レポート(トピックス)

土から始まる食養生~ガーデナー高橋妙子さんの農園

美容師の高橋妙子さんは、数々のコンテストで受賞歴のあるベテランガーデナーです。ことに農薬や化学肥料を使わないプランター栽培の花たちは注目を浴びてきました。(参照:旧サイト連載<妙子さんの花づくり365日>)
しかし、ここ数年お連れ合いの病気、自身の肩の故障で花づくりは一時休止しなければならない事態になってしまいました。そんな中で高橋夫妻を救ったのがガーデンと共に楽しんできた100坪の家庭菜園です。農作業が妙子さんのリハビリになり、収穫物の野菜はご夫婦のいのちを支えることになります。

土が大事

妙子さんの家庭菜園は慣行栽培をしていた農地を借りた17年前から始まります。農業の経験はありませんでした。そこで花づくりで知ったEMボカシ、EM生ごみ堆肥やEM活性液などを使い土づくりからスタート。元気な野菜を育てるコツは、花と同じく野菜の特性を知ることだと気づきます。㏗計で土壌酸度を調べて野菜の好む環境を整え、必要なら有機石灰を入れて㏗調整をします。また、季節ごとに発酵鶏糞、発酵牛糞と糖蜜発酵液を施します。こうして手をかけた畑には年間約100種の野菜が育つまでになりました。

こだわりは自家採種

野菜作りで妙子さんがこだわっていることは2つ。1つ目のこだわりは、スーパーに滅多に並ばない珍しい野菜や、スーパーで買ったら価格の高い品種を選んで植えること。2つ目は完全無農薬野菜を栽培するための苗を種から育てることです。


すでに化学肥料や農薬が使われている市販の苗は有機の土に馴染まないと妙子さんは考えています。トマト、ナス、パブリカ、キュウリ、キャベツ、トウモロコシなど、育てるのが難しい2月の中旬頃にあえて種まきをします。 イモ類は失敗を避けるために芽出しをしてから植え付けます。ジャガイモの芽出しは、種芋を日の当たる窓辺で新聞紙の上で約一ヶ月位おきます。(品種は、グランドペチカ、ノーザンルビー、レッドムーン、シャドクイーン、ピリカなど)

 サトイモの芽出しは種芋を並べて、土、枯草、ビニールの順で覆い約二週間後根が出る前に堀りおこします。(品種は海老芋、赤目(セレぺス)など)。ショウガの芽出しは、一個60g位に手で割り、霧吹きしたキッチンペーパーで包み、フリーザバックに入れて口を少し開けておきます。時々キッチンペーパーが乾いたら霧吹きをかけます。約一ヶ月位で芽が出てきます。「ひと手間かける」。これが妙子さんのこだわりですが、このひと手間がすばらしい収穫につながるようです。

加工も自分の手で

健康食品も裏の表示を見れば添加物だらけで、納得いくものは自分で作るしかありません。 便利な自動調理器を揃え自分で育てた野菜を加工して自家製のサプリメントを作るというのが妙子流です。菊芋、ウコン、生姜、ケールなどを家庭用食品乾燥機で乾燥させた後、ミキサーでパウダー状にして保存します。

さて、高橋家の食卓を紹介しましょう。主食は年契約で購入したEM栽培の玄米を自動調理器で作る発芽酵素玄米。自家製ヨーグルト、塩麹、醬油麹、生姜麹、甘酒などのほか、味噌、もろみ味噌、奈良漬、パンも手作りです。ことに自動発酵器で10日間熟成させた自家製黒ニンニクは最高の抗酸化サプリメント。家庭菜園で育った旬の有機野菜と発酵食。こうした食の積み重ねの結果、以前のようにそれぞれの趣味に生きる毎日を取り戻した高橋さんご夫妻。医食同源、健康な土からうまれた食がなにより大事なことを教えてくれます。

(文責:小野田)

 


<PROFILE>
たかはし・たえこ / 高橋妙子
熊本県出身大阪府在住。美容院経営。ガーデナー歴35年、家庭菜園歴17年。趣味は、編み物・ガーデニング・ピアノ・卓球。特にガーデニングはコンテスト受賞多数。肩の腱板断裂でガーデンは休止中だが畑仕事はできるまでに快復。