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官民協働で善循環の未来型社会にチャレンジ
「善循環の輪青森の集いin東北町」開催



青森県はEM先進地。最新事例を学び、さらなる活動展開をめざす
「善循環の輪青森の集いin東北町」〔主催:NPO法人地球環境共生ネットワーク(以下、U−ネット)、善循環の輪青森の集いin東北町実行委員会〕が5月23日、東北町民文化センターで行われ、約120人が参加した。東北町は平成17年に上北町と東北町の2町が合併して誕生した人口約2万人の町で、三沢空港や十和田市が近接する。町の東部一帯には県内最大、全国でも11番目の面積を持つ小川原湖があり、シジミやシラウオ、ワカサギは全国有数の生産量を誇っている。

大会実行委員長の工藤正義さんは、平成10年に発足したEM十和田会の代表で、地元十和田市はもとより東北町や三沢市、おいらせ町などの地域グループと連携して、EMを活用した農畜産・環境・水質の改善に取り組んでいる。また、工藤さんは元小学校校長で現役時代には県内の教育関係者らとともに教育現場におけるEM技術と情報を青森発で全国に発信し続けた。開会主催者挨拶で浜渕隆男U−ネット運営委員長は、「青森県はEM活動の先進地の1つ」と讃えた。



医療、環境、農業など多彩な内容に熱心にメモを取る参加者
第1部は、比嘉照夫名桜大学教授の講話と、医療法人「照甦会」理事長杉本一朗医師による講演「日本医療の現状と予防医学」が行われた。比嘉教授は、最新の関心事である新型インフルエンザに対する自己防衛策として、「日常的にEMを使い続ける“EM生活”をしよう」と話し、「我々は、後からくる者のために生き方を変えなければならない。EM的生き方は、元気で長生きして、社会のために役に立つことを習慣的に行い、蘇生現象を起こしていくことだ」と説いた。

続いて講演した脳外科専門医の杉本医師は、「EM大好き」を自認。「化学テクノロジーと微生物テクノロジーの共存で、病気にならないための予防医学に光が見えてきた。EMは直接病気をやつけるのではなく、あくまでも自己免疫力を取り戻すことにある。その結果、病気を修復させることができるのであって、微生物のテクノロジーを使って得る恩恵は大きい」と話した。

第2部の事例発表では、ボランティアによる地域づくりの成果や町内会と連携した生ごみリサイクルと有機野菜づくりに取り組む農業者グループの活動、行政担当者によるEMを活用したまちづくりの仕組みなど4事例が披露された。発表者の中には、津軽弁を活かした語り口で会場を沸かす場面もあった。

講演要旨
「日本医療の現状と予防医学」 医療法人「照甦会」理事長 杉本一朗


横浜市で開業する杉本医師の元には、国内だけでなく海外からもEMを使った医療について問い合わせがある
日本では、年間3万人、1日約100人が自殺し、ガンで死ぬ人は年間35万人、1日約1000人となっているが、新型インフルエンザほど騒がれることはない。友人のアメリカ人ドクターは、「日本人は変わっている。なぜ、病気にならないために時間とお金をかけないのか。免疫力を落とさないためには、栄養価のあるものを食べるなどの指導が必要なのに、なぜマスクなのか」との素朴な疑問を投げかけてきたが、答えに窮した。

日本は、世界がうらやむほどの充実した医療制度と最先端医療機器を有するが、日本人の7割が亜・健康人(健康人でもなければ病人でもない)になっている。抗生物質の国民1人あたりの年間使用量は、アメリカ国民の3倍。アメリカはイギリスの3倍で日本人は9倍の薬漬けの現状だ。農畜産業まで広げるとたいそうな量になる。日本で年間認可される指定食品添加物(化学添加物)は351種類で、1年間平均25kg消費する。マーガリンなどに使われているトランス脂肪酸は、諸外国では製造禁止、もしくは規制が厳しいが、日本ではまったく規制されていない。
難病が増えてきている。なぜこんなに増えてきているのか。栄養学重視で、本物の食材を食べることが置き去りにされている。

現代医療の中の矛盾を抱えてどうにもならなかったときにEMに出会い光を見つけた。病気にならないためには、自然環境が大事で、良い食、水、空気が揃わなければならない。本物の食材を得るには、土壌環境を整えることで、土壌環境を整えるには微生物環境を整えなければならない。微生物は自然界で汚染を分解する力がある。EMを使えば簡単に蘇生型土壌になり、自然は自ずと良くなってくる。微生物テクノロジーを使うことで、予防医学は多くの恩恵を受けることができる。

事例発表要旨
「私のEM活動」
南郷の環境を考える会会長 古市忠雄(八戸市)



