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再びマイクロバイオーム「微生物相(叢)」について

予想外の寒波が続いて、インフルエンザも多様化しています。加湿や手の消毒にEMを使っている学校や幼稚園では、学級閉鎖もなく顕著な成果を上げています。

PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

DND77回でEMの抗ウイルス効果について、第61回日本ウイルス学会(2013/11/10〜12)で発表された抄録を紹介しました。使用されたウイルスは単純ヘルペスウイルスですが、一般的なEM活性液のスプレー法(100〜500倍)でも1分以内に感染が抑制されることが明らかとなったのです。この作用はすべてのウイルスに応用することが可能です。

すなわちEM活性液の100〜500倍液を手にスプレーするだけで手洗いは不要ということであり、口内にスプレーすれば、うがいも不要ということになります。それを実行するか否かは当事者責任ということになりますが、EM生活を心がけていれば、ぜひ実行してほしいものです。

ウイルス感染については、低体温による免疫低下が主たる原因と思われていますが、マイクロバイオームも深く関わっていることを忘れてはなりません。かつて、カゼをひくと抗生物質が常識的に投与され、それなりにカゼは早く治ったものですが、抗生物質が直接ウイルスを抑えることはないとして、この療法は今では昔の物語になっています。

その他、抗生物質にはさまざまな難病にも効いたという伝説があり、一昔前は、医者は原因が分からない場合でも抗生物質を投与し、それなりの成果を上げていました。

耐性菌による院内感染が問題になるにつれ、抗生物質の乱用にブレーキがかかりましたが、かつての抗生物質信仰とマイクロバイオームは無縁ではありません。免疫力の低下に大きく関与している日和見感染、すなわち微生物汚染はあらゆる病気の原因とつながっています。抗生物質は日和見菌の感染を強く抑制する効果がありますので、耐性菌がいなければそれなりに威力を発揮するものですが、耐性菌の出現のスピードが早すぎるために、今は昔の物語となってしまいました。

この原理を逆手にとって、腸内の善玉菌のレベルを高めるようなEM生活をすれば、カゼはもとより、すべての病気の予防に徹することを意味します。このEM力の話は昔からくり返していますが、今は昔の物語にしてはなりません。

作物栽培でのマイクロバイオーム対策

結論的なことを言えば、EMにまみれるようにするということですが、具体的には水やりの場合、必ず50〜100倍にして施用することから始めると、それなりに効果を実感することができます。

本格的に行う場合、生ごみや雑草、生の牛豚ふんや鶏ふんにEM活性液を十分に散布し、臭気が消えると(翌日でも可)土壌の表面に敷いて、その上から平米あたり1〜2リットルのEM活性液を散布します(不耕起栽培)。

次の日に苗を植え付けることも可能ですが、種子の場合は1週間程度待ってから種まきします。表面に有機物が敷かれ、EMが散布されますと、その下の雑草の種子はほとんど発酵して枯れてしまいます。有機物はやや多めに地表面を十分に覆い尽くすくらい施用します。

EMの中の光合成細菌や乳酸菌や酵母などは嫌気的な性質が強いため、有機物を分解しながら空気が多い土壌の表層から下層に移動します。一般に不耕起にすると下層が固くなるため、結果的に耕す必要が出てきます。従って好気性菌で有機物を分解して堆肥にした場合は、必ず土中にすき込む必要があり、不耕起にするとたちまち生育が悪くなります。

EMはその逆の性質を持っていますので、有機物(生でも可)を表層に敷いて、自然界の好気的分解菌と共存させますと、表層で有機物の分解が促進され、その分解物と一緒にEMは下層に移動します。その結果、下層の土壌が柔らかくなり、透水性も良くなりますので好気性菌も下層に住み着くようになり、ミミズが大発生します。

すなわち表面に有機物(生のものがよい)を小さく切って敷き詰め、EMを施用し続けると、耕さないのに土はふかふかになり、ミミズや有用線虫の密度も高まり、いつの間にか望ましい土壌生態系を形成するようになります。

このような土壌は結果的にEMがつくり出す抗酸化、非イオン、エネルギー整流に関するもろもろの酵素が増大することになります。この酵素の力こそがEM力であり、健康の基本を支えています。従来の方法のように有機物を丁寧に時間をかけ分解させ、良質の発酵堆肥(ボカシ)をつくるという苦労は不要ということになります。

一般的な土を使わない、微生物の働きを活用しない水耕栽培や植物工場の生産物には、すでに述べた酵素の力を活用することは不可能であり、微生物を活用し得ない栽培体系では、収穫残渣は必然的に多量のごみとなってしまいます。

土壌の微生物相がEMによって豊かに維持できれば、不耕起であらゆる有機物を土の力として還元でき、植物工場並みに作物を周年連続的に栽培することも可能となります。

このレベルを徹すれば、雑草もほとんどなくなり、病害虫もまったく発生しなくなります。不運にも病害虫の発生が認められた場合は、良質のEM活性液(pH3.5以下)を原液のまま葉面からずっぽりかけて、EM浴にします。夏なら1〜2時間後に軽く水で洗い流します。(冬なら半日後)

このような作業を3〜4日に1回、3〜4回もくり返すと、あらゆる病害虫は姿を消し、土壌も急速に改良されます。

従来の農業のやり方に農薬や土壌改良の大体資材としてEMを使う時代は終わり、今やEMのマイクロバイオーム形成力を活用する時代に、技術が進化していることを忘れてはなりません。

本誌の説明のような要領で栽培された、不耕起連続栽培の様子

(2014年2月21日)

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