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有機農業を地域に広げる動き強化
「農を変えたい!全国運動 全国集会in北海道」開催


有機農業の長い歴史がある北海道で開かれた全国集会
「農を変えたい!全国運動 全国集会in北海道」が、3月21~23日、酪農学園大学(江別市)で開催され、全国各地から延べ1500人の生産者や研究者、消費者などが集った。期間中は、メインイベントの本集会の他、第2回有機農業技術総合研究大会や全国有機農業生産者懇話会などが行われた。

「農を変えたい!全国運動」(代表:中島紀一茨城大学農学部教授)は、国民運動の立場から「有機農業推進議員連盟」の立法提案を支持し、有機農業推進法成立に向け活動してきた。推進法成立後は、全国あるいは地域レベルでの有機農業推進の民間側の体制づくり、政策提案活動を行ってきた。現在、同「全国運動」の呼びかけで、「NPO法人全国有機農業推進協議会(全有協)」「NPO法人有機農業技術会議」「全国有機農業生産者懇話会」が設立されている。


有機農業技術会議代表の西村氏
21日の有機農業技術総合研究大会で基調講演をした、有機農業技術会議代表の西村和雄氏((財)自然農法国際研究開発センター理事)は、「農地に資材を次々と投入する資材依存型では環境汚染を引き起こす恐れがある。有機農業がめざすのは低投与型であり、畑は土壌養分バランスと生物バランスが取れれば可能になる。これをさらに進めたものが自然農法であるが、この実施には自家採種が原則」と持論を展開した。


来賓として農水省環境保全型農業対策室の福田英明室長も挨拶した
22日には、中島教授((財)自然農法国際研究開発センター理事)が、中国製農薬餃子事件に触れ、「消費者はもっと食に心をかけ手間をかけ、そしてお金をかけるべきだ」と訴えた。さらに、民間の推進体制の確立や行政と民間との協働体制づくりが進み始めたなど、有機農業に関わる1年の動きを振り返りながら、「今年は有機農業を地域に広げる取り組みを強めよう」と呼びかけた。

同日行われた、シンポジウム「有機農業を根付かせ、有機農業推進法に魂を入れよう」では、パネラーの1人として土佐自然塾塾長の山下一穂氏が登場。「農業という枠を超え、環境や福祉など、様々な分野の問題解決の鍵が有機農業である」と力強く語り、「有機農業産物のマーケットは広がっているが、生産量が足踏みしている。有機農業技術の普及ができていない」と問題提起をし、都道府県レベルでも現状認識を深める必要性を訴えた。


山下氏が参加したシンポジウムでは、中島教授が座長を務めた
この他、シンポジウム「北海道における大規模有機農業の可能性」や「各地の取り組みのリレートーク」、「北海道の食と農の取り組みの報告」など、多彩な話題が提供され、また議論が交わされた。最後に中島教授から、来年3月に第4回全国集会を開催することと、有機農業自治体会議の立ち上げ構想が発表された。

このように、有機農業推進法成立から、草の根運動で展開されてきた有機農業が脚光を浴びるようになり、全国各地で新たな動きが出てきた。また、農水省の担当部署である環境保全型農業対策室も、今年8月には環境農業対策課が新設され、職員も3倍となり積極的なバックアップを明言している。今後、推進していく上で様々な問題があるが、有機農業議員連盟が打ち立てた、「有機農産物を10年で50%」という目標に向けて、行政と民間機関が一致団結して取り組んでいく体制を一層強化していく必要がある。

(2008/4/7)


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