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生ごみでまちを元気に!
「第17回生ごみリサイクル交流会2009」開催



全体会で、環境の里づくりについて話す 高知県梼原町環境推進課の岩本直也氏


会場内では関連書籍や各発表者の地域物産などが販売された
「生ごみリサイクル交流会2009」〔主催:NPO法人有機農産物・堆肥化推進協会(以下、NPOたい肥化協会)〕が、8月24日早稲田大学国際会議場で開催されました。同交流会は、毎年農林水産省 、環境省、東京都などの後援を受けて開催され、全国各地の生ごみ堆肥化事業を調査考察し、その技術、方法などの情報を広く公開しており、今年で17回目を迎えました。午前中の全体会での事例発表は2事例、午後の分科会は4テーマ10事例で、参加者は約500人でした。

今回の特徴としては、食品リサイクル法改正等を背景に、企業の先進的なリサイクル構築の事例が数例あったこと、例年に比べて自治体からの発表や参加が多いことが挙げられます。どの地域でも循環型地域社会、低炭素社会、ゼロエミッションの観点から生ごみの取り組み事例を求めていることが伺われました。

NPOたい肥化協会理事長の瀬戸昌之氏は、開会挨拶の中で、生ごみの適正な資源化の方策として「生ごみが新鮮で異物混入のないものは家畜のエサに」「生ごみの鮮度が落ち、異物混入のないものは堆肥に」「生ごみの鮮度が悪く、異物混入があるものはバイオガスに」と述べていましたが、エサ化の事業に関しては、過去の交流会でも事例は多くありませんでした。

このような中、全体会で大変印象的だったのは、小田急グループの食品残さのリキッドフィード(発酵させた液状のエサ)で養豚し、できた肉は関連店舗で販売する「食品ループ」を実現している小田急フードエコロジーセンター(神奈川県)顧問・獣医師の高橋巧一氏の発表でした。


小田急フードエコロジーセンターのリサイクル概念図 ※文字にマウスカーソルをあてると表示されます
食品循環資源(食品廃棄物のうち再生利用可能なもの)は、水分が多く腐敗や臭気発生を伴うため「乾燥化」が前提条件となり、この乾燥化にエネルギーを消費しコストアップを招いています。殺菌処理以外の熱源を使わないこのリキッドフィード方式は、コストダウンとCO2削減からも注目されます。また輸入穀物を使った配合飼料の値段の半額であること、乳酸菌の働きで豚の免疫力が向上すること、糞尿の悪臭が軽減すること、液体飼料のためホコリがたたず風邪を引かないことなど、養豚家にとっても、安心安全な豚肉を提供される消費者にとってもメリットがあります。課題として液体飼料のため輸送コストかかることなどがありますが、既存の製品と比較し、付加価値のある差別化商品として消費者に普及していきたいとのことでした。

午後からの分科会で印象に残ったのは、第2分科会「臭いを出さない生ごみ堆肥づくり」の農業生産法人(有)アグリクリエイト(茨城県稲敷市)東京支社長高安和夫氏と、第4分科会「都会の生ごみどうする?」の埼玉県戸田市環境クリーン室クリーン推進担当副主幹吉田義枝氏の発表でした。都会では、生ごみの堆肥・肥料を受け入れる農地や菜園は少なく、臭気が許容されるリサイクル施設がない中での、画期的な取り組みです。


アグリクリエイトの食品リサイクルシステム図
※文字にマウスカーソルをあてると表示されます
(有)アグリクリエイトは茨城県・千葉県の約200軒の農家をかかえる農業生産法人(代表斉藤公雄)です。生ごみ処理機の提案から、乾燥生ごみの回収、有機肥料の生産、農家への肥料提供、できた農産物の販売までの一貫した食品リサイクルシステムの管理運営を行っています。原料となる生ごみは全国の都会(スーパー、レストラン、学校給食、一般家庭など)から発生したものです。

アグリクリエイトリサイクルシステムを利用するには、乾燥式生ごみ処理機を持っていることが条件です。生ごみは発生元の一般家庭は家庭用電動処理機で、集合住宅や学校などは大型電動処理機で乾燥させます。水分含有10%ほどになった乾燥生ごみは宅配便を利用して茨城県神栖市のリサイクル工場(池田産業)に送られます。微生物やカルシウムやマグネシウムなどを添加して「有機発酵ミネラルぼかしペレット」という有機JAS資材となり、80軒の農家で活用されます。できた野菜やお米は当然トレーサビリティが確保されており消費者に届けられています。


