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菌ちゃん農法の失敗を防ぐ|吉田俊道さんの「進化版」3つのポイント

『進化版 微生物の力だけで奇跡の野菜づくり 図解でよくわかる菌ちゃん農法』

菌ちゃん農法が生まれた背景

近年、地球環境への配慮や食の安全への関心から、無肥料・無農薬で野菜を育てるオーガニック菜園に注目が集まっている。その中でも、土壌中の糸状菌(キノコ菌)を活性化させて大自然の循環を再現する「菌ちゃん農法」は、多くの実践者を生み出してきた。しかし、SNSなどの断片的な情報をもとに自己流で挑戦し、思うように成果が出ずに挫折してしまった人も少なくない。そうした実践者たちの「つまずき」を解消し、より簡単・確実に成功へと導くために上梓されたのが、提唱者である菌ちゃん先生こと吉田俊道さんの最新の知見が詰まった本書である。

失敗の原因である「腐敗」を防ぐ

本書の最大の価値は、これまでの「無肥料・無農薬」という根本的な魅力や哲学はそのままに、日本全国から集まった膨大な実践データをもとに「失敗の原因(腐敗)を先回りして防ぐ」ための具体的な改善策が完全マニュアル化された点にある。「失敗の原因」は、土壌の「腐敗」で、いかに「発酵」型にしていくかが課題だ。

進化版で変わった3つのポイント

これまでの初期の農法と、本書が提示する「進化版」との間には、主に3つの大きなアップデートが存在する。

  1. 資材の「混ぜ方」を改善
    第1に、菌ちゃんのエサとなる資材の「混ぜ方」の劇的な改善である。従来は高畝の中に丸太や小枝、落ち葉、草などをただ層のように積み重ねていく手法が一般的だった。しかし進化版では、これらと土を適度に混ぜ合わせるやり方が重視されている。この変更により、土の中で部分的に水が溜まって発生する「腐敗層(嫌気性で悪臭がする状態)」を防ぐことが可能となった。酸素が遮断された腐敗環境を回避することで、好気性である糸状菌がより縦横無尽に働きやすい、理想的な土壌‐発酵型の環境が作られるのである。

  2. 草だけでも作れる新提案
    第2に、身近にある「草」だけでも作れるという新提案だ。これまでは糸状菌を長期間定着させるために、分解の遅い硬い「木や竹の枝」をしっかり入れることが基本とされてきた。そのため、都市部の住宅街などでは資材の調達自体がハードルとなっていた。しかし進化版では、「草を積むだけ」でも立派に野菜が育つ手軽な方法が正式に加わった。これにより、初心者や資材集めに悩んでいた人でも、今ある環境からすぐにスタートできるようになった。

  3. 地域・気候差への対応を強化
    第3に、日本全国の「地域・気候差」への対応が強化された点である。寒冷地や雨の多い地域で同じように作ると糸状菌がうまく増えないケースがあった。本書では、北海道をはじめとする寒冷地での具体的な取り組み方や、場所・時期による失敗パターンを徹底的に解析。Q&A形式などでトラブルへの対処法が格段に充実しており、居住地を問わない再現性を獲得している。

3通りの菌ちゃん農法

無肥料の菌ちゃん農法(糸状菌:木の枝や葉っぱ)、草マルチの菌ちゃん農法(糸状菌・細菌:草)、生ごみの菌ちゃん農法(主に乳酸菌)と3通りの方法が勢ぞろいした。

尚、生ごみの菌ちゃん農法では、塩やEMボカシを使用して生ごみを漬物にする方式には変わりはないが、土と深く均一に混ぜ合わせることがより強調されている。

土と対話しながら、豊かな収穫へ

自己流の罠に陥りがちだったポイントを正しく修正した、まさに「菌ちゃん農法」の決定版と言える。自然の力を借りる農法は一見すると放置しているように見えるが、そこには緻密な科学と生態系への深い理解があることを本書は教えてくれる。失敗を未然に防ぎ、土と対話しながら豊かな収穫を目指したいすべての人に、自信を与えてくれる一冊だ。さらに「菌ちゃん先生の食べ方入門」(河出書房新社)を読めば、菌とつながる農法がいかにすぐれているかを知ることができる。さぁ、有用微生物を味方につけて畑仕事を始めよう。

書籍情報

  • 出版社:家の光協会
  • 発売日:2026年8月28日
  • 言語:日本語
  • 本の長さ:208ページ
  • ISBN-10:4259568825
  • ISBN-13:978-4259568825

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目次

  • 第1章 菌の力を生かした理想の土とは?(菌を生かせば、虫も病気も寄りつきにくくなる;たくさんの微生物が野菜の命を支える ほか)
  • 第2章 実践!「無肥料の菌ちゃん農法」の土づくり(土づくりは最初が肝心;実践!土づくり ほか)
  • 第3章 草や生ごみを生かした菌ちゃん農法(草で土づくり;生ごみで土づくり ほか)
  • 第4章 菌の力を借りる植えつけと種まきのコツ(無肥料の菌ちゃん農法の植えつけと管理;植えつけと種まきの基本 ほか)
  • 第5章 菌ちゃん野菜の魅力と育て方(ジャガイモ;リーフレタス、サンチュ ほか)