福島と東京で講義した比嘉照夫教授
11月22日福島県の県教育会館(福島市)で、「第3回環境フォーラムうつくしまEMパラダイス」(主催:NPO法人地球環境・共生ネットワーク=Uネット)が開催され、福島県内外からEMユーザーなど約200人が参加しました。このフォーラムは2011年3月11日に起きた東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故で被災した福島県を、EMの活用によって放射能汚染問題を解決し、「うつくしまEMパラダイス」にする目的で開催されているものです。

Uネットでは、全国からの支援金で福島県や栃木県の41箇所にEM培養装置を設置し、事故直後から、誰でもEMが使える仕組みを整えました。この装置を利用するなどしてEM 活性液を継続的に使った事例を毎年発表して、情報を公開しています。
その結果、
①有機物を投与しEMが十分活動できるような条件を整えて、EMの密度を高めるような栽培管理を行った農地では、作物への放射性セシウムの吸収は抑制される。同時に作物の収量や品質が向上する。
②EMを活用した酪農では、畜舎の衛生問題をすべて解決し、その地域の汚染牧草を牛に与えても牛乳中の放射性セシウムは5ベクレル以下となり(国の基準は50ベクレル)、そのスラリー(糞尿)を散布した牧草地の放射能レベルが低下し、牧草の放射性セシウムの吸収も抑制された。
③EM活性液を継続的に散布した場合、例外なく放射性汚染レベルが低下している。降雨など土壌水分の多い条件下で散布するとより効果的である。
などが検証されています。

中でも、瀧澤牧場でのEM牛糞たい肥やEMスラリー(糞尿)での放射性セシウムの牧草への移行抑制などの実験結果は、今年、学会で発表されるまでの成果をあげています(事例④)。すでにマクタアメニティ鰍ェ開発した「EMオーガアグリシステム標準堆肥」を使った作物への移行係数が少ないことは認められていますが、その結果を補強するもので、広く有機農家や畜産農家への朗報といえるものです。

また、池底に沈殿する放射性セシウムは、時間と共にもっともやっかいな問題ですが、この汚泥の除染に従来の池や河川浄化の方法を用いて軽減させる事例が加わり、注目されました(事例E)。

また、ベラルーシ科学アカデミー放射線生物学研究所のアレクサンドル・ナウモフ博士(研究所所長)とアレクサンダー・ニキティン博士が、最新の研究成果を発表。ラットにおけるEMやEM飲料の影響を研究テーマにするナウモフ博士(写真左)は、1グレイのγ線を照射したネズミに、EM飲料を体重1kg当たり1.5mlを毎日与えたグループと与えないグループの心臓と行動に対する影響を調査した結果、EM飲料を飲ませたラット群には異常が見られなかったなど、動物実験においては、EMとEM飲料の摂取が酸化ストレス、甲状腺機能、循環器、神経系などに加え、脳や行動に対する外部被ばくによる影響を軽減する可能性をさらに強化しました。

一方、EMによる放射性物質の作物への移行抑制と生産性に及ぼす影響をテーマにするニキティン博士(写真左)は、「EMを散布して放射線量や放射性物質を低減するという日本のEMユーザーからの報告に、なにかの間違えでは? 正しく測定されていないのでは?」と懐疑的だったことを率直に話したあとで、次のように報告しました。
「ベラルーシで実施した圃場試験においても、EM散布濃度に比例して土壌中の放射性セシウム137が低減していることは確認した。ではどこに移動しているかを実験したところ、圃場レベルではEMを散布した場合は、地表から近い土層で減少が認められたが、より深い土層への移動は正確には検出できなかった。また、実験室レベルではチェルノブイリ警戒区域から採取した汚染土をカルムに詰めEMで浸出させセシウム137の移動を調べる実験において、土壌に残ったせセシウム137は、EM中に溶出したセシウム137を差し引いた以上に低減した結果となった。これは、私がもつ科学的常識では説明できない」と驚きを隠せず、会場もマジックでも見せられた雰囲気となりました。この実験については、さらに詳細に研究される予定です。

翌23日は会場を東京・浅草橋ヒューリックホールに移し、「第4回EMサミットin東京  微生物と放射能、どこまでわかっているの?私たちが行き抜くために!パートU」(共催: NPO法人 チェルノブイリへのかけはし、EM女子会・東京EMサミット実行委員会)が、比嘉照夫教授、ナウモフ、二キティン両博士を招いて開催され、若い親子連れなど230人が参加しました。










この会は、震災の翌年2月、山形県上山市で「東北EMサミット 被災地から学ぶ緊急勉強会 母から母へ EMセミナー」から始まり、同年には関東地方のお母さんたちを対象に東京で開催。「チェルノブイリの経験を日本で活かし、自分たちでできることをやろう!」とNPO法人チェルノブイリへのかけはしの代表・野呂美加さんと長年野菜づくりやお掃除にEMを使っている女性たちが、今までの経験を子育て中のお母さんたちに伝えようと企画したものです。市民の放射能対策、発酵の知恵と工夫、医師による医学的な見地による被ばく対策など生活者の視点で子どもたちの健康を守る情報を持ち寄っています。昨年は、ゲストとしてベラルーシのセルゲイ・ラフマニノフ特命全権大使を招き、放射能対策や法律の歩みを学び、ナウモフ、二キティン両科学者から直接に放射能対策や実験方法などのアドバイスを受けました。

