東京大会には関東周辺から600人が参加
 東京大会には関東周辺から500人が参加
 東日本大震災の被災地は、今年発生から丸5年となる節目の年を迎えます。26兆円の復興予算を計上した5年間の集中復興期間が3月で終わり、その後は「復興・創生期間」として、さらに5年間の新たな段階に入るということですが、いまだに大震災と原発事故による避難者は約18万2千人(15年12月復興庁調べ)。このうち東京電力福島第1原発の事故で、故郷を失った人や自ら避難した人の数は、10万人以上と言われています。国が指定した危険区域は別にして、福島県から避難した人たちの帰還をすすめていますが、果たして、本当に安全となったのかどうかは、専門家の間でも意見が分かれている状況に変りがありません。

一方、この5年間、自主的に放射能の除染を行い、自分たちの地域の再生に多くの市民やボランティアが努めてきました。そのひとつであるNPO法人地球環境共生ネットワーク(U-ネット)は、震災後ただちにEM災害復興支援プロジェクトを立ち上げ、福島に住む人々と共に実証実験を積み上げてきました。このプロジェクトは、EMボランティアと世界から寄せられた寄付金によってまかなわれて、現在約50の事業が行われています。

福島での環境フォーラム
 福島での環境フォーラム
こうした中で、昨年の11月28日福島市のワラッセ福島で第4回「環境フォーラム」が、翌29日には東京・笹川記念会館で第5回「うつくしまEMパラダイスin東京」が開催されました。環境フォーラムの第1回目は2012年10月福島県郡山市で行われ、当時は「よいと思われるものはなんでもやってみるしかない」という切羽詰まった気持ちでEMを使った人たちも、「もしかしたら現状を変えられるかも」という期待へと変わり、4回目となる今回は、「もう私たちは被災を乗り越えた」という声が出るほど、自信に溢れた発表が続きました。今回は、EM活性液に塩を加えることや木炭の使用など、EMの活用方法も進化しており、ことに農地でEM炭団子を埋めると波動効果を高めて広い範囲にわたり効果が見られるということでした。これらは福島県の希望だけではなく、今後も起こりえる原発事故への対応に大きく貢献するものと思われます。

また、ベラルーシ国立科学アカデミー放射線生物学研究所では、チェルノブイリ原発事故以降、EMの放射性物質に対する影響や被ばく障害の軽減に関して長年研究しており、今回は同研究所のチェシク・アナトリィエヴィチ所長とアレクサンダー・ニキティン博士が研究報告を行いました。

放射線の生物学影響を研究するチェシク所長
 放射線の生物学影響を研究するチェシク所長
放射線の生物学的影響と保護方法を研究するチェシク博士は、「福島第一原発の事故によるヨウ素の放出量は、チェルノブイリ事故の10分の1だったが、ことに幼児や子どもの甲状腺ガンは注意しなくてはならない」として、「放射能で汚染されたベラルーシのゴメリ州では、原発事故時の1986年から9年後の1995年に子どもたちの甲状腺ガンの発生のピークが認められ、さらに2012年時では、被ばくした子どもたちの成長とともに、青年および成人の間で発生率が増加していた」として注意を促しました。

また、放射能を含む酸化ストレスがDNAを傷つけ、ガンの発症リスクを高めるとして、リスクを減らす研究を進め、「内部被ばくさせたラットにEM製品を飲ませると、血清中の抗酸化の指標であるスルフヒドリル基が有意に増加、酸化ストレス指標である血中のTBARS濃度が抑制され、EM製品が内部被ばく障害の軽減に有効に働く結果が得られた」と報告しました。

土壌におけるEMの働きを研究するニキティン博士
 土壌におけるEMの働きを研究するニキティン博士
一方、土壌中の放射性セシウムに対する影響を調査するニキティン博士は、昨年EMがセシウム137の鉛直方向(水平面に対して垂直の方向)への移動を促進するという仮説の検証を行い、EMを施用した土壌で残留するセシウム137が推定以上に減少したことを発表しましたが、今年は各処理区の反復を増やし再検証した結果を報告しました。結果は、昨年と同様の傾向を示し、「土壌中で最も放射能が減少したのはEMを施用した場合だった。これは自分の科学的知識では説明できない現象であり、今後さらに詳細な研究が必要」と話しました。

福島の事例結果を共に喜ぶ比嘉教授
 福島の事例結果を共に喜ぶ比嘉教授
U-ネット理事長の比嘉照夫琉球大学名誉教授は、震災直後、「EMのコンセプトは、すべてのものに対し安全で快適、低コストで高品質、善循環的持続可能となっており、この力は放射能汚染地帯においても無限なる力を発揮してくれる」として全面的な協力体制を敷いてきました。その結果は、すでに2012年にEMの活性液を散布し続けた場所は、例外なく放射汚染レベルが低下していることや、農業や酪農分野でも好結果を得ていることを公表し、福島県を中心とする低線量汚染地帯で実施すれば、放射能汚染問題を根本から解決すると述べていましたが、今回の事例はそれを補強し、進化させる結果になりました。

