水の文化が生きる街 半田
水の蘇生は地域の活性化!
みんなでやろう 地域の河川浄化

オープニングは官民そろって



最後はお楽しみ抽選会
「海の日に全国でEMを流そう!」─愛知県のボランティア団体の呼びかけから始まった河川浄化活動も今年で5年目。8月末の集計によれば、個人も含め246団体、10,175人が参加し、EM団子224,374個、EM活性液472,595Lが投入され、地域の事情にあわせて、現在も進行です。(U-ネット事務局調べ)

そうした中、愛知県半田市では、10月5日、水の浄化を中心にした講演会「水の蘇生は地域の活性化!みんなでやろう 地域の河川浄化」(主催:河川浄化半田大会実行委員会 後援:半田市・半田市教育委員会・半田商工会議所・半田観光協会など)が開催され、台風の接近にもかかわらず、約400人が参加しました。

開催の準備には、知多の自然を良くする会(通称;湾・ワン・浄化市民塾)が中心になり、知多半島の阿久比町・武豊町・美浜町・常滑市のボランティアのメンバーが応援に駆けつけ、愛知県でのEM水質浄化活動のピーアールに一役買っていました。


黒壁の醸造蔵群を映す運河の美しい景観
会場となった半田市は、愛知県知多半島東海岸の中央に位置し、東は衣浦湾に面し、西は知多丘陵の常滑市と接しています。極めて水質が良いために江戸時代からミツカン酢を代表に、味噌・たまり・酒などの醸造文化が発展し、それらを海路で江戸に運ぶために半田運河がつくられた、水文化豊かな町です。しかし、昭和30年代後半からの高度経済成長期以降、半田運河は工場排水や生活排水の流入による汚染が深刻となり、平成3年に衣浦港半田運河再生事業計画が策定され、護岸や源兵衛橋の改修等、運河の歴史的景観の保存事業が始まりました。並行して半田市の下水道も整備され、運河へ注ぎ込む十ヶ川、新川の水質は次第に向上してはいるものの、いまだ生態系の復活までには至っていません。

EM団子
EM活性液やEMボカシを土と一緒に練りこみ、団子状にして、発酵乾燥したもの。土由来の微生物の中で、EMと共生できる有用発酵系のものが増える。団子表面は、好気性の糸状菌。団子の有機物は、発酵過程で大量の微生物に取り込まれて菌体の一部になっている。
EM団子のつくり方
EMでの水質浄化活動は、ようやくその緒についたばかりですが、実行委員長の竹内陸治さん(岩滑エコクラブ会長)は、「EMの水質浄化(事例2、3参照)の仕組みが、生物的方法による生態系の自浄作用にもとづいていることを参加したみなさんに理解してもらえたと思う。これを機会に行政と市民が協力して、豊かな水の街をよみがえらせたい」と抱負を語っていました。

事例発表要旨

1.神戸川浄化 15年間のあゆみ 板山公民館板山竹炭研究会 会長 山田崇

半田市板山町を流れる「神戸川」にもう一度メダカやホタルを呼び戻したいという思いから、地域資源の竹炭で水質浄化活動を行い、10年かけてホタルの再生を果たした。現在は、月2回公民館たけの子クラブを開催し、門松作りや凧揚げ、神戸川でいかだ乗りなど遊びを通して、次世代と共に豊富な竹材で里山再生を目指す。伐採した竹は、スパイラル管窯2基を使って竹炭、竹酢液を製造。年に1回各家庭に配布し、各家庭の排水溝に入れてもらうなどして、川に汚れた水を流さないようにと呼びかけ、啓発、啓蒙活動を続けている。

2.半田運河の浄化  半田運河の会 事務局長 井上叡

半田運河の魅力をさらに高めて、半田の観光の一大拠点に育てあげると同時に、四季を通じ市民の憩いの場とすることを目標に発足。会長の榊原伊三氏は元市長。会員と地元住民が運河周辺のごみ拾いや草取りを行い、遊歩道には2年間で1万本の水仙を植えた。観光ガイド協会などと共催でウォーキング大会を開催し、年々参加者が増えるている。今年で第3回となる「手づくりいかだレース大会」では、参加者全員で約5,000個のEM団子を運河に投入した。半田運河上流の十ヶ川の起点である阿久比ポンプ場で、EM活性液を1トンずつ毎月2回放流し、浄化のテストを行っている。

http://www.cac-net.ne.jp/~nabata/

3.地域あげて稗田川の浄化 稗田川をきれいにする会 代表 杉浦康夫

稗田川の上流から下流に位置する地区住民が参加し、乙川全域で取り組む河川浄化活動。
昔は、多様な魚の宝庫だった稗田川が、「生活排水が多く流れ込む稗田川などでは、汚れた水の中でも生息できるヒメモノアラガイなど・・」と郷土誌に書かれる事態になり、発奮。
市民活動助成金を活用して、「みんなでキレイな川にしよう」と立ち上がった。地域住民や乙川中学校生徒が清掃後、自然観察会(市環境課主催)を行い実態を調査した。住民で培養をしたEM活性液を投入して、シジミ復活をめざす。