各事業所で乾燥処理された生ごみは専用の通い箱に入れられ佐川急便で茨城のエコリサイクル工場に運搬され、「有機発酵ミネラルぼかしペレット」に加工される
またこのシステムを利用して、東京都港区の19校の小学校では生ごみの資源化とともに、できた野菜を給食の食材にする「エコ給食ネット」、家庭の生ごみとプランター野菜づくりを組み込んだ「港区生ごみリサイクル大作戦」、古千谷小学校では家庭の生ごみを学校に持ち込んで参加者にはスタンプに応じて野菜と交換する「足立区エコネット」なども展開されています。




戸田市では市とNPOと企業が協働した取り組みに力を入れている
埼玉県戸田市は、東京の北側に接する産業住宅都市で農地はありません。戸田市ではすでにごみのリサイクル率30%を達成しており、さらに可燃ごみの減量をはかるため、生ごみを分別するユニークな取り組みを行っています。昨年10月から「生ごみのボカシ合えと花苗を交換」をはじめ、ごみのポイ捨てや治安効果の高い花いっぱい運動と生ごみ減量運動が一挙にはかられ大きな成果が出ています。

市民は、市から貸し出されたEMボカシ生ごみ処理バケツ(19リットル)をいっぱいにして市のフラワーセンターに持ち込むと、24本の花苗と交換できます。現在400個のバケツが貸し出され予約待ちの状態です。これまでに2万6000鉢の花苗と7トンの生ごみが交換され、人口は増えていますが可燃ごみの増加は止まっています。持ち込まれた生ごみはフラワーセンターの生ごみ処理機で肥料にされ、交換用の花育苗のほか公共花壇や屋上緑化などに使われています。さらに、フラワーセンターでは、障害者や高齢者を積極的に雇用しており、来年完成予定の大規模フラワーセンターでも100人の障害者を雇う計画と言います。環境クリーン室の吉田義枝副主幹の力のこもった報告に会場は引きつけられ、質疑が集中しました。

 

分科会での発表のいくつかを簡単にご紹介しましょう。


生ごみの臭気対策などにEM活性液を散布している
第1分科会「生ごみは燃やさない !! ごみ減量と循環型社会の構築へ」では、「生ごみは構成市町村で100%処理する 」 と題して長野県駒ケ根市環境対策課課長下島修氏が発表しました。

駒ヶ根市は、平成14年度から市内すべての公共施設で排出される生ごみの堆肥化事業を進めてきました。20年度からは一般家庭を対象に事業を展開しています。現在、市中心街に5つのモデル地区を指定し、320世帯が分別回収に協力しています。回収から堆肥化までを一括民間に委託していますが、完成した堆肥は希望農家や住民に無償配布。将来的には、有機栽培農家と協力した「旬産旬消」「食育」で、資源循環型社会をめざしています。

第1分科会2つ目は、甲賀市の委託を受けて生ごみを回収・堆肥化に取り組む叶口システム事業部長の井狩専二郎氏が、官・民・企業協働の堆肥化システムについて発表しました。現在、市3万2000世帯のうち7400世帯が同システムに参加、今年度末には1万世帯をめざしています。この他に、市内外のスーパー30店舗やホテル、事業所の生ごみも受け入れています。

出来上がった堆肥は、福祉施設を母体とするNPOびわ湖ベジタブルロードが野菜栽培に使用。野菜はスーパーの店頭やホテルの食材として活用され、残さは再び堆肥化されて畑に投入されます。井狩さんは、「食品ループが構築された」と言います。また、同NPO代表の米澤大氏は、「こだわった野菜づくりの目的は、障害者の雇用促進・安定です」と話しました。



市内3所にある「エコ農園」
第3分科会「堆肥育ちは美味しい … 共同農園でいきいき」では、「エコ農園でごみ減量と環境に配慮」と題して京都府長岡京市 環境政策推進課課長補佐の野村和吉氏が発表しました。 市が行う、EM生ごみ発酵肥料の使用が条件の市民農園「エコ農園」の取り組みは、エコピュア34号で紹介しましたが、14年経った今でも継続されています。現在、3つの「エコ農園」を82人が利用していて、2年間の契約で、競争率3倍と人気です。今までに延べ1000世帯が農園を使用しました。利用者からのアンケートで、農園を利用できなくても、プランター栽培を行ったり、食べ残しをなるべく出さないようにするなど、生ごみ減量の意識は継続できています。もっと農園を増やしてほしいという要望がありますが、農地確保のための農家の理解が得られにくく、拡大の実現は難しいのが現実とのことでした。



