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海の日のEM投入イベント

前回は7月15日の海の日を記念して行われるEMダンゴやEM活性液の投入の意義について述べましたが、EMによる海の浄化と生態系の復活と同時に、生物の多様化が進み、豊かな海に変わっている例が続出しています。

津波のあとは海が浄化され、海が豊かになることはよく知られている事実ですが、その津波効果をさらに飛躍的に引き上げているのは2011.3.11の津波のあとにEMを大々的に使った地域で、気仙沼や、七ヶ浜町などの海の復活は目を見張るものがあります。

海がキレイで豊かになるためには、生物の食物連鎖の底辺が、効率よく機能することが大前提となります。これまでの水質浄化技術は、汚水の有機物をすべて取り除き、殺菌して放流するというシステムになっています。

その結果は、水はキレイになったが生き物が著しく減少した、魚貝類が獲れなくなったという嘆きです。瀬戸内海の都市部はもとより下水の整備が進んだ地域によくある話です。平成10年頃から海の浄化のため、EMを活用し続けている地域の海はキレイで豊かになり、特に三河湾(愛知県)に代表されるようにキレイで豊かな海に変わっています。

平成12〜13年に有明海の海苔の色落ち現象の対策でEMが大々的に使われ、多大な成果を上げましたが、以来、有明海の水産物の生産は一度も後退することなく、年々、前年の記録を更新し、キレイで豊かな海へと進化しています。

前号で紹介した名古屋市の堀川も、投入満3年で劇的にキレイになり、豊かな生態系が復活しています。極め付けは日本橋川の浄化のために投入されたEMが下記のような成果を上げていることです。

日本橋川にEMを投入し始めて満6年が経過した。投入当初の数年間で劇的な効果が現れ、公共水域の環境評価基準で類型指定「C」から「A」に改善された。その後は現状維持を目的にEM活性液の投入が続けられており、項目により多少の変動は認められるが、引き続き年々改善傾向を示している。したがって現状維持を目標にするならば投入量は50%減でも十分である。

余剰下水や降雨排水機能を主とした日本橋川は、ほとんど無視された状態にあったが、その水質改善の結果、昨年より遊覧船も周遊できるようになり、観光にも大きく貢献するようになったが、注目すべきは日本橋川から流れ出たEMが神田川、隅田川はもとより東京港全域を浄化し、下流の南側に位置する古川、目黒川、立会川、呑川、海老取川を浄化し、外側の東京湾の生態系も大きく改善していることである。

三河湾の事例を挙げるまでもなく、EMが投入され続けていた海域は、アサリなどをはじめ様々な魚貝類が劇的に増え、数年後からアユの大群が登るようになってくる。多摩川でもアユがEM投入2年後までは20〜30万匹、3年目から倍増、5年目には200万匹、昨年は1000万匹以上が遡上してきている。

これまで投入されたEMの活性液は3,000トンあまりとなっており、この量は、15年あまりで三河湾に投入された総量を上回っている。かつて、悪臭のひどかった東京港に面するすべての河川の、潮が到達する地域は、劇的に浄化されており、各地の人工浜でもアサリが大量にとれるようになっている。

要は東京都や千葉県がこの事実を受けとめ、荒川、江戸川はもとより東京湾に流入する下水処理場や全河川をEMで浄化すれば、新たな海浜レジャーや水産振興の展開が期待できるものである。

上記のコメントは今年の1月末に、日本橋川の水質改善効果について行った2012年の「日本橋川環境評価」の調査報告書に対する私の総評です。

ちなみに、平成18年12月〜平成24年12月までに日本橋川・神田川・外濠に投入されたEM活性液およびEMダンゴの投入総量は以下のとおりです。

EMダンゴの投入数
名橋「保存会」投入ダンゴ数103,500個
日本橋川・神田川に清流をとりもどす会投入ダンゴ数257,890個
提供EMダンゴ総数361,390個
EMダンゴの投入場所、および総数
日本橋川 (2005/7より)155,500個
神田川 (2008/4より)50,890個
外濠 (2007/7より)155,000個
投入総数361,390個

