連載

Part.2 第5回 食事のたびに、菌ちゃんを食べよう<具体的食改善その④>

これまでの連載した具体的食改善で言いたかったことは、現代の一般的な食生活ではタンパク質、炭水化物、脂肪といった身体の主要成分は十分食べていても、生きる力そのもの、「いのちの成分」が十分とれていなかったということです。その微量だけど重要な「いのちの成分」をとる方法として、

  1. 旬の露地野菜の皮や芯まで食べることで「ファイトケミカル」を桁違いにいただけること
  2. 小魚などを丸ごと食べて海の微量ミネラルを絶妙のバランスでいただくこと
  3. 生きる力の濃縮カプセル「タネ」である米を丸ごとに近い形でいただくこと


を説明しました。 今回は「いのちの成分」をいただくもうひとつの方法=微生物を食べる話です。

逆境こそが生命を育てる「生命育成の原理」

地球でいちばん最初に誕生した生命は微生物です。長期間何も食べなくても、カラカラに乾いたとしても、そう簡単には死なないこの微生物の出す成分(微生物代謝物質)は、未解明の部分が多いのですが、私たちの健康に非常に役立つことが分かっています。
クロレラやさまざまな乳酸菌生成物質関係のサプリメントには素晴らしい効果があることが知られていますし、日常の食生活でも味噌、醤油、酢、納豆、沢庵、漬物、塩こうじ、甘酒など、私たちは日頃からさまざまな発酵食品を通じて、地球でいちばん強い”菌ちゃん”の生きる力をいただいているのです。
野菜は生で食べたほうが酵素まで壊さずにいただけますが、歯で噛んだくらいでは1つひとつの細胞の細胞壁をほとんどつぶしてしまうことは不可能ですし、生のままでは大量に食べられません。反対に加熱すると酵素は壊れてしまいますが、ほとんどの細胞が破壊するので生に比べて数倍~100倍のファイトケミカルを吸収できます。どちらも一長一短です。
そこで、沢庵や漬物など野菜を発酵食品にすると、ファイトケミカルも酵素も両方いただけるし、さらにかさが減ってたっぷり食べられ、さらに微生物代謝物質までいただけます。日本の伝統食は理にかなった、とてもぜいたくな食べ方だったのです。試練を与えられると、それでも生き延びようと活性化し、試練を乗り越える能力を身に付けるのが、生命育成の原理です。例えば、植物の場合だと、土が乾燥してくると根を下に張り、葉の表面のクチクラ層を厚くしますし、寒くなると、細胞に養分を溶かして浸透圧を高めて凍らない体にします。人の体でも、寒さが続くと皮膚や皮下脂肪を厚くします。
走ると足が強くなります。生き物は厳しい環境に遭遇した時こそ、それでも死なないように活性化して能力を上げるようです。この原理でつくられたものがEM健康飲料「EM・XG」と思われます。
発酵食品といえば、ヨーグルトのように乳酸菌が最も好む最適環境にすることで、どんどん子どもを産み、1日で食品として完成するものもあります。これに対して、寒くて非常に塩辛い厳しい環境の中を微生物が長期間耐えて生き抜き、少しずつ増殖してできた味噌、醤油、沢庵などの日本型長期発酵食品には、困難を耐えて耐え抜いた菌ちゃんたちのすさまじい生きる力(微生物代謝物質)がギュッと詰まっているのではないでしょうか。

見極めよう、菌ちゃん食品もどき

ただし、見た目は同じでも、この菌ちゃんパワーがほとんど入っていない発酵食品もあります。見分け方は簡単で、商品の裏のラベルを見て、原材料の欄に自然の産物だけが書かれていればOKです。いくつかの例をお見せしましょう。 醤油の例です。左が本物。小麦と大豆と米と塩だけで醤油の色と味、香りができています。しかもすべて国産!それに対して右は、砂糖に調味料に甘味料を入れています。それらを入れないと、醤油の味が十分に出ないのです。さらにアルコールも加えています。そうしないと品質が変化してしまうからです。では、左側は味の添加物も保存のための添加物も入れないのに、どうして深い味わいがあり、右側より長くまで品質保持ができるのでしょうか?それが、微生物代謝物質=菌ちゃんパワーがあるか無いかの違いなのです。どちらも同じメーカー。醤油を知り尽くした老舗メーカーとして、本当は左をもっと買って欲しいのですが、企業には従業員の生活がかかっています。売れるものをつくるしかありません。
これは別のメーカーですが、このレベルになると、黒い絵の具入り味付け水と言えるかも知れません。これは別のメーカーですが、このレベルになると、黒い絵の具入り味付け水と言えるかも知れません。しかも菌ちゃん食品のはずなのに、殺菌剤まで入っています!これは似せ物ではなく偽物ですね。菌ちゃんパワーはないどころか、おなかの菌ちゃんに有害でしょう。 写真は田舎みそのラベルです。次の写真は田舎みそのラベルです。名前は田舎みそと書かれていますが、大豆、小麦、塩以外にいろいろ書かれています。発酵力が弱いので、色など品質が劣化しやすく、そのため漂白剤と合成着色料が添加されています。合成着色料と書くとイメージが悪いので、V・B2と表記されています。
私たちは醤油の味、味噌の味を楽しみながら、実は菌ちゃんパワーをつないでいる!のです。と、いうことは、安いものは、安さ以上に中身がない、とても損な買い物をしているわけです。
ところで、ここまでの連載は、野菜・海・種・菌といった「いのちの成分」を食べることに焦点を当てて説明してきました。もう1つのテーマは、いただいたいのちの成分をしっかり吸収するために、おなかの中を発酵環境に保つことです。菌ちゃんを食べることは、このことにも役立っています。詳しくは次回。

【吉田さんの講演・イベント予定はこちらから】
https://kinchan.ocnk.net/page/3