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神奈川県で技術研修会
土壌微生物相の遺伝子解析が話題に


当日は環境保全型農業直接支払事業についての説明もあった

緑肥を導入の成果も発表する鈴木さん

果樹の草生栽培を実施している石綿さん

多様な土壌微生物が有機農業を支えると話す中島教授
5月17日、「平成23年度環境保全型農業と有機農業の技術研修会」(神奈川県環境農政局主催)が横浜市開港記念会館で開催され、横須賀市の長井有機農法研究会の鈴木浩之さんと小田原市の小田原有機農法研究会の石綿敏久さんが、事例発表を行った。

鈴木さんは、三浦半島で長年にわたりEMを活用する野菜栽培農家で、最近では地域で出るコーヒー粕とスーパーの野菜クズを堆肥にする地域循環型農業を推進して品質のよい野菜を出荷し、消費者の支持を得ている。

一方の石綿さんは、自然農法のキウイやレモンライム、梅を栽培する有機JAS認定果樹農家。自然農法は田んぼから学んだと話し、無肥料の田んぼは慣行農法の田んぼよりも地温が高いこと、収穫量も慣行農法に負けないことなどを発表した。

最後に中島紀一茨城大学農学部教授が、有機農業推進法ができたあと農林水産省の委託事業・土壌微生物プロジェクトがたち上がり、土壌の生物的状況がeDNA(土壌から培養過程を経ずに得たDNA)遺伝子解読技術で判明してきたことを報告した。このプロジェクトは、安定した地力の確保、連作障害などの克服のために今まで未知であった微生物多様性を調査する手法を開発し、作物の生産性と土壌生物相との関連性を解析するというもの。

「病害虫の少ない土壌は土壌微生物群が豊かで多様である。この豊かな微生物群は今までの作物栄養学でいう富栄養系ではなく貧栄養系で成立している。また、土壌のミネラルの循環は、土壌微生物の循環系で行われている。こうした自然界の理論と農業の理論をどう調和させていくか、おだやかで安定した貧=低栄養土壌をさぐる道が、これからの農業科学の本道になるのではないか」と今までの農学とは違う新しい見解を示した。

30年近く、無肥料栽培を行ってきた石綿さんは、「ようやく、自然農法が科学的に解明されてきた。これから肥料や農薬に頼らない農業が、当たり前になるのでは」とこの報告に大きな期待を寄せていた。(小野田)

(2011/6/14)


関連リンク

農林水産省委託プロジェクト
http://www.niaes.affrc.go.jp/project/edna/edna_jp/

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