EM柴田農園の50から畑人 | 柴田和明・知子

第11回 EM柴田農園直伝 EM生ごみ堆肥づくり~ベストな比率は1対2~

2021年も残すところひと月とちょっとになりました。今回は生ごみを使った堆肥づくりをご紹介しましょう。これはEM柴田農園が何年もかけて試行錯誤してたどり着いた方法で、これから先さらに良い方法を見つけて進化していくこともあると思います。また、生ごみ堆肥のつくり方はいろいろありますので、その中の1つとして読んでいただければ幸いです。
(註)EM研究所のホームページでは、密閉容器の中で生ごみとEMボカシを混ぜて作った完成品をEM生ごみ発酵肥料と表記していますが、グループや地域でそれぞれ呼び名が異なる場合もあります。このEM生ごみ発酵肥料と土を混ぜて、さらに寝かせたものをEM柴田農園では『EM生ごみ堆肥』と呼んでいます。EMの使用経験の長い方には『土ボカシ』に似たもの、といえば、イメージしていただきやすいでしょうか。

生ごみが発酵したら畑で堆肥化

EM柴田農園では、生ごみは水抜きコックの付いた密閉式のバケツにEMボカシと混ぜ合せて入れています。

密閉容器が並んだ写真
密閉容器が並んだ写真

生ごみの詳しい処理方法はこちら(EM情報室 EM生ごみ発酵肥料の作り方使い方)をご覧ください。
その上で、ここでは生ごみの処理が終わったところから畑で堆肥化する工程をご紹介したいと思います。
バケツの中身が生ごみとEMボカシでほぼ満杯になったら、少なくとも一ヵ月はそのまま保存します。保存場所は暑すぎず、寒すぎず、直射日光の当たらない場所が適しています。保存中に出てきた水分はコックを開けて抜くことも忘れずにしてくださいね。
水分が溜まったまま放置していると腐敗して悪臭を放つことがあるので、時々チェックしましょう。
出てきた水分は、野菜だけでなくEMボカシのエキスも含んでいて、とても栄養豊富です。畑やプランターの液肥として薄めて使えるお手軽な肥料になります。
作業に入る前に、準備するものを書いておきますね。

<準備するもの>
  1. 生ごみ・・・生ごみとEMボカシを混ぜたものを密閉式のバケツに入れ保存し、一ヵ月以上経過したもの。以後、この状態のものを”生ごみ”と記します
  2. 土・・・畑の土など。できれば乾いていた方が扱い易いです。雨降りの後など水分を多く含んでいるときは乾くのを待ちましょう。生ごみの水分が多い場合は土を多めに
  3. 雑草・・・刈り取ったもの。刈り取ったばかりでも、何日か経って乾燥したものどちらでも大丈夫です。生ごみのバケツと同じくらいの大きさのバケツに軽く2杯程度
  4. 厚手のビニールなどのシート。この上で生ごみと土を混ぜ、最後に雨よけとして被せるので、大きさは生ごみと土の量に応じた大きさを用意しましょう。EM柴田農園では古くなって使わなくなったハウスのビニールを再利用しています。
  5. 厚手のゴム手袋・・・素手はお勧めできません・・・是非用意してください!
  6. 移植ゴテ・・・生ごみをバケツから出す時や、混ぜる時にあると便利
  7. 生ごみを堆肥にする作業場所
  8. 混ぜる人、そう、あなたです。

 

【工程その1 比率はおおよそ1対2】

さぁて、この比率は何だと思いますか?
これは生ごみと土の比率です。そしてこの比率は重量ではなく容量です。
要するに、生ごみがバケツ1杯だったら土はバケツ2杯必要ということです。
これは生ごみと土の比率です。そしてこの比率は重量ではなく容量です。
要するに、生ごみがバケツ1杯だったら土はバケツ2杯必要ということです。

 

【工程その2 生ごみは土の上】

まず、生ごみが入ったバケツの底に溜まった水分をしっかり抜きます。
バケツのコックを開けて水分がでない場合はすぐ作業に移ることが出来ますが、水分が溜まっている場合は水分が出なくなるまでしばらく待ってからにします。
次に、厚手のビニールを広げて用意した土、その上に生ごみを空けます。
土の上に乗せることで、生ごみの水分が土に浸透して扱い易くなり、ビニールにも生ごみが直接付かないので次の工程に移るのに手間取らなくてすみます。
実際にやってみると”なるほど”と納得できると思います。
まず、生ごみが入ったバケツの底に溜まった水分をしっかり抜きます。バケツのコックを開けて水分がでない場合はすぐ作業に移ることが出来ますが、水分が溜まっている場合は水分が出なくなるまでしばらく待ってからにします。
次に、厚手のビニールを広げて用意した土、その上に生ごみを空けます。
土の上に乗せることで、生ごみの水分が土に浸透して扱い易くなり、ビニールにも生ごみが直接付かないので次の工程に移るのに手間取らなくてすみます。実際にやってみると"なるほど"と納得できると思います。