4.生ごみ活用でおいしい家庭菜園 530(ごーさんまる)とこなめ 会長 水上幸枝 松下澄子




↑クリックで拡大します
常滑市のごみ減量化をすすめる市民自主活動グループ。「常滑市ごみ減量市民大会」で決定した平成24〜27年度までに資源物を除く1人1日当たりの家庭ごみ排出量を、平成21年度比で約20%減となる530gにすることを目標にして生ごみ資源化の普及活動を行う。 生ごみを密閉式容器に補助金がつき、アスパ(EMボカシ)が、市役所生活環境課など4ヶ所で一世帯2袋まで無料配布される。
立ち上げから関わった水上さん(写真左)は、生ごみたい肥で栽培した長ネギを持参。生ごみの減量をすることから、一歩すすんだ生ごみリサイクルを薦める。主婦の松下さんは、生ごみリサイクルが、頭で考えるほど難しいことではなく、誰でも台所でできる素晴らしい方法だと紹介。

http://530tokoname.web.fc2.com/

5.家族にも環境にも優しい天然石けん みずほ環境保護クラブ 桑田八重子

瑞穂町内の桜並木の保護、花壇づくりや清掃活動などを行うボランティア団体。資金づくりと環境保護のために廃油を回収、石けんをつくる。リサイクル石けん使用者からは、「食べられる油が原料なので安心」「人体の油汗、機械の油汚れなどがよく落ちる」「入浴などの使用で皮膚の脂肪分を過剰に奪い過ぎない」「肌のつっぱり、カサカサにならない」「化学反応に敏感なアレルギーの人からはピリピリしないでしっとりす」などの声をもらっていたが、2年前からEM入り石けんに変更したところ、「泡立ちが良くなった」「使用中のヌメリ感がなくなった」「洗浄力が増して、洗い上がりの白さが増した」「廃油のニオイが感じられなくなった」など好評で、廃油石けんの使用者が増加中。


比嘉照夫教授講演「水の蘇生と生態系の再生」要旨


  1. 川をきれいにしたい時に、気にしなければならないのは有機物の量よりも、その有機物が生き物にどうように利用され、どのように変化し、移動していくかということ。
  2. 有機物は、過剰になり停滞すると水を汚す原因になるが、微生物のエサとして循環すれば問題ない。EM団子に入っている有機物は、発酵の過程で、乳酸菌や酵母、糸状菌などのエサとして利用され、川底でヘドロ化することはない。
  3. 腐敗したヘドロの中は、酸素がない環境で腐敗菌が優占するが、EM団子の中は有用発酵菌が高密度で存在しており、集団性を発揮して周囲の有機物を有用発酵分解していく。
  4. 有用発酵菌と共生関係にある光合成細菌は、ヘドロの中の悪臭物質を使って有用発酵菌が使える栄養分をつくり出す。その結果、悪臭が減り、有用発酵分解がすすむ。
  5. 土壌と同じように水系が発酵合成型に変わると、悪臭が消え、ヘドロが大量な菌体と有機物があわさった有機物に変化する。アミノ酸や有機酸、糖類などの有機物は、藻類をはじめとする植物性プランクトンを経て、原生動物(動物プランクトン)のエサとなり、生態系の底辺をかたちづくる。
  6. 動植物プランクトンをエサとするエビ、カニ、貝類、魚が増える。浄化が進むにつれて、生物多様性がさらに豊かになる。
  7. 化学的や物理的ではない、生物的方法で生態系による自浄作用が再び動き出す。
大阪湾、三河湾、東京湾など、湾に流れ込む河川からEM団子やEM活性液を活用することで、海の生態系が豊かになってきた。こうした実績の基になったひとつは、熊本県河内町のホタルを復活させ、さらに海苔の生産に、地域のつながりに貢献した婦人会活動(「河内町せせらぎ会」会長・中川ケイ子)。11年目を迎えた「ホタル鑑賞会」には、町内外から大勢の人たちが楽しむ。この活動を見ていた子どもたちが、ホタルのすめる町にしてくれた人たちを称える「河内の宝」(BEGIN「島人ぬ宝・しまんちゅぬたから」の替え歌)をつくり、代々歌い継がれている。この地域の子どもたちは、汚い川ではなく、きれいな川を見て育っている。汚い川を後世に残さない、誰でもできる簡単な方法を多くの人たちに伝えて欲しい。

2014年10月22日


トップページ | EMとは? | 特集・レポート | 連載 | 投稿ひろば | 用語集 | FAQ | バックナンバー | EM情報室 | リンク集 | サイトマップ