新・夢に生きる | 比嘉照夫

第212回 コスタリカにおけるEMの普及状況 part.1 コスタリカ発、EM堆肥で循環させる“香るコーヒーづくり”

今回は中南米のEM普及の拠点であるEARTH大学のあるコスタリカのEM活用ケースをご紹介します。

コスタリカでは、農業や環境問題に対してEMを活用することが当たり前となり、EMを軸に地域全体が循環的に回転し始めています。公的にも私的にも、EMはコスタリカにとって不可分の存在となっています。

コスタリカ発、EM堆肥で循環させる“香るコーヒーづくり”

香りを育てる高地のコーヒー農園

農園オーナーのMr. Ricardo Perez Barrantes

コスタリカの首都サンホセから北東へ約20km、高地の西盆地に位置するサンタルシア農園。この農園では、その豊かな自然環境の中、EMを活用して香り高いコーヒーを栽培しています。

Alliance for Coffee of Excellence(優良コーヒー同盟)が開催する、カップ・オブ・エクセレンスその年に収穫されたコーヒーの中から最高品質のものに与えられる名誉ある称号)にも複数回選出されています。

  • 所在地:Llano Bonito de Naranjo(サンホセ北東約20km)
  • 標高:1,700〜1,800m
  • 規模:約100ha
  • 生産量:約300袋 / 年(目安)
コーヒーの実

 

残渣を資源に巡らせる、EMが支える畑の循環(堆肥・灌漑・葉面散布)

この地域は一年を通じて温暖で穏やかな気候のため、コーヒーの実が完熟するまで樹上に留めておくことが可能です。

農園では、コーヒーの葉や果実、茎などの残渣をEMで発酵させて堆肥化し、畑へ還元しています。あわせて、灌漑(かんがい)や葉面散布にもEMを活用し、害虫対策を行っています。

コーヒー豆を自然乾燥させる

 

EMを活用した循環がもたらす味と香りの変化

こうして、コーヒーの残渣をEMで発酵させて堆肥化し、再び畑へ還すという循環のループが農園全体でしっかりと定着しました。
さらに、灌漑や葉面散布にもEMを取り入れることで、害虫などから植物を守り、樹木のコンディションを安定させることに成功しています。
こうした取り組みの積み重ねにより、コーヒー豆の糖度と香りが着実に高まり、その豊かな風味はカップ評価にもはっきりと反映されるようになりました。

循環型農業の実践が、サンタルシア農園の高品質なコーヒーを支えているのです。


(出典:「EMコスタリカコーヒー |EM GROUP JAPAN」
>導入事例の詳細はこちら(EMROサイト)


ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、<公財>自然農法国際研究開発センター評議員、<公財>日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長<平成3年~平成28年>。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」<サンマーク出版>、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」<綜合ユニコム>、「微生物の農業利用と環境保全」<農文協>、「愛と微生物のすべて」<ヒカルランド>、「シントロピーの法則」<地球環境共生ネットワーク>など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」<文芸アカデミー>を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。

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