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第1回 EM生産者交流会

去る3月22日と23日に、(公財)自然農法国際研究開発センター、界M研究所、エコピュア、界M生活、潟Cーエムジャパン、界M研究機構の協力を得て、「第1回EM生産者交流会」がEMウェルネスリゾート ホテルコスタビスタで開かれました。先ず参加者の各々の現況の説明があり、北海道と沖縄の代表的な事例の発表と、協力団体からの最新の情報等々の報告がなされました。

オリンピックを機に、食の安全は当たり前で、食の機能性はもとより、生態系を豊かにし、生物多様性を積極的に保護し得るEM技術を、この機会に全面的に押し出すべきであるということから、この交流会が企画され、56名の参加者の外に、40余名のオブザーバーがありました。

EMが普及に移されてから35年、当初は有機農業の推進資材として活用されましたが、その複合効果が様々な分野に活用され、遂には、福島における放射能の消滅の実用化、すなわち、EMの原子転換力が明確に証明されたのです。

2011年3月11日の東日本大震災は、想像を絶する大津波と、東京電力福島第一原子力発電所の壊滅的な事故に対し、多くのボランティアの協力を得て被災地の衛生対策や塩害対策に多大な成果を上げました。同時に、チェルノブイリ原発事故の後に、ベラルーシ国立放射線生物学研究所の協同研究で得られたEMの放射能に対する様々な効果が福島においても再確認されたのです。

改めて述べるまでもなく、EM技術の社会的公約は、安全で快適、低コストで高品質で善循環的持続可能な高度情報、共存共栄、すなわち、幸福度の高い社会を構築することにあります。そのためには、人類の世紀的課題である、食糧、環境、医療健康、資源エネルギーの問題をその公約に即して解決せねばなりません。

従来技術の延長では、不可能とも思われるこの難題も、これまでのEM技術の成果を踏まえれば可能となりますが、それを現実のものとするためには、福島の放射能汚染対策で得られた成果を、より効果的に応用することで、次元の異なる解決法が現れてきたのです。

すなわち、EMの原子転換力の応用です。EMは常に歴史の必然を背負っています。第二次世界大戦で沖縄が焼土化し、壊滅的な貧しさの極みを解決したいという強い思いからEMが生まれたのです。しかも、嫌気性の発酵合成型の複数の微生物が既存の土中の微生物を活性化し、発酵合成型の微生物相を形成することによって、多収、高品質を実現し、化学肥料や農薬が不要な自然農法や有機農業を可能にしたのです。

日本土壌肥料学会は、この成果を、学会の総意として否定しました。学会で否定されるということは、学者生命の終わりに等しいものです。EMの国際的な広がりに伴って、この日本土壌肥料学会の見解は、国際園芸学会の詳細な検討結果によって完全に否定されたのです(DND第101回 2015年12月)。マイクロバイオームの研究が進むにつれて、EMの見解は、すべて正しいことになりましたが、それとは別に、放射能汚染対策に効果ありと発表した1997年以降、EMは、再度エセ科学の代表格となってしまいました。

それから14年後、不幸なことに福島で原子力発電所の事故が発生し、大々的に放射能汚染が広がってしまいました。EM研究機構は、その2ヶ月後に飯舘村にあるブルーベリー園でEM散布による放射能消滅試験を行い、25,000Bqの汚染が2ヶ月で80%も減少することを確認し、その結果を踏まえて、多くのボランティアの支援を受け、多数の放射能汚染対策プロジェクトを推進してきました。

その成果は、本誌やDNDでも度々発信しており、第三者の研究機関の検証の結果、間違いなく放射性セシウムが消滅するという事実が明らかとなったのです。EMのこのような信じられない機能を更に強化するために、塩や炭の活用がより積極的に進められた結果、EMは放射能の原子転換的機能はもとより、塩と炭を併用することで、多様な原子転換機能を発揮することも明らかとなりました

微生物による原子転換については、フランスのケルブランを筆頭に数多くの報告があります。従って、EMのそのような効果は、特に注目すべき新発見ではないとの意見もあり、確かに、その通りです。とは言え、EMは過去に誰も実現し得なかった「培養によって、世界のいたる所でその原理を活用し得る」と言う前人未踏の応用力を持っています。

もしも、福島の原子力発電所の事故がなければ、私は子々孫々永久に不名誉なエセ科学者であり、その事故によって、EMの偉大さが証明されたのも歴史の必然と言っても過言ではありません。今回のEM生産者交流会は、このようなEMの真髄を関係者に良く理解してもらい、「農は国の基なるぞ」を実現するために行われたものです。

誰でもどこでも簡単に出来る農法の確立

世の中が混乱し、不安になるにつれ、生きる術として、自給自足の農業を原点にすべきという考えに行き着きます。確かにその通りですが、自然の厳しさは、素人の考える域をはるかに超えており、その結果として、農薬や化学肥料が必然的に開発され、増大する世界人口を保持する力となっていますが、自滅的な自己矛盾を抱えています。

