善循環の輪えひめin松山
〜効いて見て触れたEMデー〜

挨拶する野本えひめEM普及協会長



講演する比嘉照夫教授



満員の会場
四国EMフェスタin愛媛2014(主催:えひめEM普及協会、NPO法人地球環境共生ネットワーク=U-ネット 後援:松山市、松山市教育員会)が、11月1日松山市の認定こども園星岡(松山幼稚園)で開催され、延べ600人が参加しました。開催にあたり、長谷川淳二愛媛県副知事、野志克仁松山市長らが、EMへの期待を込めて歓迎の挨拶を行いました。

午前の部の花のまちづくりセミナーでは、松山市立久枝小学校の井上孝一・中井宏美教諭が「地球環境にやさしい花づくりの一歩」を報告し、午後の部では、脱サラして自然農法に取り組む今治市の越智資行さんが事例発表を行いました。また、比嘉照夫名桜大学国際EM技術センター長が特別基調講演を、EM環境教育に詳しい大島由臣U-ネット顧問が特別記念講演を行いました。

今回は、20余年前から全社あげてEM活動に取り組んできたアトムグループが企画運営を行い、会場も同グループが経営する幼稚園の体育館と大会会場としては異例。ブログラムも、昼休みにフリータイムを設け、園庭でのしし鍋の炊き出し、EM活用実演コーナー、EM農産物の販売ブースなどが準備された体験コースと、障がい者自立訓練・就労支援センター「アルムの里」(松山市砥部町)へバスで移動してのEM農園視察の2コースが用意されました。なかでも農業に大きな被害を及ぼしている鳥獣被害対策にEM活性液入りのペットボトルを設置する方法には、半疑ながらも「やってみたい」という声がたくさん聞かれました。


野菜とみかん畑



ヤギ飼育も



いざという時の自給農園



EMボカシを使用する簡易トイレ



EM処理した猪肉で猪鍋
アトムグループは、医療・福祉・パブリックサービス分野33事業所に2300人の従業員が働くネットワーク企業。すでに10年前には、病院、福祉施設などで、消臭、健康管理などのEM活用法を確立していましたが、原点に戻って徹底的にEMを活用しようと2014年7月に「EMとことん推進隊」を組織化しました。この「EMとことん推進隊」の本部長が、えひめEM協会会長の野本千壽子さん。野本さんは、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」に13年前に出会って大きな衝撃を受け、その後、松山幼稚園に勤務してEMに出会いました。「震災を経験した今回の大会では、農業、環境、健康に防災を加えた私たちの実践を紹介したい。ことに近い将来必ず起きるであろう巨大地震に備えて、炊き出し、トイレの消臭、物流が止まったときに提供できる野菜など“生きた備蓄”をぜひ見ていただき、各地で備えをして欲しい」と提案しています。講演に体験や視察を組み込んだ今回のアイディアも、EM に長年親しんできた野本さんならではのもので、環境教育の極意でもある「五感を使って学ぶ」にふさわしい大会でした。なお、EMを活用して地域への社会貢献を行った、松山市北土居町内会、アトムグループ利用者がつくるEM環境クラブ、今治小学校&今治小学校環境サポートの3グループが主催者から表彰され、参加者全員で喜びを分かち合いました。

この大会は、四国各県ごとに協会を置き、地域の環境改善のためにEMを普及することを目的に活動している四国EM普及協会が、1999年から四国4県もちまわりで行っているもので、今年で15回目となります。なお、来年の四国EMフェスタは、徳島県阿南市で11月7日に行われる予定です。




四国EM普及協会
http://www.amron.co.jp/sem/
アトムグループ
http://www.atomgroup.jp/about/index.html




事例発表

花のまちづくりセミナー事例発表
地球環境にやさしい花づくりの一歩
松山市立久枝小学校 教諭 井上孝一 中井宏美

5年生の総合的な学習に環境を取り上げ、2009年より「アルムの里」の協力で年2回計260LのEM活性液をプールに投入。短時間で掃除が終わり、プールが生き物が棲める水に変わってきた。昨年度は理科の授業とリンクさせて学校の畑の野菜づくりにEMボカシを活用。本年度は、EM生ごみたい肥を使って一人一鉢のサルビア栽培に取り組んだ結果、例年になく葉が良く茂り、濃い緑に生育した。11月になった現在でも赤い花を咲かせている。夏休みには、地域の人が観察にこられ、「土がしっかりとしていますね」と声をかけてもらった。児童が栽培を通して地域の人たちとの交流するなど、さらに大きな学びに繋がるようにしていきたい。

