EM柴田農園の50から畑人 | 柴田和明・知子

Part.2 第6回 “イチゴ”のお話し ―旬は初夏だよ

私が農業を営む栃木県はイチゴ生産日本一。私のイチゴづくりは素人ですが、栃木に住むからにはイチゴの話題は外せませんので、イチゴの旬についてもお話しします。 誰もが大好きなイチゴのお話し、読んだらきっとイチゴをつくりたくなるハズ!です。

イチゴは野菜でバラの仲間

イチゴの生い立ちは、遡ること18世紀末のオランダ・バージニアイチゴとチリイチゴの交配によって生まれ、日本には江戸時代末期に渡ってきたようです。当時はオランダイチゴと呼ばれていました。その後、日本の気候に合うように、さらには甘くて大きな実を着けるように次々と品種改良がされて現代に至っています。
フルーツみたいな顔をしているけれど野菜で、トゲは無いけれどバラの仲間(バラ科)。ほら、花が似ているでしょう!ちなみにサクランボもバラの仲間ですが、こちらは正真正銘フルーツです。

なぜ! 旬のイチゴを食べられない?

5月、ゴールデンウイークが過ぎると柴田農園の畑の一角では心待ちにしていたイチゴの収穫が始まり、6月中旬まで続きます。でも、この頃になるとスーパーマーケットにイチゴの姿はもう見かけません。あら、柴田農園にはあるじゃないの!変じゃない?と思われるかもしれませんね。
種を明かすと、イチゴの旬は初夏なのです。最近では家庭菜園などで育てやすい”四季なりイチゴ”という夏~初冬まで収穫できる品種もあるようですが、「とちおとめ」をはじめ「紅ほっぺ」や「あまおう」など店先に並ぶイチゴは大抵”一季”なりです。10月中旬に苗を植えて、寒い冬を越して翌年の春に花を咲かせて初夏に実を着けるのです。 では、なぜ旬の初夏にイチゴが出回らないのでしょう。その理由は、イチゴの需要が1年で最も高いのが12月クリスマスの時だからです。イチゴで飾り付けられたデコレーションケーキはクリスマスの定番ですよね。
さらに、真冬のフルーツが少ない時期に高値で販売できるので、生産者もそれに合わせてつくるからなのです。イチゴ本来の育ち方ではないわけで、イチゴ大好き皆さんの嗜好(しこう)に合わせていると言えるのかな~。

イチゴ(左)と野バラ(右)の花

栃木県がイチゴの生産日本一のわけ

どうして栃木県はイチゴの生産が盛んなのでしょう。「とちおとめ」の品種としての人気はもちろんですが、栃木県南部は冬場の日照時間が月200時間を超え、イチゴ栽培に適していることから農閑期の裏作として栽培するお米農家さんが増えたことも大きかったようです。苗づくりも、かつては栃木県の北部にある標高1700mの鶏頂山で夏場に育てていました。ハンターマウンテンというスキー場で有名なところです。高原の涼しい夏に苗を育て、まだ残暑が残っている9月に山から苗を下ろして定植します。すると、アッ春が来たと勘違いして一斉に花を咲かせ、11月末頃に収穫が始まったのです。今は品種改良されて勘違いさせることもなくなったようです。
イチゴの栽培はもちろんハウスを使って、日中は暖かく、夜は暖房機で夜温を上げることで真冬でもイチゴをつくることが可能になりました。とは言っても、イチゴにとって過酷な真冬に育てるのは大変なことです。更に品種改良が進んだ結果、病害虫に比較的弱い作物になってしまい、どうしても農薬を使っての栽培となるのはやむを得ないことかもしれません。

だったら、自分でつくって旬を食べよう!

これまで本気でイチゴをつくったことがなかった私ですが、昨年の秋ホームセンターで販売されていたたくさんの種類のイチゴの苗の中に「とちおとめ」の苗があり、つい衝動買いをしてしまいました。というのはちょっと難しい話になりますが、「とちおとめ」は種苗法に基づいて品種登録され、厳しく管理されているため、一般的には流通していませんでした。これは作物のブランド価値を守るための権利で当然のことなのですが、数年前にその権利が切れてやっと一般にも流通するようになりました。それで、ホームセンターで「とちおとめ」の苗を見つけた時に衝動買いをしてしまったのです。私はイチゴ栽培に詳しくはありませんし、販売するわけではないので無理のないようにとりあえず10株だけ購入しました。ということで、柴田流の旬のイチゴ栽培を紹介しますね。もちろんほかの野菜同様に化学肥料や農薬を使わない、EMさん大活躍の栽培方法です。

まず、Part1 1回EM柴田農園直伝 EM生ごみたい肥づくりで紹介した生ごみを使った土づくりの後、11月30日に「とちおとめ」の苗を植えました。イチゴは寒さに比較的強い野菜ですが、真冬の寒さが厳しい時期には休眠してしまいます。枯れた葉は防寒のため取り除かないで、さらに草マルチなどで根元を保護します。それ以外はたまに水やり(もちろん、ただの水ではありません!EM活性液を薄めた水です!!)をするくらいで年明け3月末までは自然にお任せです。
4月に入り、新芽が伸びてきたら枯れた葉を取り除き、冬に出たランナーや花芽もイチゴの体力を保つためすべて切り取ります。
イチゴは乾燥が大の苦手なので、表面の土が乾いたらEM活性液の薄めた水をたっぷりかけます。 また、新たな試みとして、病害虫を抑える働きや受粉を助けるハチなどを呼ぶ働きを期待してコンパニオンプランツのマリーゴールドとカモミールをイチゴの周りに植えてみました。

キレイなイチゴを収穫するためのポイント

そして花が咲き・・・5月中旬頃から収穫が始まりました。花が咲いているときに伸びてきたランナーは果肉に栄養を集中させるため切ってしまいます。コンパニオンプランツのお陰なのか病気にも罹らず、私が刷毛(耳かきのふわふわの部分、梵天がよいそうです)を使って受粉作業をすることもなく、毎日”旬”のイチゴが食べられました。せっかく熟したイチゴに土がついてしまうとアリに食べられてしまうので、ちょっとした工夫をしました。ビニールマルチを張り、支柱を立ててイチゴを吊ってみました。それでもアリは目ざとく、幾つかは食べられてしまいましたが。

私の食べ方は実にシンプルです。生のまま、ヘタの方から食べるのです。先端の方の甘味が強いので最後に食べて幸せ感を味わう!皆さんも試してみて!!

イチゴはプランターでも手軽にできます。自分で育てたイチゴは採りたて新鮮なので買ってきたものとは違って味はともかく安心感は格別です。 是非、EMを使って、旬のイチゴをつくってみてはいかがでしょうか。

(2022年7月8日)

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