EMは、その難題に対し、すでに答えを出していますが、これまでの応用は、あくまでも増殖的な自然資源の循環が基本となっています。2011年の東日本大震災は、EMの新たなるチャレンジのスタートとなり、これまで禁句とされていた「EMによる原子転換の応用」という局面が開かれたのです。

リン酸不足や微量要素の欠乏している土壌で、EMを使い続けると数作後には、正常に生育したり、塩害土壌でも作物は正常に育ち、ダイオキシンをはじめ難分解の化学物質や残留農薬が消え、各種の重金属が無害化したり著しく減少している例は、数限りなくありましたが、「EMによる原子転換」を主張するには、状況証拠が不足していました。

福島の放射能汚染対策が進むにつれ、状況証拠は確信に至るレベルになり、数年前から、この技術を世に出すための準備を進めてきました。すなわち、「EMによる原子転換」の直接的な証明はやめて、「EMによる原子転換が起こっている」という現実を突きつけることにしたのです。

すなわち、既に普及に入っている塩と炭の活用によって「EMの原子転換力」を高めるという方法です。数多くの事例を重ねた結果、この技術は従来の農法に妥協的に活用するのではなく、農業のスタイルを根本から変える方法にすべきという流れになってしまいました。

基本的には、炭は電子を集める機能があり、塩は電子を運ぶ(イオン)力が強大です。この両者の作用によって電子の集約度が著しく高くなりますので、EMを中心とする原子転換能のある微生物は、核融合的反応に必要なエネルギーを容易に得ることが可能となります。この基本に徹し、畑を休ませることなく使い続けると、特別な技術を必要とせず、素人でも極めて短期間で限界突破的な農業が可能となります。

塩は除草剤となり、土壌改良剤となり、
肥料となり、病害虫抑制剤となる


塩除草材剤散布


塩のスポット追肥
一般に国内で市販されている安い塩は、25Kg1,300円程度ですが、融雪用の塩(お問い合わせはこちら)であれば、トン2〜3万円で入手することが可能です。一般的にはミネラル分の多い自然塩や海水塩ということになりますが、田畑で使う場合は、塩の種類は問いません。

ジャングルのようになった田畑には、25〜30%の濃度の高い塩の溶液を作り、動噴機等で植物全体に軽く付着するように散布します。4〜7日後に再散布すれば大半が枯死しますが、それでも枯れない場合は、再三、再四、1木1草残らないように徹底的に散布します。規模が小さい場合は、植物に水を撒いて、その上に塩が付着するように散布し、草が完全に枯れるまで繰り返します。

その結果、その環境中の病害虫や有害微小動物を完全に抑制することが可能となります。枯葉等はそのまま残し、その後、直ぐに海水培養のEM活性液※1を10a当り200〜300L散布します。土は耕す必要はなく、作業しやすいように通路を区分けします。

その次に植栽する部分に10a当り、100〜200Kgの塩を散布します。地力の無い土は、300〜400Kgくらいやっても構いません。更にその上から、EM活性液※2を200〜300L施用します。10mm以上の降雨、または潅水を行いますと、土は膨軟になり、10日前後で植付けが可能となります。水分は多い程、土壌改良や肥料効果が促進されます。

植付けは、スポット的にクワで軽く掘る方法、すなわち、かつての原始的な焼畑農法式でも十分に育ちます。明らかに肥料不足気味となった場合は、株元から10cm以上離れた所に、スポット的(写真)に塩をおきますが、10a当り50〜100Kgを目安とします。

病害虫対策は、20〜30倍の海水培養EM活性液を週に1〜2回散布しますが、それでも難しい場合は、10倍にして散布します。収穫後、空いた場所に直ぐに次の苗を植えたり、種を撒いて連続栽培とします。収穫残渣や内外で発生する有機物は、土の表面にマルチ的に施用します。潅水する場合は、海水培養EM活性液を50〜100倍にして施用します。

塩を多くやり過ぎた場合は(萎れや黄化)、500倍の海水培養EM活性液で1u当り5〜10L施用します。収穫後に畑を休ませる場合は、可能な限り有機物を敷きつめるように戻し、10a当り100〜200Kgの塩と、200〜300LのEM活性液を散布し、次の植付けの準備をします。この方法だと、病害虫や雑草を完全に抑えることが容易となります。

※1 除草のための海水培養のEM活性液は原液が望ましい。広範囲での使用で、原液では難しいのであれば50倍希釈で施用する。
※2 最後に使用する活性液は、海水培養のEM活性液で良い。普通に水培養のEM活性液でも良い。 (2017.06.23 追記)


塩のスポット追肥1週間後

10aあたり70kgの塩のみで育てた小松菜

生ゴミ、人糞尿、家畜の糞尿等々は3%程度の塩を加え、
EM活性液が1%になるように添加して使用する

微生物の増殖には、有機物は重要な役割を果たしています。これまでの常識では、堆肥化したり、腐熟させる必要があり、多大な時間と労力と臭気や寄生虫やハエ、ゴキブリ等々の衛生問題も発生します。EMと塩を標記のように処理すれば、悪臭や衛生害虫や有害な微生物を、1日または条件によっては数時間で完全に抑えることができます。