農業でのEM活用事例
ありがたい豊かさ「べじべじ自然農園」
今治市 越智資行

大阪の電力会社を休職して青年海外協力隊に参加し、復職するも、農業にこそ真の豊かさを伝える原点があると考えて31歳で脱サラして就農。父親の出身地である瀬戸内海の大三島に家族で移住して以来、16年間自然農法で農業を営む。現在、83aの農地を耕作し、野菜(約60種類)とみかん(3品種)、梅、米(自家用)を栽培。ニワトリ60羽を放し飼いで飼育。労働力は、専業1人(本人)と研修生3人。これにクモ、てんとう虫、ミミズなどが加わる。 取り組んでいる自然農法の概要は、
① 育土
EMもフル回転させて、畑で育つものをなにひとつ無駄なく循環させる。鶏ふんはもとより、除草した草や野菜の残さ、果菜類の整枝などを活用し、EM活性液(500~1,000倍希釈液)を撒く。作付け前にできたたい肥を畝の表面に敷き、その上にEMボカシとミネラル補給のためのカキ殻石灰を一般的な施肥量の半分ほど施す。施肥後、100倍EM活性液をかん水する。土の中の微生物を豊かにすることを第一義に取り組んでいる。
② 種苗
イネ以外の苗は自家育苗。里芋、カボチャなど数種類は自家採取している。
③ 種まき・植え付け時期
旬に栽培するように作物の育ちたい時期に播種。
④ 病害虫・雑草の抑制
適度に草を茂らせれば、バランスよく虫が発生し、害虫化しない。畑に自生する草も重要な育土の資材と考えて工夫して利用している。

循環と小さな生物たちを大切に「自然」を真ん中にした農業を行い、「自然の四季を食卓に」をスローガンに旬の野菜を「押し売りお任せパック」として阪神及び東京方面の消費者へ宅配。また、「大三島自然農法柑橘グループ」を組織して、みかんジュース、ポン酢、ソースなど加工品をつくって6次化産業化も行う。大三島の環境浄化活動を行う「大三島愛ランド自然倶楽部」や「大三島自然探検隊」などを発足させて、地域の環境保全活動に力を注いできた。(この取り組みで、平成17年第3回オーライ!ニッポン大賞を受賞)今後は、自宅を改装した農家民宿「べじべじ」を通して、「あたり前の豊かさ」を「ありがたい豊かさ」と思える人を増やしていきたい。

https://www.ecopure.info/oldweb/rensai/ochipon/ochipon01.html




受賞したグループ

①松山市北土居町内会


大会の最後に披露された『EMとことん音頭』
年4回定期的にEM団子で河川浄化活動を行う。「町内のゴミゼロ・環境美化運動を推進し、町民の意識向上に繋げる歌が欲しい。その歌を通してふれあいを強くしたい」という声で生まれた『EMとことん音頭』を盆踊りや文化祭で披露するなど、EMの普及と啓発に尽くしている。

②EM環境クラブ

アトムグループの障がい者施設3施設の利用者でつくる環境クラブ。松山市内の小中学校76校のプール清掃用の活性液を年間約20t製造している。トイレの消臭協力校へEM活性液を流す作業などを行い、「小さな親切運動・実行章」を受賞。

③今治小学校&今治小学校環境サポート

今治小学校は、平成10年から総合的な学習にEMを導入。学校給食で出る米のとぎ汁でEM発酵液をつくり、トイレ掃除、プール清掃に活用。EMボカシで生ごみをたい肥化して花壇、菜園に使う。廃油はEM廃油石けんとして清掃に使用。校内循環型エコ活動を実践している。環境サポートは、PTAとは別に学校、生徒、保護者とが協力して活動するグループ。学校でのEM活動をサポートし、学校と地域との架け橋となる。



特別記念講演要旨
地域で環境学習の場づくりを
大島由臣(U-ネット顧問 NPO法人足利水土里探偵団理事長・葉鹿エコクラブ顧問)

  私が赴任していた足利市立葉鹿小学校では、総合学習の教育目的である①人とのつながり②伝えあう力③社会貢献④継続性⑤自然と人とのつながりを実現するため、EMによる環境学習をすすめてきた。今後子どもたちに求められるライフスタイルの変革を頭において指導したが、供たちの吸収する力、表現する力は大人の想像を超えて素晴らしく、コカ・コーラ環境教育賞など数々の賞をいただいた。

しかしながら、ESD(持続可能な教育の10年)が今年で終了し、肝心の総合学習の時間は、理科、社会、道徳などにバラバラにさせられる見込みだ。さらに2018年には、オリンピックをにらんで英語の学習が小学校中学年から始まり、ますます、環境教育が行われなくなる。では、どこで誰が環境教育を行うのかが問題で、ひとつは地域ともうひとつは学校のPTAではないかと考えている。どちらにしても、明確な目的をもって、必ず親子で参加できるようにすることが肝要だ。

各校の水質検査結果
2005.7.11
検査項目 A小 B中 C中 葉鹿小
遊離残留
塩素濃度
0.4mg/L 1.5mg/L 3.0mg/L 1.5mg/L
pH値 7.4 7.2 7.2 7.4
濁度 0.5未満 0.5未満 0.5未満 0.5未満
有機物等
(過マン
ガン酸カ
リウム消
費量)
0.1mg/L
未満
0.2mg/L
未満
0.7mg/L
未満
0.1mg/L
未満
一般
細菌数
0個 0個 0個 0個
大腸菌群 不検出 不検出 不検出 不検出
総トリハ
ロメタン
0.025
mg/L
0.013
mg/L
0.012
mg/L
0.004
mg/L
地域で活動する葉鹿エコクラブでは、生態系の学習から、活性液を作ってプールに投入、生物調査を行うことで川への興味を引き出しジャケを放流するなど12講座を用意して、一連の水環境とEMの学びがでくるプログラムを用意している。また、足利市の東光寺幼稚園では園で出た生ごみが有機野菜に、廃油が石けんやキャンドルにリサイクルされるしくみを葉鹿エコクラブの会員が行っている。こうした取り組みを積み上げることが今後求められる。

