新・夢に生きる | 比嘉照夫

第210回 グアテマラにおけるEMの普及状況

グアテマラにおけるEMの普及は、EARTH大学の卒業生を中心に、いまや全国各地へと広がりを見せています。

導入初期は河川の浄化に焦点が当てられ、特に首都近郊のアマティトラン湖では、EMを添加した水質改善の試みが本格的に展開されました。EMが増殖しやすい環境をシステムとして整備することで、湖全体の自然浄化を促進。その結果、流域の生態系が回復し、水辺の環境が豊かさを取り戻すという成果が報告されています。

今回紹介するのは、花卉栽培が盛んなグアテマラの高原地域での活用事例ですが、コロンビアのカーネーション栽培の活用方法が中南米のすべてに行き渡っています。

グアテマラの農家では化学資材を減らしながら、持続可能で収益性の高い生産を実現しています。
EM技術で花の品質と収量が向上しました。

以下、現地からの報告です。

化学資材に頼らない花卉栽培を目指して

首都グアテマラ市から北西に約32km、標高1,800mに位置するロマ・アルタ村。この地域は、バラやカーネーション、ユリ、ガーベラ、カスミソウ、キクなどの栽培が盛んで、主にメキシコ、欧州、米国、中東などに輸出されています。地域に根ざした産業として、経済的にも社会的にも重要な役割を果たしてきました。

しかし、農家たちは深刻な課題にも直面していました。

  • 化学肥料・農薬への過度な依存

  • 土壌の劣化と微生物バランスの崩壊

  • 花の品質低下と日持ちの悪化

こうした問題は、生産性や収益性の低下だけでなく、環境や健康への影響も懸念されていました。

 

EMで変わる!花の健康と地域の未来

EMの導入により、農家たちは持続可能な栽培への転換を進め、EM・1を用いた以下のような対策が行われました。

  • 土壌環境の改善(微生物バランスの向上)

  • 根の発達促進と病気予防

  • 鶏ふんとの併用による土壌の栄養バランス調整

こうした取り組みによって、健康で力強い母株の育成が可能となり、苗の生産性や品質も向上。15日ごとの安定した収穫が実現し、生産サイクルがスムーズに回るようになりました。

 

数値が物語るEMの成果

その結果、EM技術を導入した効果は、以下のような明確な数値で裏付けられることとなりました。

  • 化学肥料の使用量を50%以上削減

  • 農薬の使用量を最大75%削減

  • 植物の根が強化され、花の形状や色味、保存期間が大幅に向上(最大20日間)

  • 一株あたりの茎数が増加し、枯死率も低下

  • 肥料臭やハエの発生が抑えられ、作業環境も改善

  • 成長期間が15日短縮、年3回から4回の収穫が可能に

  • 資材費の削減と収入の増加により、1サイクルあたりの収益が20%アップ

  • 防カビ剤・殺菌剤の使用ゼロでも安定した品質を維持

<左>EM・1を使用した移植後21日の根の様子、<右>葉色良く、花の色はより鮮やかに

 

 

世界とつながるEMの輪

2024年には、ロマ・アルタ村で「再生型農業に関する国際セミナー」が開催され、グアテマラの農家たちが中南米各国の参加者にEM技術の成果を紹介しました。現地での栽培実例や改善効果に、参加者たちは驚きとともに深い関心を寄せていました。

再生農業に関する国際セミナーでの現地視察

EMは単なる技術ではなく、人と環境、そして未来をつなぐ【 善循環 】の象徴として、確かな歩みを続けています。グアテマラの取り組みは、日本の農業にとっても新たなヒントを与えてくれるでしょう。

(出典:「花卉栽培における化学薬品の削減と収益向上|EM GROUP JAPAN」)
>導入事例の詳細はこちら(EMROサイト)

 


ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、<公財>自然農法国際研究開発センター評議員、<公財>日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長<平成3年~平成28年>。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」<サンマーク出版>、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」<綜合ユニコム>、「微生物の農業利用と環境保全」<農文協>、「愛と微生物のすべて」<ヒカルランド>、「シントロピーの法則」<地球環境共生ネットワーク>など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」<文芸アカデミー>を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。