EM活性液の提供量
名橋「保存会」および
日本橋川・神田川に清流をとりもどす会
(掘留橋プラントにて製造)
3,060トン
大阪漁協より 日本橋に搬入10トン
緑の会より 外濠に搬入26トン
提供EM活性液総量3,096トン
EM活性液の投入場所および総量
日本橋川 (2006/11より)2,564トン
外濠 (2007/7より)532トン
投入総量3,096トン

以下のメモはNPO地球環境・共生ネットワーク(U-ネット)の星野豊調査研究担当によるものです。

2013/5/25 満月の大潮 干潮 10:58、23:22 ; 満潮 4:05、17:48
5/25大潮の満月、京浜運河や羽田沖、多摩川河口の潮干狩りの視察に行ってきました。インターネットでは見ていましたが、潮干狩りをする人の多さにビックリです。砂地は2年前、ややヌルヌルしていましたが、今年は運動靴で20m〜30mほど沖まで歩けるほど砂地がキレイで、悪臭もなく改善が進んでいました。多摩川河口の砂地にはシジミが多く、また、スナガニの小さな穴が無数に見られ、生物の多様化が生態系の修復を速進させています。

シジミをとっている人の中には、他にクルマエビをとった人もいました。テナガエビやアナジャコもとれるそうです。釣り人の話では、ハゼも順調に育っているようです。

羽田空港沖干潟から海老取川河口を散策 2013/5/23,25
5月の連休中は、干潟を埋め尽くすほどの潮干狩り客があり、乱獲でシジミは少ないと聞いていたが、カゴにいっぱいシジミを捕っていた。中には、スナガニやクルマエビを捕っている人もいた。

この望ましい驚異的な東京湾の変貌について、新聞各社、東京都はもとより浄化に関わる各種の市民団体は、自分たちの活動によって水をキレイにしたからという根拠なき大いなる誤解に満足しています。

なぜならば、すでに述べたように、これまで行われている水の浄化技術は、水をキレイにしても生物が増えない貧弱な環境になる構造的な欠陥を持っています。その上に重金属や化学物質に対する根本的な対応ができない状況を知る必要があります。

これまでも様々な機会に「EMを活用するとなぜ海がキレイで豊かになるか」ということを説明してきましたが、改めておさらいしたいと思います。

  1. EMはダイオキシンはもとより、あらゆる化学物質や重金属を分解、または無害化します。すでに明らかなように、放射性セシウムやストロンチウムを消滅させる事実も確認されています。
  2. EMはメタン、硫化水素、アンモニアなどの有害な還元物質を基質(エサ)にし、動植物プランクトンのエサとなるアミノ酸や糖類をつくります。
  3. EMは、すべての有機物を発酵分解し、糖類やアミノ酸をつくり、微量要素を可溶化し、自然の食物連鎖の最も底辺部分である、多様な動植物プランクトンのエサを供給する仕組みを持っています。そのため、ヘドロが多く有機物の多い河川や海を劇的に浄化するとともに、魚貝類が大量にとれるようになります。誰が考えても生物はエサが豊かにならなければ大増殖することはあり得ないという常識を忘れてはなりません。

したがって、東京港や東京湾で起こっているこの望ましい異変は、すべてEMによるものと言っても過言ではありません。EM投入開始時以前の10年くらいの状況と、その後の今日までの変化を見れば、おのずと明らかになることです。

最後に、EMは世界の水産業界で最も多く使われている微生物資材であり、中国でEM活用の水産関係の論文は1000点以上もあることを付記します。興味のある方は、インターネットその他、各自で調べてください。

(2013年7月9日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。



潮干狩りを楽しむ家族づれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千潮時の羽田沖

 

対岸の川崎側でも潮干狩り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


夕やけなぎさ ゴロタ石前の貝殻混じりの砂地で採集されたホンビノスガイ

 

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