近代の学問は分析と解析を軸に発展してきたが、現代の学問は総合と連携にシフトしている。
その顕著な例が、食と農の関係だ。
2016年世に出た「土と内臓―微生物がつくる世界」(デビット・モンコメリー著)では、植物と根と人間の内臓―ことに100兆個以上の微生物が共生する腸は豊かな生態圏の中で植物の根と同じ働きをしていることを解き明かした。
本書では、微生物でつくられる人体と多様性に富む土壌菌でできる森の関係性に焦点をあて、人の健康は健康な土からはぐくまれる。
ゆえに食は、土を回復し、人を生命の網(web of life)への再接続する媒体だと論じている。
EM(有用微生物群)が農業も環境も人間の健康も回復するキーワードであることが、身近な事例から解説され、すっきりと受け入れることができる。
すべては、微生物でつながっているのだ。(小野田)
腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境
桐村 里紗 著
出版社 : 光文社
発売日 : 2021/8/17
価格:1,012円(税込)
ISBN-10 : 4334045561
ISBN-13 : 978-4334045562
【目次】
はじめに
第1章 人は森であり、腸内に土を持つ
第2章 消化管で人は自然とつながっている
第3章 腸内の土の悪化が、心身にもたらす病
第4章 食と農業の選択で、土の未来を変える
第5章 微生物で接続する、腸と土、人と自然
――食の選択・ライフスタイル編
おわりに