足利市立葉鹿小学校では、プール終了後の8月下旬から5月まで毎月200Lを流し込んでいたが、これは学校教育には一貫性が大事なためで、年2回では記憶に残らない。毎月入れるためには、日常的にEM活性液を仕込まなければならないので、毎日誰かが少しの時間を見つけてボトルの開け閉めをして空気を抜く作業をしていた。1日1分、3分でも自分で時間をつくり、作業をすることが大事だ。

プール清掃にEM活性液を使用した結果は、
①プール清掃時間の短縮 4年目で2時間が40分となり、休み時間で清掃が終わることになった。授業を清掃にあてる必要がなく、児童のボランティアで行うことができた。
②水質の問題 同じ水源である学校と比べてなんら問題がなく、むしろ良い結果となった。(表参照)
③水質の良さ 泳げない子供の指導を行うスイミングスクールの先生から、「なんでこんなにきれいか」と質問を受けるほど良好。
④水道料の低減 遊泳中のプールはオーバーフォーローのみで水の入れ替えをしない。一般的に3回入れ替えをする学校よりも約20万円の水道代を節約できた。(表参照)

こうした結果は、EM環境学習を行う場合の資料として役に立つものと思う。 ①聞いたことは忘れる②見たことは思い出す③体験したことは理解する。C発見したことは身につく。EMを活用すれば、なんらかの発見をする。つまり、それは身につき、ライフスタイルを変えることにつながるだろう。

NPO法人足利水土里探偵団
http://www.watv.ne.jp/~midori-5/

葉鹿エコクラブ
http://ak-ouen.net/guide/katsudou/hajika_eco



特別基調講演要旨
EMがもたらす整流現象について
比嘉照夫(名桜大学国際EM技術センター長・琉球大学名誉教授)

EMの抗酸化力、非イオン化作用については、時間の経過とともにみなさんの理解を得たが、第3番目の有害なエネルギーを触媒的に有用なエネルギーに転換する力についてはなかなか説明がつかなかった。環境が悪くなるのも健康を害するのも、作物が十分に育たないのも、すべて電子の流れが乱れて抵抗となって著しく効率が悪くなっているのに過ぎない。したがって、あらゆる悪いものを良いものに転換する力は整流力にある。実はこの整流力こそEMの本質的な力だ。

アメリカで研究された「マイクロバイオーム(微生物叢〔相〕)」でもわかるように人体には自身の細胞の10倍もの数の細菌が存在し、複雑な生態系を構築している。この生態系の異常が肥満や自己免疫疾患や、人間の健康状態や寿命などのあらゆる分野に支配的に関わり合っており、マイクロバイオーム(微生物叢〔相〕)の管理がすべてを決定すると言っても過言ではない。

人体も自然もすべて微生物の海の中に生きており、その微生物のあり方ですべてが決まるということになるが、今のところ、EM技術以外に微生物相(マイクロバイオーム)を自在に管理できる手法はない。つまり、微生物相を善玉菌の微生物相(叢)に管理していけば、整流力が高まる。

農業の場合、まずはpH3.5以下の上質なEM活性液をつくり、土壌全体の有機物量を増やし、マイクロバイオームをEMに近い善玉菌の微生物相(叢)になるように管理する。その次はEM活性液を100~200倍にして数日おきにジョウロなどで葉面に散布。この場合、スーパーセラC(EMセラミックスパウダー)を1,000~2,000倍になるように混和すると、なおよい。

病害虫が発生した場合は、良質の活性液を3~5倍にして全体がぬれるように散布。この場合、500分の1くらいになるようにスーパーセラCを加えるとさらに効果的。このような容量で2~3日に1回、合計3回くらい散布すると、ほとんどの病害虫は姿を消してしまう。
カメムシ対策には、原液で10a当たり50L撒く。ポイントは、農薬のようにEMを使わないこと。こうした方法をとれば、高齢化した農家であっても、耕さずに農業を続けることができる。

散布されたEMは、植物体の電子の流れを、より効率よく整流するばかりでなく、土壌のマイクロバイオームの改善と、土壌中の整流力を高める力となる。EMは効果が出るまで使い続けることが肝要であるという裏には、EMの整流力が向上し、安定化すると意味がある。
効くまで使えの本当の意味は、この整流力が発揮されるレベルまでということで、EMを生活化してしまうことが肝要だ。
hhttps://www.ecopure.info/oldweb/rensai/teruohiga/yumeniikiru83.html

2014年11月20日


トップページ | EMとは? | 特集・レポート | 連載 | 投稿ひろば | 用語集 | FAQ | バックナンバー | EM情報室 | リンク集 | サイトマップ