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2016年の成果

新しい年を迎え、改めて昨年の成果を顧みています。最大の成果はMIT(マサチューセッツ工科大学)と名古屋大学、ITSS(高速道路交通システム学会)と北京航空航天大学共催の第3回ユニバーサルビレッジ国際会議で、EMが未来型技術として評価されたことです(詳しくは本シリーズ第112回)。

その次に、福島における放射能汚染対策は着実な成果を上げ(DND第114回)、ユニバーサルビレッジ国際会議の実行委員長あいさつの期待に応えられるような成果が上がっていることです。さらにその次は、EMウェルネスリゾート ホテルコスタビスタ&スパとEM・XGOLD製造工場からの戻り電流によって、沖縄本島を中心に高さ55Km、半径354Kmの巨大なドーム状の結界(パワースポット)が安定的に機能し始めたことです(本シリーズ第113回)。

この結界技術は10年以上も前から家庭菜園のモグラや鳥獣対策等々を含め、様々な成果が確かめられ、その根源に電磁波をはじめ、様々なネガティブなエネルギーや磁場を整流する作用によって生ずることが明らかとなってきました(本シリーズ第100回)。

当初は、500ccのペットボトルにEM活性液とスーパーセラCを10g程度添加し密封した後、3〜5m間隔に設置して、紐で連結し畑を囲んだり、果樹等は木に直接結び付ける方法からスタートしました。その後、ペットボトルにEM・XGOLDを加えたり、電池を貼ったり、電柱等に存在している潜在電圧を量子力学的に応用することによって、さらに進化させることができました。同時に、海水で作ったEM活性液と木炭や燻炭を加えたEMダンゴを土壌に埋め込むことによって、土壌のエネルギーを整流することが可能となり、栽培環境全体をパワースポット化できるようになりました(本シリーズ第108回)。

このような技術を徹底して実行したプロの農家から、長年夢見た理想の成果が得られたという嬉しい報告が多数寄せられています。

2017年の目標

ユニバーサルビレッジ国際会議の目標は、本シリーズの第112回に述べられていますが、その第1番目は農薬と化学肥料に替わる素材を開発することになっています。正木博士(同会議実行委員長)は、この問題は、比嘉博士のEMで解決が可能と述べていますが、自然農法や有機農業のレベルの話しでなく、本当に化学肥料や農薬に置き換わる素材の開発は可能なのかということになります。答はEMの原子転換力を活用すれば極めて容易ということになりますが、そのためには、土壌環境を含めた栽培空間の整流レベルをいかに上げるかということになります。当初は生ごみや人糞尿や家畜の糞尿を含め、あらゆる有機物を海水または2〜3%の塩分を含むEM活性液で処理し、ミネラル分の多い有機肥料とします。この方法では、臭気が消えればすぐに使えるため、堆肥化したり、腐熟させる必要はありません。衛生問題もすべて解決しますが、肥料資源としては、さらに効果を高める必要があります。

1. EM技術による塩分の多目的農業資材化


塩のスポット追肥(根から10cm以上の間隔をとる)



塩肥料による限界突破のバナナ(大型種)



塩肥料による限界突破のバナナ(小型種)
これまで、本シリーズで海水を活用したEM活性液と炭を併用すると、放射能汚染の低減化(消失)が著しく促進されることを紹介しましたが、30年に渡るEMの様々な応用で塩分が肥料に変わることも明らかにしてきました。

従来の常識では絶対にあり得ないことですが、この一連の技術は、既に実用化の段階に入り、多数の国々で塩害のひどい砂漠地帯や大潮による塩害常襲地帯を含め、大規模な実用化が進められています(本シリーズ第108回)。

現在、国内で普及している方法は、基本的には海水または海水に準ずる塩を入れ、良質のEM活性液をつくり、それを土壌に100〜500倍にして灌水的に施用したり、50〜100倍で葉面散布を週に2〜3回も続けると完璧な病害虫対策が可能となり、光合成も促進されます。

この場合、土壌の表面に作物残渣等を含め入手できる有機物を10a当り100〜500Kg程度をマルチ的に敷くとさらに効果的です。有機物はEMの基質(エサ)となりますので、トン単位で多く入れるとさらに限界突破的な成果が得られます。

土壌中のEMを中心とする善玉菌が増えるにつれて、施用された塩分は2〜3週間後には、作物が必要とする肥料に変わりますが、施用する塩分は、1作で10a当り35〜100Kgを目安にしています(1u当り35〜100g)。すなわち、海水に換算すると10a当り1〜3トン強ということになります。この数値は、これまで年間の目安としていたものです。しかしながら、土壌のEM力と整流力を高めることによって、限界突破的な多収、高品質を目標にする場合は、現在使われている化学肥料と同等程度(30〜100Kg)は必要であると考えても差し支えありません。