さらにEMの持つマイクロコイルを通り抜けると、電子の流れが整えられるという整流効果が、EMの蘇生エネルギーの核心だとして、この分野の研究は、世界でも入り口に入ったレベルと解説しました。「微生物の世界は、自然界のダイナミックな動きに調和していくもので、研究室での解明は難しい。EMを信じ、時間をかけて向き合い、絶望的な状況を変えてきた被災地のみなさんとそれを支えてきた大勢のボランティアのみなさんに心から感謝したい。成功するまでやり切り、福島、そして日本から地球の環境を再構築していきたい。それは必ず実現する」と結びました。

さらなる支援を呼びかけるU-ネット代表・吉澤理事
 さらなる支援を呼びかけるU-ネット代表・吉澤理事
同プロジェクト担当の吉澤文五郎U-ネット代表理事は、「津波の被害による悪臭や衛生問題を解決するのは経験上、そう難しいことではなかったが、次の課題となった放射能汚染は何世代にもわたる深刻な問題でそう簡単には解決しないと思っていた。被災者のみなさんの生活基盤が回復するばかりか、さらに前向きになられていることが何よりもうれしい。最大の危機を乗り越え、逆境をチャンスに変えている福島のことを全国の人たちに知ってもらいたい」と話しました。さらに「現実に福島がパラダイスの地になるまで見返りを求めないボランティアの力で営々と続けたい」とさらなる支援を呼びかけました。

東京大会のフロアーでは、市民による放射能除染実験コーナーも
 東京大会のフロアーでは、
 市民による放射能除染実験コーナーも
なお、この日は、EMを取り上げた映画「蘇生」の白鳥哲監督の講演と映画の上映も行われ、詰め掛けた約600人は、EMのエネルギーを再認識。長年ボランティアをしている団体のリーダーは「比嘉先生の講演も、映画も、何度も聴いたり、観たりしているが、いつでも新たな発見がある」と語り、被災してからEMを使い始めた女性は「知らなかった世界を見て感動した。これからの不安よりも期待が大きくなった、うれしい」と笑顔で会場を後にしました。福島で科学では説明できない現象が起こっていること、それは人類に大きな希望を抱かせるものであることを多くの人たちに伝えたいものです。

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◆連載「新・夢に生きる」
第102回 環境フォーラム『うつくしまEMパラダイス』2015の成果
https://www.ecopure.info/oldweb/rensai/teruohiga/yumeniikiru102.html

【 事例発表第4回環境フォーラムIN福島の事例発表 】

@ 毎時1.54マイクロシーベルトが0.2に低減 /EM柴田農園(栃木県那須塩原市)

ピンチをチャンスにした柴田和明さん
ピンチをチャンスにした柴田和明さん
空間線量が高い家の周辺にEM活性液を撒いた結果、2011年8月の毎時1.54マイクロシーベルトが,現在では毎時0.2マイクロシーベルト,室内では毎時0.1マイクロシーベルトに低減した。
枯れかけていた山椒の木がEM活性液が注がれたためか復活。10年前に塗りなおした屋根は錆びずにピカピカになった。畑の作物は、すべて放射性セシウムは不検出で、しかも今までにない素晴らしい出来で満足している。不耕起栽培で有機野菜をつくり、震災前よりもクオリティの高い農業を実現し、事故は不幸なことだったがこの変化はうれしい。


A国の空間線量よりも低く、効果を確認 /EMの微笑み(福島県田村市)

旧コズモファームの今泉智さん
旧コズモファームの今泉智さん

住むことが制限されていた元警戒区域の田村市都路地区で、震災後も自宅周辺にEMを撒いて変わりなく暮らしてきた。国が発表した空間線量よりも低く抑えられ、効果を確認した。また、地域の景観を維持しようと花を植え、野菜をつくり、2年目からは米づくりを行ってきた。現在は、塩入EM発酵液やEMくん炭団子を使い、パンジー6000株を育て、無農薬でバラを栽培している。EM団子を2m間隔で60cm以上深く埋めた田んぼは、霜が降りず、収穫した米の味は近年にないバランスのとれたもので、大変好評だった。放射性セシウムは不検出(1ベクレル以下)。次年度の目標は、谷間にある4町歩以上の水田へEM活用し、地域まるごと「EMの微笑み」の連鎖を開花させたい。


B幼稚園でEMによる線量低減化の活動 /エコ郡山(福島県郡山市)

エコ郡山の活動を報告する田中良雄さん
エコ郡山の活動を報告する田中良雄さん

震災以前から川の浄化やEM生ごみリサイクル活動を行う。平成14年度にNPO法人となり、現会員は44名。今年、長年のボランティア活動に対して福島県から社会福祉・ブランティア活動に対する感謝状を授与された。
震災後、EMによる放射線量低減化の活動を行い、市内の幼稚園で子どもたちのへの安全な居場所つくりに奔走した。郡山市内を流れている南川のヘドロの軽減、悪臭の緩和のため、EM活性液やEM団子を投入し、以前は見られなかった魚が多数確認されて、今では市民のウォーキングを楽しむ憩いの場所になっている。 また、EM農家の指導で無農薬無化学肥料での家庭菜園やEMボカシによるプランター栽培を実践して、震災以降も安心安全な野菜を自給している。1株から12個の小玉スイカが付いたり、1株で3房も実をつけたスイートコーンなど、一般では考えられない収穫に驚いている。