今回は、福島県田村市都路地区で避難した飼い主の代わりに動物の世話をしながら暮らし続ける今泉智さん、神奈川県川崎市で子どもたちのために放射能低減実験を続ける金子のぶみちさんが事例を発表しました。ナウモフ、二キティン博士は、福島フォーラムでの発表に加えて、放射性ストロンチウム90について言及し、「放射性ストロンチウム90は、水との親和性が強く生態系の循環にたやすく組み込まれる。食物連鎖で体内に入るとカルシウムと混同されて骨や歯に取り込まれ、しかも排出しにくいという厄介な性質がある。すでにEMで放射性ストロンチウムの吸収抑制ができることが明らかになっているが、成長期の子ども(ことに1歳未満)と免疫力が減少している高齢者には十分注意するように」とのアドバイスがありました。放射性セシウムだけしか報道されていない日本で、まだまだ食物連鎖による放射能問題は続いていくことを改めて確認した参加者も多かったようです。


コズモファームの活性液
また、活性液がうまくつくれないというお母さんのために比嘉照夫教授から直伝のアドバイスがあり、「悪い菌は増えない国際基準のph3.5を厳守すること=元の原液のニオイ、色に近いものにする。そのためには、器械やリトマス紙に頼らず、増やし方を身につけ、発酵臭がどのようなものであるかの感知力をつけることが大事だ」「ハイレベルの活性液をつくらないと限界突破できない」として、「波動が高い活性液には、キレイな容器キレイな水は当然として、①容量の1%程度の天然塩を加える、②初めは温度を上る」ことを強調し、波動の能力を高める応用技術として、還元力のある木炭、薫炭、セラミックスなどの材料を加えたEM団子を推奨しました。
さらに「EMには、乱れた電気を整える能力があり、活性液をつくったら必ず使いきっていけば、あらゆる問題が良い方向に解決していく」として、一例として、「EM500倍希釈液を吹き掛けると、ヘルペスウイルスもインフルエンザウイルスも3秒で失活。1000倍希釈液でも5秒で失活し、再復活しない(ウイルス学権威の西連寺剛先生が第61回日本ウイルス学会:2013.11月10日~12日 神戸で発表)」ことを報告し、EMを味方につければ、環境も良くなり健康にもなれると、お母さんたちを励ましました。


EM農家らを紹介する野呂さん(左)
最後に主催者の1人野呂美加さんが、「事故後、EMを使っての試行錯誤を持ち寄って解決を試みてきたが、ようやく方向性が見えてきた。チェルノブイリと福島の体験がEMの可能性の扉を少し開けることができてうれしい。子どもたちと日本の再生のために可能性のあるものは、なんでも試して欲しい」と締めくくりました。
今後は、活性液づくりのプロを目指して、EM農家での親子研修、EM栽培の野菜の提携などを視野に活動を続けることです。

事例発表

①作物への移行抑制、宅地の放射能低減化
 EM柴田農園
 代表者 柴田和明
 ■EM使用量/月間:5,000L

栃木県のホットスポットに在住。空間線量は、0.3~1.0μSv/h程度であるが、自宅周辺は、0.3μSv/h(地表1m)以下で、2011年と比較すると3分の1まで軽減。除染の成果を自力で証明し、除染の費用を東京電力に補償してもらった。生産した農作物の放射性セシウム濃度は、野菜6品種いずれも検出限界以下となった。すべての野菜には化学肥料、農薬を使用していないが、味、収穫量ともにすばらしい結果が出ている。例えば、夏に収穫したカボチャは、5月まで食べられるほど抗酸化力がある。
http://ohinatamarche.jugem.jp/?eid=10

②いやしの場の出現を目指して!
 コズモファーム
 代表者 今泉智
 ■EM使用量/月間:5,000L






福島第一原発から20km圏内。事故当初は警戒区域に指定され、立ち入りが制限されていたが、EMで放射線量を低減できると確信して留まる。現在も集落は壊滅状態。EMで放射能が減らせるとは知らなかったが、偶然に大熊町のEM堆肥の上で線量を測定してみたところ、周囲が27μSV/hあるにも関わらず、堆肥の上は7μSv/hだったことから、2012年5月より約32haの広大な山林一帯にEMを散布。2013年から始まった国の除染により一時中断したが、環境省の調査では、田村市特別除染地域の宅地は実施前平均0.63μSv/h が 0.34μSv/hに低減。一方、国の除染をしなかった今泉宅周辺および庭11ヶ所の平均は、0.22μSv/hで低減率54%、除染前0.61μSv/h(自宅から30m付近)の約64%低減したことになり、土を動かさないでもEMを散布すれば低減することが判った。
EM活用の原点に戻り、作物栽培や花による景観美化に注力し、楽園づくりに勤しんでいる。その結果、トマト、ナス、小松菜などあらゆる作物がスクスクと育ち、消毒なしでのバラが美しく咲き誇っている。今年の米は、玄米1Bq/kg、白米NDで、食味バランスも完璧。炭、籾殻、セラミック、水晶などを入れたEM団子も併用し、庭やペットのトイレなどにも活用して、EM生活をおくっている。