どの分科会でも会場からの質問は多かった
第4分科会「都会の生ごみ どうする?…ここまでたどりついた」は、参加者が多く全体会と同じ会場で行われました。神奈川県葉山町は焼却炉が老朽化し、ごみ処理費用の一般会計総決算額に占める割合が県内市町村のトップになるなど限界に近づきつつありました。昨年1月の町長選挙で「徹底的なごみの資源化・減量化を進め、ゴミの脱焼却・脱埋立」をマニフェストに掲げた現市長の当選で、町のごみ行政は大きな変化がありました。2029年までに焼却・埋立ごみを限りなくゼロに近づけるゼロ・ウェイスト計画に取り組み、まずは2014年の50%削減を目標に、ごみ収集や排出方法などの抜本的な改変の準備を進めています。もともとコンポスターの普及を進めてきた町は無償貸与を1000円で販売する割引販売へ切り替え、2009年4月からはEMバケツなどをこの割引販売に追加しました。

神奈川県川崎市の川崎・ごみを考える市民連絡会は1992年5月に発足、ごみ減量に取り組んできました。生ごみや落ち葉、剪定枝を堆肥化して農に繋げる取り組みを続け、現在は3つのルートで農家が受け入れています。川崎・ごみを考える市民連絡会の17年にわたる取り組みの報告に対し、会場からは惜しみない拍手が送られました。

来年も同交流会は、同じ会場で、8月23日(月)に行われることになっています。

(レポーター:NPO法人関東EM普及協会 城戸マツヨ)

事例発表
【全体会】
事例発表① 「地球温暖化防止に向けて環境の里づくりが進む…自然エネルギーの活用、森林の保全、土づくりセンター」
 高知県梼原町環境推進課長 岩本直也氏
事例発表② 食品残さのリキッドフィード(発酵させた液状のエサ)で養豚…できた肉は店で販売する”食品ループ”を実現」
小田急フードエコロジーセンター(神奈川県)顧問・獣医師 高橋巧一氏
(有)亀井畜産取締役 亀井隆氏
【分科会】
第1分科会 生ごみは燃やさない !! ごみ減量と循環型社会の構築へ
事例発表①「生ごみは構成市町村で100%処理する 」
長野県駒ケ根市環境対策課課長 下島修氏
事例発表② 「食品ループ構築。甲賀市は合併後も堆肥化順調」
(株)水口テクノス(滋賀県)事業統括部部長 井狩専二郎氏
NPOびわこベジタブルロード理事 米澤大氏
第2分科会 臭いを出さない生ごみ堆肥づくり
事例発表① 「発酵床で堆肥原料を混合、臭いは殆どなし」
(有)ドンカメ (栃木県・芳賀町)代表取締役 小久保行雄 氏
事例発表② 「まずは乾燥、その後堆肥化 臭いの苦情なし」
農業生産法人(有)アグリクリエイト(茨城県稲敷市) 東京支社長 高安和夫氏
第3分科会 堆肥育ちは美味しい…共同農園でいきいき
事例発表① 「シニアがんばる 生ごみ堆肥で野菜栽培」
エコピュア佐久間 (浜松市)代表 金森喜久代氏
事例発表② 「生ごみ堆肥で栽培実験 景観守る活動も」
NPO小平・環境の会(東京都)理事長 馬場悦子氏
事例発表③ 「エコ農園でごみ減量と環境に配慮」
京都府長岡京市 環境政策推進課課長補佐 野村和吉氏
第4分科会 都会の生ごみどうする?…ここまでたどりついた
事例発表① 「ゼロ・ウェイストめざし、”生ごみ”に全力」
神奈川県葉山町環境課係長 雨宮健治氏
葉山一色台自治会 松本信夫氏
事例発表② 「3ルートで進める生ごみ地域循環」
川崎・ごみを考える市民連絡会代表 飯田和子氏
事例発表③ 「生ごみのぼかし合えと花苗を交換」
埼玉県戸田市環境クリーン室クリーン推進担当副主幹 吉田義枝氏

[2009/9/4]

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