然災害に対するEMの活用法と、見通しの立たない放射能汚染対策に焦点を絞ることにしました。沖縄では500人あまり、福島では900人あまりの参加があり、多くの人々に大規模災害におけるEM活用やEM活性液の散布による放射能汚染対策が着実に進められている現況を理解してもらいました。

昨年9月から数か月間にわたって続いたタイの世紀的な大洪水は、衛生問題や種々の感染症が懸念されましたが、国策としてEMを使うことを決定し、歴史的にも多大な成果を上げる結果となりました。沖縄と福島の両方のフォーラムでは、洪水後の災害対策の実行委員長を務めたワラヌット氏に基調講演をしてもらいました。ワラヌット氏はタイ国へのEMの導入、住宅公社や社会開発省、陸軍でのEMの活用実績から、公式に国策に決定した背景を踏まえ、各地の具体的な活動事例を紹介してくれました。

この壮挙は、30数年あまりにのぼるタイ国におけるEM普及活動の成果によるもので、多くの人々が賛同するものでなければ不可能といえます。EMを使うことに決定し、現場で成功しつつある中で、例によって大学教授と称される人々を中心に、EMを実験的に使ったが効果は疑問とか大量の人工的培養微生物を使うのは問題だという指摘がマスコミで大きく取り上げられました。しかし、その実績の前に大恥をさらす結果となってしまいました。

タイ国ではEMの研修を受けた人々は100万人以上、農村部ではほとんどの地域でEMが使われています。バンコクのような巨大都市部では、環境分野でかなり活用されていましたが、一般市民に十分に広まっていない状況のままでした。今回の洪水後の大々的な成果はマスコミも連日報道するようになり、今ではタイ国民ならEMの力を知らない人は皆無といえるほどにEMの認知度は高く、都市部でも日常生活にEMが活用されるようになっています。

洪水の被災地は北海道の面積と同じといわれていますが、いずれも天然資源環境省と国防省を中心とする総動員態勢で取り組んでいます。その規模とシステム的展開を応用すれば、福島県全県はもとより、日本全国のホットスポットに対するEMの活用は極めて容易ということになります。福島のフォーラムでは画期的な成果が5題発表されました。同時にベラルーシの国立放射線研究所から作物の放射性物質の吸収抑制とEM・Xゴールドの放射線被曝抑制効果についての顕著な成果も報告してもらいました。

フジテレビスーパーニュース

福島での環境フォーラムのあと、より多くの人々がEMによる放射能対策に取り組むようになりましたが、その10日後の10月17日、フジテレビスーパーニュース(関東ローカル)で「福島でまかれる“EM菌”検証!除染効果はあるのか」という19分の報道がなされました。EMに除染効果があり、とする当方の説明と効果が明確に出ている現場での実施状況を紹介したあとに、その効果に疑問を持つ専門家の意見を聞くという形となっていました。

EMの効果を確認している当事者からすれば納得がいかない思いもありますが、私自身は全体的に見て、とてもいい番組だったと思っています。一般的な常識では微生物が放射性物質を消すことは不可能であり、この常識を踏まえる限り、マスコミで取り上げることはあり得ない話だからです。

しかし、フジテレビは、そのタブーを破ってEMのことを19分も報道し、さらに内部被曝に対応できるEM・Xゴールドの存在も宣伝してくれたのです。EMによる放射能汚染対策は飯舘村での実験を踏まえ、数多くの検証を行い、その成果に基づいて、EMで除染を希望する人々に対し、ボランティアで対応しているもので、外部からとやかく言われる性質のものではありません。「シントロピー(蘇生)の法則」や「新・地球を救う大変革」を読んだ人々がEMを使ったが効果がないという事例が出た場合、どのように責任を取るかという番外の質問がありましたが、それは書いた人の責任であり、EM関連団体で全て対応が可能であると答えておきました。当然のことながら、それに納得いかない専門家は結果的に否定的な見解となります。今回もおのおの一方通行で、双方で論議したわけでなく、その決着は第2ラウンドということになります。要するにさらに1〜2年経過したのち、フジテレビは再度の検証番組をつくり、おのおのの関係者に現場を見た上で論議して欲しいということです。

放射能は逃げも隠れもしませんし、半減期2年のセシウム134の影響も少なくなり、これから、いよいよ長期戦に入ります。少なくとも、関東エリアとはいえ、EMが放射能除染にボランティアで本格的に活用されていることを多くの人々に知ってもらったことは、その内容はともあれ、フジテレビに大いに敬意を表し感謝しています。

とはいえ、いくつか気になった点がありますので、当方の考えを簡単にコメントしておきます。

1.市販のEM1号に光合成細菌は認められなかった。

EM1号はpH3.5以下となっており、光合成細菌はマスクされた状態になっており、その液を顕微鏡で見たり、一般的培養法で調べても検出されない場合が多く、土壌肥料学会事件のときも同じ意見が出ました。一般的には糖蜜で培養すると無数の光合成細菌が出てきますので、原液を使わず、活性液にして使うことはEMの常識となっています。

2.人工的に増やした微生物を土壌に施用しても、1gの土に1億以上もの微生物がおり、それに対抗して効果が出るのは疑問である。

確かに土壌中の微生物がすべてEMに敵対するものであればそのとおりですが、これまでの結果、EMを施用し続けると嫌気、好気を問わず土壌微生物の密度は極端に高くなり、土壌腐植の増大、有害物質の分解、可溶性無機栄養の増加、窒素固定力の増強など、従来土壌に存在している有用な微生物が強化されるという明確な効果があります。効果がなければ30余年も微生物資材の中心的存在として活用されることはありません。

3.福島県は、EM堆肥の効果はその中に含まれる可溶性カリのためという見解。

データを見る限り、このような見解も成り立ちます。当方の各地の試験では、福島県が試験に使った有機物の4分の1以下でも放射性セシウムが1ベクレルも検出されなかったことを多数確認しています。

4.EMの波動によって隣接地の放射能が低下するとはバカげている。

このような事例はEM農家やEM散布区域では常に見られる現象で、測ってみれば、すぐにわかることです。番組に出た飯舘村での計測でも2mぐらい離れた場所は処理区の5000〜6000ベクレルで大差がないのに対し、50mも離れている場所は15000ベクレルもあり、EMの波動の一般的常識値となっています。影響は散布量によりけりですが25〜30mまで及んでいます。

(2012年11月1日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

福島県二本松市で行われた環境フォーラム「うつくしまEMパラダイス」

 

 

 

 

環境フォーラムでの講演

 

 

 

 

除染した土壌が積まれたまま(二本松市)

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