③低線量地域での低減化に手応え
 EMとじょうろの会
 代表者 久呉ますみ
 ■EM使用量/月間:5,000~6,000L

住宅地の除染を目的に主婦20名が参加。2011年からEM散布を始める。2013年散布していない宅地よりも4割ほど線量が低減。強風や豪雨後の再上昇が起きりにくくなっている。
2014年、散布していない土地で0.23μSv/hを超える場所が見られる中、EMを散布した
宅地では0.13~0.15μSv/h、地表面と地表1mの位置での空間線量が似通っている。今秋からは、さらなる土中の放射線量低減化への取り組みとしてクン炭団子を埋設している。


④粗飼料自給、乳質安定が可能に
 瀧澤牧場
 代表者 瀧澤昇司
 ■EM使用量/月間:1,000L






原発から21.5km。原発事故か3ヶ月は乳を捨て続け、牛が食べる牧草は3000Bq/kg以上あり使用禁止になり、すべて外国産牧草に切り替える。こうした危機にEMと出会い、①給餌時の粗飼料へのEM添加、②発酵混合飼料作成時のEM添加、③畜舎の床へのEM散布、④たい肥舎の液肥槽へのEM添加などを行った結果、牛の飼育環境改善や乳質の安定化、自家栽培牧草の放射性物質濃度の低下などの効果が認めれた。また、EM発酵スラリーで栽培した牧草は、化学肥料栽培の牧草と比較して、牧草中の放射性セシウム濃度が低くなるとともに移行係数も低くなることが判明した。栽培土壌の放射性セシウム濃度についても化学肥料区はほとんど変化が見られなかったに対し、EMスラリー(糞尿)を散布した土壌は減少。乳質も改善して放射能セシウムは不検出(検出限界値1 Bq/kg)の状態を維持している(この成果は第3回環境放射能除染研究発表会で公開)。


⑤放射能汚染地でのEM自然農法米づくり
 馬場EM研究会
 代表者 羽根田薫
 ■EM使用量/月間:10,000L

原発から21.5 km 。2012年から、地域の住民が集まるグランドゴルフ場と会員自宅にEM活性液を散布して線量低減化に取り組む。約1.3μSv/hの空間線量が、5ヶ月後に約0.6μSv/hになる。水稲栽培試験でも、放射性セシウムの米への移行が抑制された。EM使用の水田の玄米20Bq/kg に対してEM不使用の水田の玄米は80Bq/kgだった。2014年の米では、セシウム131不検出、セシウム137は玄米20Bq/kg、白米6Bq/kという結果だった。
仲間とハウスキュウリなど野菜や花きに大いに活用している。


⑥放射能低減に河川浄化の実績を活かす
 エコクラブだて
 責任者 遠藤稔
 ■EM使用量/月間:3,500L


自治会役員を紹介する遠藤さん(右)

河川浄化活動の経験を活かして、2013年に伊達市梁川町・粟野自治会との協労で長沼水質EMプロジェクトを立ち上げる。長沼は、農業かんがい用だが生活排水も流入するため池で、2013年5月の調査で池の汚泥中に約40,000Bq/kgの放射性セシウムが検出された。翌6月からEM活性液を1年半で約27t、EM団子700個を投入した。その結果、投入開始より半年後に、セシウム134が約62%、セシウム137が約60%低下し、DO(溶存酸素量)増加傾向にあり、汚泥の汚染低減化と川の水質改善に効果が見られる。


市民の実験①
 EM生活を検証する
  EM浄化研究室
  代表者 金子のぶみち


神奈川県川崎市在住。事故以降、160日間EM散布したところ、空間線量が83%の減少。その後、EMボカシや炭、セラミックなどを駆使して、①空間線量減少実験、②土壌汚染低減実験、③幼稚園園庭汚染低減実験(3ヶ月45%減)、④汚染カーペットEM洗浄実験、⑤汚染水溶液EM麻炭セシウム除去実験などを行う。自然減や水による洗い流したこともあるだろうが、いずれも半減期を上回る減少をみせ、浄化には時間が必要だが、放射能除去は可能という結論に至る。汚染カーペットEM洗浄実験での除去率は、水洗い26.0%に対して、水0.5+活性液0.5は43.5% 、水1+シャボン玉EM洗剤では48.7%という結果だった。
http://em2525.wiki.fc2.com/

市民の実験②
 放射能低減実験の途中報告
   高橋 剛(福島フォーラムで発表)


閉鎖的な空間での放射能低減実験。EM使用により土壌表面での放射線量は低減するが、攪拌することによって表面は増加し、底面では低下する。どのようなメカニズムで放射能が低減するか、独自の方法で探求中。

2014年12月20日


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