その次に、注目すべきは、塩類を除草剤として活用することです。最も簡単な方法は、植付け2〜3週間前に10a当り、3〜5トンの海水または、それと同等の塩分を撒いて草を完全に枯らします。その後、十分な降雨(10mm以上)があれば理想的ですが、雨が少ない場合は1u当り3〜5Lの灌水を行い植付けます。この方法は、収穫後に行うと極めて効率的です。

塩分を除草剤的に直接活用する場合は、20〜25%くらいの高い塩水をつくり、植物が濡れる程度に噴霧します。1回の散布で枯れない場合は出来るだけ早目に再散布します。

このような方法で使用する海水培養による活性液は、10a当り100〜200Lを目安にしますが、土壌の整流力を高めれば50Lでもよく、EMの定着次第では5Lくらいにすることも可能ですし、土壌に深さ30〜50cmくらいの所に木炭等による整流スポットを作ればさらに少なくすることもできます。

このような手法を続けると、数作で土壌は深く膨軟になり、急速に肥沃になります。そのため、不耕起栽培も容易となります。特に収穫後の塩処理は、除草効果とともに、土壌の病害虫対策はもとより、連作障害を根本から解決してくれます。

海水塩は、集積しても水をかければ、すぐに溶けて、薄まりますので、塩類集積による障害は簡単に取り除くことが出来ます。従って、塩を多くやり過ぎて作物に萎えが発生した場合、普段の倍くらいの灌水をするだけで十分な対応が可能となります。

問題は、化学肥料に含まれる硫酸塩や炭酸塩で、この塩分を取り除くには、かなりの真水が必要となります。世界的に見ると、現在の農地に匹敵する以上の面積の砂漠が、水はあるのに農業ができない状況にあります。その原因は、海水の5分の1から100分の1程度の塩分を含んでいるからです。

この水にEMを10,000分の1くらい加えて使うと、金属のサビ等を含め、これまで発生していた塩類障害の問題はほとんど解決することができます。すなわち、除塩の必要が無くなるのです。エジプトでは政府主導でこの方法が大々的に進められており、米国のアリゾナ、ニューメキシコ、テキサス等々で数千ヘクタール単位で実用化され、20年以上経過しても、何の問題も発生していません。近々、中国でも大々的な実用化が計画されています(DND第105回)。

これまで述べたことは、通常ではあり得ない不可能なことですが、障害の原因となる塩分が、EMを中心とする微生物によって作物に必要な元素に転換されない限り、説明がつきません(DND第104回、第105回)。

化学肥料を合成するには膨大な電気が必要ですが、EMを活用し、海水や塩を使うだけで、この問題は解決しますし、農薬もほとんど不要となってしまいます。考えてみると、地球は肥料の海に浮いているようなもので、この技術を活用すれば、森林の破壊はまったく不要なものとなりますし、人類の食料問題の本質的解決が可能となります。

2. 土壌のエネルギー整流力を高めるには炭は不可欠である


EMダンゴを埋めたサンシャインファームのレタスとインゲン
(すべて均等に育つ)

微生物の原子転換や光合成能力を活用すると、最終的には作物に必要な要素は自然に作られ、土壌中の有機物が自然に増大するために、残渣を戻すだけでも肥沃な土壌となり、多収で高品質の農作物が安定的に収穫できるということになります。

そのためには、空間や土壌に存在するエントロピー状態のエネルギーを整流し、シントロピー化し、より多くの電子を作物に供給する仕組みが必要となってきます。すでに明らかなように、空間は、EM技術による結界(パワースポット)をさらに立体化できるようになりました。それに加え、土壌に潜在する膨大なエネルギーも整流し、そこに存在するすべての生物にさらに多くの電子を賦与する土壌構造にする必要があります。

現在行われている、炭や燻炭を20〜30%混和し、海水で作ったEM活性液を使用したEMダンゴは、半径が1mくらいの整流力があります。そのため、野球ボールくらいの大きさのEMダンゴを30cmより下層に2mおきに埋め込む方法がとられています(本シリーズ第108回)。

この方法でも放射能汚染は著しく低減し、土壌は浄化され、目を見張るような増収を得ることが可能ですが、空間全体のエネルギー量から考えると、まだ誤差の範囲のレベルです。

このようなことから、最終的な課題は、EMで整流化された木炭や焼却灰をシステム的に土壌に戻す方法を確立せねばなりません。幸いなことに、多少の工夫でプラスチックをはじめとするすべての有機物を炭にすることが可能であり、この方法を活用すれば、ごみ問題はすべて解決するどころか、農業生産や環境保全の決定打となります。

私の実験農園である青空宮殿やEM研究機構のサンシャインファームも、全面的にこの方法に切り替え始めており、今年はこのシステムを全国に広げるため、より積極的な活動を展開したいと考えています。


(2017年1月16日)




PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

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