C自家栽培牧草の放射性物質濃度が低下 /瀧澤牧場(福島県南相馬市)

仲間にもEMを伝えたいと瀧澤昇司さん
仲間にもEMを伝えたいと瀧澤昇司さん

福島第一原子力発電所から約20kmにある乳牛用の牧場を経営。震災当時は廃業の危機にあった。すぐにEMで活路を見出し、以後順調に生業を継続している。EMの活用は、牛のエサへの添加、畜舎への散布やたい肥舎の液肥への添加で、誰でも取り組めるようにシンプルにした。その結果、牛の飼育環境の改善、乳質の安定化、自家栽培牧草の放射性物質濃度の低下などの効果が見られた。EMで発酵処理したたい肥舎の液肥(スラリー)で栽培した牧草は、化学肥料で栽培した牧草に比べて、牧草中の放射性セシウム濃度が低く、移行係数も低くなることを確認した。
また、2015年度の栽培土壌の放射性セシウム濃度について、化学肥料区は変化が見られなかったが、EM発酵スラリーを散布した土壌は減少するという結果が見られた。今年は、EM発酵スラリーを使って約6反で水稲栽培も開始。品質も良好で収量は8.8俵/反であった。酪農を活かした循環型農業で限界突破を目指したい。


D試験水田で玄米のセシウム濃度減少 /馬場EM研究会(福島県南相馬市)

有機米づくりに自信を深めた羽根田薫さん
有機米づくりに自信を深めた羽根田薫さん

震災当初は、南相馬市馬場地区のゲートボール場などの空間線量低減のためにEM活性液を散布。2012年の試験水田での玄米のセシウム濃度結果は、EM使用水田:20Bq/kg、EM不使用:80Bq/kgだった。現在は、安全・安心の超高品質米を目指して米づくりを行っている。2015年は、雑草対策と増収を目標にして代かき時のEM活用の徹底と代かき回数を増やした。EM活性液の品質管理と大量投入を再徹底。塩入EM発酵液の活用と雑草抑制効果を期待して木炭粉を施用。「ヒエ」の発生はほとんどなく、雑草に負けないほどの分けつが多くしっかりとした株に生育し、増収傾向が出た。来年に向けてEMの活性を高めるため発酵Cセラミックスなどの多用して増収に向けた適切な肥培管理を行い、更なる品質向上を目指す。


Eヘドロの放射線量低減 /エコクラブだて・粟野自治会(福島県伊達市)

ヘドロの放射能低減に取り組んだ遠藤稔さん
ヘドロの放射能低減に取り組んだ遠藤稔さん

震災以前はボランティアグループとして川の浄化に取り組む。震災後は、津波による悪臭対策、放射線量低減化や河川浄化などを行う。2013年には、伊達市梁川町・粟野自治会との協働で長沼の浄化をスタート。池のヘドロ対策を行い、2013年約4万Bq/Kgが半年でセシウム134が約62%、セシウム137が約60%の低減。現在は、1万台まで減少した。この先、汚染されたヘドロの処理のヒントとなれば幸いだ。また、定期的にEMボカシづくりを行い、桃やイチゴの栽培を行う。グルーの一員である小野文記さんは、オリジナル液肥でキュウリを育て、出荷販売量が地域で一番となった。 

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◆連載「新・夢に生きる」
第102回 環境フォーラム『うつくしまEMパラダイス』2015の成果
https://www.ecopure.info/oldweb/rensai/teruohiga/yumeniikiru102.html


■アレクサンダー・ニキティン博士の研究■

チェルノブイリ原発警戒区域から採取した土壌をよく混合し、その土壌66gをカラム(密閉容器)に詰め、10-15日間隔で100mlの様々な溶液を添加し、このカラムを通過させた。

●施用した溶液
水、酢酸(pH=2)、EM1%希釈液、EM10%希釈液、無処理区(対照区)。各処理は、3反復。
カラムを通過した溶液中のセシウム137を測定(ベクレル値)。予想したように、低いpHの酢酸で土壌を洗浄することで、セシウム137の移動が有意に増加した。酢酸は水と比較して、土壌から3倍以上のセシウムを浸出。一方、EM1%希釈液は、水と同程度であり、より濃度の高いEM10%希釈液では、抽出液中のセシウム137が増加した。溶液で処理後の土壌検体中に残ったセシウム137は、酢酸で処理したものが最も低くなっていると推測されたが、実際にはEM処理した土壌で最も低くなっており、約20%のセシウム137が対照区と比較して減少していた。




<2016年1月12日>



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