幼子たちも代かきの手伝い?無農薬田んぼだから安心
南郷区地域協議会・環境部会に所属し、市環境政策課と共催で生ごみリサイクル学習会を各地区で開催。平成20年、「南郷の環境を考える会」を発足してEMを活用した環境改善に取り組む。21年度の八戸市「元気な八戸のまちづくり」奨励金制度に応募、4月に行われたプレゼンテーションで最高点を獲得し、助成金を得た。助成金を元に、若い世代にも環境問題の意識を広げようと、EM生ごみ発酵肥料のつくり方をはじめEMボカシEM廃油せっけんづくりの学習会を行っている。また、花や野菜の無農薬栽培を通して地域のつながりを確立したいと、自治会でワークショップを実施。休耕田を復活し、無農薬米づくりにも挑戦。農家も参加する「田んぼの楽校」で現代の「結い」をめざす。活動推進にEM情報誌「エコ・ピュア」を積極的に活用している。
発表者からの質問
微生物からみた理想の土と言われる「発酵合成常菌型土壌」について教えてほしい。
比嘉教授の回答
生の有機物を入れて有害な微生物が増えた腐敗型土壌は、どんなに努力してもうまくいかない。昔は腐熟させた完熟堆肥を使った。
常菌型土壌とは、病原抑制型土壌とも言う。広葉樹の山の腐葉土には放線菌など抗菌物質を生成する微生物が多く、有害な微生物を抑える。
乳酸菌や酵母、納豆菌など発酵微生物が優占している発酵型土壌は、生の有機物を入れても病気は出ないで収量を上げる。しかし味は良くない。光合成細菌や窒素固定菌、藻菌類が優占した合成型土壌は、土の中でアミノ酸や酵母をつくるので味の良い作物ができる。しかし収量は少ない。 EMは、発酵型・合成型・常菌型の土壌を合体させ抽出した有用な微生物群で、品質、収量、食味がアップし、なおかつ持続性が得られる。

「町内会に支えられ、生ごみで野菜づくり」
さくら会代表 柏崎幸子(おいらせ町)



週1回回収するEM生ごみ発酵肥料は、柏崎さんの畑に投入される
「さくら会」は、有機野菜づくりに取り組む6戸からなる農業自営グループ。生ごみの資源化活動をする地元の町内会グループ「わかば会」(36世帯)と連携して、生ごみ回収・堆肥化を推進する。生ごみ処理用の密閉バケツの購入は、青森県の補助事業「共同で拓く、冬の農業・創造活動事業」で得た補助金を当てた。収穫野菜はJAの直売所で販売している。これらの資源循環、地産地消の取り組みは、地元小学校の環境教育にも取り上げられた。
発表者からの質問
スギナとコンフリーの宿根を退治する方法を教えてほしい。田んぼに毎年EMボカシを入れているが、秋と春のどちらに入れた方が良いか。
比嘉教授の回答
スギナなどの宿根類は、土が肥沃になると酸性土壌から中性になって自然に消える。EMを入れ、有機物を入れていくことを繰り返していくと中性土壌になっていく。 作物を植えることに関しては、有機物を入れる時期は早い方が良い。土の中で微生物が増える時間を稼ぐことになる。100リットルのドラム缶に90リットルの水、100〜200グラムの糖蜜と1〜2リットルの米ヌカ、1リットルのEMを加えて発酵させた活性液を田んぼに流す。田んぼは、発酵合成型になり、入れ続けていくと2年目ぐらいから草は出なくなる。

「“かっちゃパワー”が動かす、鰺ヶ沢の環境改善」
鰺ヶ沢町政策推進課政策推進班副主幹 須藤久輝



EM活動の原動力は、かっちゃ(お母さん)たちの道端会議から
下水道普及率が低く、夏場の住宅密集地では悪臭のクレームがあった。町は、住民主導の環境整備づくりを進める計画で、水質改善や悪臭に効果のあるEMを活用することにした。21年度から本格的に活動がスタート。14町内会で組織する鰺ヶ沢地区町内会連絡協議会に環境部会を設置、EM活性液タンク(100リットル)を設置した鰺ヶ沢公民館と連携・協力体制を整えた。役場はEMに関する窓口を開設して、町民生活課を中心に「環境プロジェクト」を設置した。EM活性液を住民に1年間限定で無料配布し、活用方法や体験談の聞き取り調査を行っているが、「ニオイがなくなった」「学習会開催を要望」「交流や情報交換で地域コミュニケーションが多くなった」など住民の反応も上々。小学校の環境学習の一環で、EM活性液を畑や花壇へ散布、拭き掃除やトイレ掃除に活用している。
発表者からの質問
市販の石けんシャンプーにEM活性液を入れて使っているが環境に負荷をかけることにならないかと、住民から質問があったがどう答えたら良いか。
比嘉教授の回答
EMを併用するのは基本。まず、EMを使ってみることで、EMは有害物の分解効果が高いので、環境のためにも良い。EMの良さが分かったら、だんだん有害な物は使わなくなる。

「国の予算で“EM有機の町”づくり」
板柳町教育委員会・生涯学習課課長 石澤雅人



板柳町の取り組みを発表する石澤氏
舘岡町長とEMの出会いは平成13年で、以来町はEMを使った付加価値のある農業(リンゴ、米などが主体)を奨励してきた。20年には全町的なEM普及をめざし、EM活性液製造タンク、保存タンクを設備し、年間40tのEM活性液を製造、町民に無料提供している。21年には、国の経済対策「ふるさと雇用再生特別交付金事業」を活用した「環境保全型農業推進事業」に取り組む。同事業はEM活用を前提に、自然循環機能と付加価値のある農産物の生産を唱ったもので、地元の雇用も促すとして評価されている。EMを媒体に、官民協働のまちづくりが本格化した。
発表者からの質問
青森地方は、1年の内4か月は雪の下になるが、EMは気温が低くても働くか。
比嘉教授の回答
冬場の土の中では、EMは活性化しないが、多くの抗酸化力を持つ酵素が働いているので、雪が降る前に土壌にEMを散布しておくことで温度が上がった時に一気に密度が上がり、何倍も良い結果になる。

比嘉教授全体講評
EMに使い方のパターンはない。すべて使う人の能力で決まる。鰺ヶ沢と板柳町はEMのモデル地区、先進地区になっている。行政主導のEM活用で人材育成もスムースに行って、町内のどこでもEMが活用できるようになっている。善循環の未来型社会にチャレンジする事例だ。

(2009年6月18日)

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