連載



EnglishEM研究機構英語サイト

PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年(令和4年)春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章した。
限界突破を支える背景(2)

前号で限界突破の目安と限界突破を支える背景について述べました。その主旨は、地上部で起こる現象と、土壌を含め環境全体の抗酸化力の向上と、悪玉菌を抑制する抗酸化作用と、自然エネルギーの電子の整流効果と、呼吸の面から説明しました。

微生物の機能とエネルギーの効率化の面からいえば、確かにその通りですが、花芽分化や着果の特性も第91回目のバナナ、前回の92回のトマトのような現象はホルモンが関与しないとあり得ないことです。

品種の特性は、すべてホルモンの作用と言っても過言ではなく、そのホルモンが本来の光合成の能力や花芽分化や球根や根塊の形式をすべて支配しています。したがって、1株にトマトが1000個以上結実しても1個の花房には4〜5個ぐらいの着果で、これが10〜20個以上になったり、100〜110粒くらいの稲の品種が300〜400粒になることはありません。

しかしながら、有機物を十分に与え、海水等を活用したEM活性液や発酵液肥を使い続けているうちに、様々な限界突破が現れてきます。ホルモンの作用とはいえ、もっと深読みすると、すべてDNAの機能に行きついてしまいます。

最近の研究では、すでに述べたように(第90回)EMXゴールドには2000の遺伝子を活性化することが明らかとなっており、EMXゴールドの健康に関する万能性につながっています。DNAの基本構成は、地球上の生物はすべて同じ原理に立脚しており、EMの生物に対する万能性は遺伝子の活性化に直接関わっていると理解した方が当を得ています。

これまでの多くの観察や経験からすると限界突破の発現には、土壌環境がEMで占優され、それに伴う養水分が十分に供給されている場合という条件が必要です。

そのためには、不耕起、有機物の表面施用による循環、良質のEM活性液の連続的な施用が基本となります。したがって堆肥やEMボカシも不要となります。当然のことながら5〜50倍のEM活性液の葉面散布による病害虫対策と光合成能力の向上等を図れば、自然循環的な作物栽培は低コストで高品質で持続可能となります。

このような栽培技術の基本を踏まえた上で、第90回に述べた海水の利用技術を応用すると、土壌中の無機栄養の可溶化と多様なミネラルの供給が可能となります。

EMは不溶化したリン酸を可溶化するだけではありません。カドミや鉛、水銀などをはじめ、ダイオキシン類や種々の残留農薬を非イオン化したり、無害化する力もあります。このレベルがさらに高まり土壌が浄化されるに従って、原素転換的能力も向上するようになります。

海水の活用も当初は残っていた栄養分が急速に可溶化するため、目を見張るような成果が現れてきます。またミネラルが不足している農地も海水由来の多様なミネラルの効果も重なって、無肥料栽培でも可能ではないかと錯覚してしまいます。そのような結果を得た大半の人々は、次回の有機物施用を極端に減らしてしまい、がっかりする例も少なくありません。

再び限界突破の本質を考える

これまでEM栽培の到達点は限界突破であり、その背景について既存の農学の知識を踏まえて説明してきましたが、光合成やエネルギー代謝の関係から考えると本誌第83回のEMによる整流力に帰結します。

要は、その整流力をいかに高めるかということになりますが、基本的には酸化物が消え電子を取り込むイオンが整流されて非イオンになり、電子を与える状態、すなわち土が本質的にピュアになるまでEMを施用し続けるということです。

土壌中のミネラルや塩分は代謝に不可欠な酵素活性に著しい効果がありますが、別の見方をすると電子を取り込むイオンの供給源としての機能も持っています。

EMによってイオンが整流され、電子を供与できる状態になると地上部、地下部を問わず、植物が利用できるエネルギーが増大します。このようなエネルギーの増殖的な力が集約され触媒機能が高まるにつれて微生物はそのエネルギーを使い、ケルブランの主張する常温核融合を起こし、原子転換を行っているものと考えています。

さらに、その原理を進化させると第87回で述べた「福島におけるEMの放射能対策」にたどりつきます。そのポイントは最後の7行に書いてあります。すなわち、炭の整流力を加味すると放射能のエネルギーも整流されるくらいにEMの力が高められるということです。このレベルに達すれば、栽培中に発生する有機物や身のまわりに発生する有機物の循環的活用と、海水の利用で食料生産の根本を解決することが可能となります。


8月16日に収穫直前の小豆をサヤのみ収穫しボカシ泥肥を施用


その後、再び花が咲いて9月20日収穫直前の様子


沖縄の冬場のズッキーニー(海水EMを活用)
本来はトンネルが必要であり、この冬は例年になく寒いにもかかわらず
トンネルが不要となり、収量、品質ともに限界突破的に向上(サンシャインファーム)

(2015年3月16日)





トップページ | EMとは? | 特集・レポート | 連載 | 投稿ひろば | 用語集 | FAQ | バックナンバー | EM情報室 | リンク集 | サイトマップ

Copyright (C) Eco Pure All Rights Reserved.