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1. EMの放射能対策が公的機関で活用されない背景

本サイトではこれまでに、EMによる放射能対策と福島での活用の実態についてたびたび紹介してきました。これまでの成果は、確たる裏付けがあり、チェルノブイリ原発事故の被災国となったベラルーシ国立放射線生物研究所の共同研究でも、その裏付けが取れています。

その第1は、すでに公開されているようにEM技術の応用で被曝によるさまざまな障害を著しく軽減できることであり、第2は作物による放射性セシウムや放射性ストロンチウムの吸収を著しく抑制することです。

加えて、EM発酵堆肥による放射性セシウムの吸収抑制については、福島県の試験でも明らかとなっており、環境対策や内部被曝対策にもさまざまな成果が認められています。

このような革新的な成果がなぜ普及しないのかという素朴な疑問が多々寄せられていますが、公的機関における仕組みは会社などと異なり、専門家が認めない限り、実行できない状況になっています。

福島におけるEMの成果については、常に公開され、公的機関もEMのボランティア活動もよく承知しています。しかしながら、特に国の場合、予算化する際に、まず専門家の検討会が持たれますが、これまでの理論に反するとして反対する委員がいれば、まずは採択されることはありません。また、EMを使ったこともなく検証をしたこともないエセ学者がインターネットで騒いでしまえば完全にアウトです。

このためには、専門家に理解が得られるだけの実績が必要ですが、EMはそれなりの成果を上げ、農業や環境の分野では幅広く活用され、大半の自治体はEMの活用を容認しています。このレベルであれば、法的にも技術的にも何の問題もなく予算化も容易ですが、こと放射能に関しては、従来の物理学の常識にはあり得ないこととなっているため、完璧に拒否されるという厳しい現実に直面しています。

したがって、放射能対策を公的機関に認めさせ、予算化するためには、それなりの実績をつくり、専門家による積極的反対ができなくなるようにし、行政の判断で実行できるようにする必要があります。それがいつになるかは神のみぞ知るとしか言えませんが、放射能は逃げも隠れもしませんし、測ればわかることです。福島では公的機関はもとより、個々人でもかなりの数の放射能測定機が活用されていますので、現実が理論を覆すのは時間の問題だと楽観しています。

2. 2013年前半の福島におけるEMによる放射能対策の成果

本サイトでも、またDNDなどを通し、EMの放射能対策について確信を持って情報提供を行ってきましたが、福島県ではすでに40件あまりの成果が確認されています。

1.EMを徹底して活用すると(10aあたり年間1〜2トン)作物に放射性セシウムがまったく吸収されないか、または極端に少なくなる。
2.EMの活性液を徹底して散布した場所(10aあたり年間5〜10トン)の放射性セシウムの量が著しく低下している。
3.長年EMを活用していた農家の圃場は放射性セシウムの量がかなり低く、また、そのまわり50m内外の放射性セシウムの量も低くなっている。
4.土壌の水分が多いときにEMの散布をすると、より効果的である。
5.EM技術の活用によって、人間や動物の内部被曝対策が可能である。
6.畜産にEMを徹底して使い、EM密度の高い糞尿を農地に戻すことによって、牧草や作物の放射性セシウムの吸収を抑制すると同時に農地の放射性セシウムを減少させる。
7.EM技術による鳥獣対策

8月23日、今年前半のEMによる放射能対策の検討会を福島県教育会館で行いました。主な狙いは上記の成果の再確認と現場からの意見や要望に対応することと、11月9日に開催される第2回福島環境フォーラム(うつくしまEMパラダイス)に向けての準備会も兼ねて、多くの情報を集約させてもらいました。

参加者のほとんどが、おのおのの場でEMの効果を認めており、使い続けることによって放射能レベルは着実に減少していることが明確となってきました。

当初の期待通りに成果が出なかったという意見も、使い続けると確実に効果が上がるという理解に変わりましたが、いつまで散布し続ければよいのかという質問もありました。本件に関しては、0.1マイクロシーベルト以下が目安であることに変わりはありません。

当初0.5マイクロシーベルト以上もあった地域では、すでに0.15〜0.20マイクロシーベルトレベルに達している例もありました。この地域ではEMを散布しなかった場所は0.6〜0.65マイクロシーベルトと逆に増えています。このような例は各地で認められており、山林や原発からの汚染が増えていると思われる状況になっています。

このような不安定な状態でも、EMを散布し続けた場所は例外なく地表の放射線量は減少しています。したがって、1〜6の項目については散布量次第で再現性があるといえる状況となっていますが、地域全体の放射能対策となると、現在のような個人やボランティアの力では限界があります。

とは言っても、個人の農地や住宅のまわりにEMを活用することは、自己責任で、放射能汚染地帯で安全で快適に生活することができ、かつ汚染のほとんどない安全な農産物を低コストで生産することが可能であることは、改めて述べるまでもありません。このようなEMの特性を理解した上で徹底してEMの活用レベルを高め、根本的な解決策につなげたいものです。

7番目の項目については、今回は万全を期すため、電柵とEM高波動整流素子の組み合わせで行ってみました。イノシシやシカの被害はほとんどなく、電柵に囲まれた圃場での作物の生育も限界突破的な予兆が認められています。

猿への対策は、万全ではないものの、被害が著しく軽減することも明らかとなりました。カラスやヒヨドリなどの鳥害もまったくなく、工夫次第では病害虫対策や気象災害の軽減などにも応用が可能と思えるような状況が現れ始めています。

(2013年9月11日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。




EM活性液の散布

昨年の「うつくしまEMパラダイス」の様子

EM活性液の仕込み作業

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