 

【工程その3 ひたすら混ぜる】

混ぜ始めてしまったら誰が何と言おうと、スマホに呼ばれても無視してひたすら混ぜましょう。
途中で放置すると暖かな時期は特に発酵臭に敏感なハチやハエなどが寄ってきますし、生ごみと土にまみれた手袋を外すのも再びはめるのも結構大変です。
混ぜ始めてしまったら誰が何と言おうと、スマホに呼ばれても無視してひたすら混ぜましょう。途中で放置すると暖かな時期は特に発酵臭に敏感なハチやハエなどが寄ってきますし、生ごみと土にまみれた手袋を外すのも再びはめるのも結構大変です。

 

【工程その4 目指すは山?】

生ゴミと土を混ぜて水分の調整が出来たら、堆肥を必要としている箇所に直接積み上げます。
生ゴミと土を混ぜて水分の調整が出来たら、堆肥を必要としている箇所に直接積み上げます。

お椀を伏せた山のようにこんもり積み上げるのが柴田流です。
どんな形でもおそらく大差ないでしょうが、平らに広げてしまうとそれなりに広いスペースが必要になり、被せるビニールシートも大きいものを準備することになり、効率的ではないように思います。

 

【工程その5 雑草も資材】

こんもり積み上げたら、周りにこぼれた野菜くずを山の中に押し込みます。
こぼれるものは野菜のヘタや切り落としてコロコロしたものなど小さな塊りの物がほとんどで、経験的にこのような硬い物が山の表面にあると分解が遅いことが多いため、拾って中に押し込んでいます。
押し込み終わったら雑草を乗せ、山全体に広げます。
雑草は、生ごみが発酵・分解するときに出た熱により発生した水蒸気が、工程その6で被せるビニールシートに当たって水に戻り(結露)、直接山を濡らすのを防ぐ緩衝材の役割をしてくれます。
次に、山の周りに溝を掘ります。
雨などの水が生ごみと土を混ぜた山に入らないようにするためです。
水が入り、溜まったままだと腐敗する危険性があるので、傾斜をつけるなどして水を逃がす工夫をすることが大切です。
写真では分かりづらいかも知れませんが、黄色い枠のところが低くなっていて雨水が流れ込む溝の役割をしています。
こんもり積み上げたら、周りにこぼれた野菜くずを山の中に押し込みます。

【工程その6 養生は大切】

最後に、生ごみと土を混ぜる時に使ったビニールシートをかぶせ、風で飛ばされないように石などで押さえます。
写真では石を2個しか乗せていませんが、風当たりの強い場所では山の周りを囲むように石やレンガを乗せておくと安心です。
この状態で少なくとも一ヵ月、できれば一ヵ月以上は置いておきましょう。
生ごみと土を混ぜる時に使ったビニールシートをかぶせ、風で飛ばされないように石などで押さえます。生ごみ堆肥完成までには長時間かかるのでビニールシートは雨除けのためだけでなく、保温や保湿のためにも不可欠です。
雨除けするのになぜ保湿!と思いませんか?
それは、微生物に活躍してもらうには適度の温度と水分が必要だからです。
工程その3で水分調整をしましたね。一ヵ月以上置いておくわけですから、温度や湿度を適度に保つためにもビニールシートは必要です。
繰り返しになりますが、緩衝材として入れた雑草も水分が直接生ごみと土を混ぜた山に付着して腐敗しないよう大切な役割を担っています。

 

【工程その7 いよいよ!】

一ヵ月以上経ったらビニールシートを外してみましょう! 山に被せた雑草は茶色くカラカラに乾いて残っています。
イネ科の雑草は残っていることが多いですが、双子葉で繊維質の少ない柔らかい雑草はほとんど残らない場合があります。
乾いた雑草を取り除くと白っぽい山が現れます。”菌ちゃん”こと微生物いっぱいの生ごみ堆肥の完成です!
乾いた雑草を取り除くと白っぽい山が現れます。"菌ちゃん"こと微生物いっぱいの生ごみ堆肥の完成です!一ヵ月以上は経っているので、かなり乾燥しているはずです。
山を崩してみると内部まで白くなっていて、野菜は跡形もなくなっていると思います。
残っているのは卵の殻とかカボチャなどの種、落花生の殻などですが、これらも時間の経過によって土に戻っていくので取り除かなくても大丈夫。
この生ごみ堆肥はこのままでは水を弾いてしまうことが多いので、野菜や花を植える畑の土などと混ぜ、水を含ませてから使うことを勧めします。
これで、もういつでも植えられますよ。

毎回体験しますが、生ごみが有用菌いっぱいの山に変身するのは感動ものです!
野菜くずはそのまま捨てれば生ごみですが、堆肥化できる立派な資源です。
EM柴田農園では、収穫物以外は畑に戻す循環型の農業を小規模ですが実践しています。
皆さん、庭や畑があったら是非生ごみ堆肥づくりにチャレンジしてみてくださいね!! 

(2021年11月30日)

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