臭気が無くなったそれらの有機物は、植付け5〜7日前までに畑地の表面に施用します。液体であれば、10a当り10トン、固体であれば3〜4トンもあれば、どんなにやせた土地でも目を見張るような作物が出来るようになります。

この場合、1トンに30Kgの塩が入っていますので、改めて塩をやる必要はありません。汚泥はもとより、あらゆる腐敗性の有機物を、この方法で処理しますと、たちまちにして高機能有機肥料となります。

炭と塩とEMで作ったEMダンゴは土中のエネルギーを整流する


10aあたり400kgの塩を施用したパパイヤ畑
(果樹の中でもっとも弱い部類)


パパイヤ畑 葉の拡大


10aあたり200kgの塩を施用したワケギ
炭は燻炭を含め、あらゆる炭が使えますが、整流効果を高め、更に土壌エネルギーの可能性を高めたい場合は、第115回に紹介した無煙炭化器と整流シールをセットした高機能の炭を活用することをお勧めします。無煙炭化器に整流シールをセットすると、炭を作るだけでなく、あらゆる有機物を完全燃焼させ、ミネラル分の多い機能性の高い整流灰も作れますので、畑地に直接投与できないものは、すべて炭または灰化して活用します。

土中の整流用のEMダンゴは、炭と土と塩を等分ずつ混和し、海水培養EM活性液の原液を加えダンゴを作ります。直ぐに使っても効果はありますので、特に乾燥にこだわる必要はありませんが、乾燥すると使い勝手が良くなります。

そのようにして作ったダンゴは、先ず畑の四隅と畝の両端に20〜30cmの深さに埋め込みます。可能であれば、3〜5m四方に1個埋めるとなお効果的です。大面積の場合は、穴掘り器で30〜50cm深さの穴を掘って、ダンゴを作らず混和した材料を1穴に1kg以上を投入し埋め込みます。

自治体を中心に、この技術を地方創成に活用する場合は、前回紹介した万能炭化装置を活用すれば、ゴミ問題も同時に解決することができます。

EMの万能性の無限的な活用

これまで簡略にEMを軸とする塩や炭の併用技術を紹介しましたが、この方法の最も重要なことは、量子力学的な機能の特徴とされる量子もつれと累積的な重ね効果が現われることです。EMは効くまで使えとか、EMは神様だと思って使えとか、かなり乱暴な説明をしてきましたが、福島における数多くの放射能汚染対策の結果、EMは量子状態を作り出し、原子転換を行っているものと推測しています。

すなわち、すべてのものは、量子ビットによってお互いに影響し合ってもつれており、その状態がポジティブであれば健全化、蘇生化となり、ネガティブであればその逆を加速するということです。

量子力学では、すべての原点が粒子であり、波であり、両者は同時に測定できない重ね構造になっているという前提があり、不連続の様々な量子単位があり何にでも変わり得るということになっています。

EMを使い続けると、そのような量子状態が累積効果として現れる現象が認められます。すなわち、EMはその効果をトランス様に重ね合せ、電子の整流力をコヒーレンス(量子うなり)のレベルまで誘導しているとしか言えない状況を作り出しています。これまでの農業は、収穫が終わると何もかもゼロ点、またはマイナス状態となる方式となっています。そのため、再び耕し、土壌を改良し、肥料をやるということを繰り返しています。このような方法は、ある意味で、EMの重ね効果を破壊すると言えます。

不耕起にし、水分管理を十分に行って、塩や炭を使い、土壌の量子レベルを高めれば、最終的には肥料的要素は何も与えなくても、土壌は自ら肥沃になると言っても過言ではありません。このような農業は、安全、快適、低コスト、多収高品質であるばかりか、生産者が働くことによって、より健康になり、消費者の健康も守られ、土壌や空気や水を浄化し、環境中に善玉菌を増やし、河川や湖沼や海も浄化し、生態系を豊かにし、生物多様性をより積極的に守ることに直結します。その結果、自然資源を大幅に豊かにし、国の抱える大半の難題も同時に解決してしまいます。

この方法は、都市のあらゆる有機廃棄物やプラスチック、タイヤ、ゴム、衣類等々もすべて超々低コストで炭化でき、高機能な土壌改良資材に変えることが容易です。また、いかなる巨大な農場にも活用できるため、食料と環境問題の大半が同時に解決されることになります。その上、農業に活用されている膨大なエネルギー(肥料や農薬を作るエネルギーや農機に使用するエネルギー)を現在の10分の1以下にすることも可能であり、正に農業革命と言えるものです。


10aあたり200kgの塩を施用したバナナ


10aあたり100kgの塩のみ施用の花壇
(5ヶ月後も健全に育っている)


【記事内に紹介されている融雪用の塩の購入先はこちら】

<日塩株式会社>
〒108−0022
東京都港区海岸3丁目19番8号
TEL:(03) 5730−3101(代)
FAX:(03) 5730−3103
URL:http://www.nichien-s.co.jp/
(2017年4月18日)




PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。

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