
働く場から生まれる“甘い挑戦”
福島県伊達市を拠点に、障がいのある方の就労支援や日常生活のサポートに取り組む社会福祉法人ひろせ福祉会。
20年以上にわたり、家庭生ごみを堆肥化する「発酵ぼかし」の一部製造を、同市に本社を置くマクタアメニティ株式会社(以下マクタアメニティ)から委託され、自治体や生活協同組合などに供給してきました。
また、ひろせ福祉会が運営する「就労継続支援B型事業所 工房ひろせ」では、一般就労が困難な障がい者に就労機会を提供しています。その一環として、農地所有適格法人の資格を取得し、農地や温室を活用した「農福連携事業」にも取り組んでいます。FGAP※1の認証を得たシャインマスカット・アスパラガスや地域特産の「あんぽ柿」の生産がその代表例です。
これらの生産活動を通じて働く場と学びの機会をひらき、収穫から袋詰め・出荷、加工までを地域の小さな循環として育てています。
彼らにとって畑は、働くことのよろこびと作物の手応えがまっすぐ返ってくる学びの現場となっています。

春、ぶどう棚にEMを仕込む
はじまりは2025年の春。
ブドウの樹が芽吹く少し前、有機循環システムや農業DⅩ(Digital Transformation)を手掛けるマクタアメニティの勧めで、工房ひろせでは(株)EM研究所からEMバイオ炭(EM整流炭)やEM活性液、EM・3Sなどの資材や情報提供を受け、シャインマスカット畑のEM整流試験をおこないました。
今回使用したEMバイオ炭は、くん炭にEM・1とEM・3をしみ込ませたもの。
<詳しくはこちら>おしえて!いまむらさん『サツマイモ農家も実感!EMバイオ炭の効果」』
伊達市の畑で、EMバイオ炭を株元から約1m離れたところ4か所に埋め込みました。さらに、EM活性液とEM・3Sを潅注し定期的に散布しながら栽培しました。


容赦ない夏、それでも糖度20%超
容赦ない夏の暑さ。
暑さ全国1位を記録するほどの地域でも樹はへこたれず、2025年9月中旬、予定通りに収穫がスタート。
試しに収穫物の糖度を測ってみると……EMバイオ炭を施用した場所ではなんと20%超。未施用区でも18%未満。
農場を管理する指導員の安藤さんも「EMバイオ炭による品質向上には驚いた」と語ります。
収穫されたシャインマスカットは袋詰めして地元の道の駅などで販売するほか、脱粒したものは乾燥させて菓子加工に利用されます。

AIが証明した“甘味と旨味”
さらに人工知能(AI)を用いた画像解析による味覚判定でも「甘味・旨味が高い」との評価。ひろせ福祉会の三浦理事長も、初年度からの成果に大きな手応えを感じています。
AIを用いた画像解析技術「おいしさの見える化」※2は、マクタアメニティが経済産業省の事業認定を受けて構築したもので、農林水産省「みどりの食料システム戦略」技術カタログにも掲載されています。
以下は「おいしさの見える化」で解析した結果です。

AIによる味覚解析の結果、赤で示した本園のシャインマスカットは、標準値(青)を上回る甘味と旨味を示し、酸味はやや控えめ。
畑で感じた“確かな手応え”が、数値としても表れました。
福島から広がる希望の循環
東京電力福島第一原子力発電所事故による除染土の再生利用など、福島県には依然として復興に向けた課題が残されています。しかしその一方で、地域社会と連携した先駆的な挑戦も力強く進められています。
今回の試験結果は、EM整流技術で品質の良いブドウができる可能性が見えてきました。この技術を生かし、利用者が働きやすい空間づくりと、おいしい農作物を消費者の方々に届けたいと思います。

※1 FGAP・・・放射性物質対策を含めた福島県の基準に基づき、GAPを実践する生産者、団体を県が認証する制度。詳しくはこちら<https://gap-fukushima.jp>
※2「おいしさの見える化」について詳しくはこちら<https://makuta-amenity.com/iot/>







