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放射性物質の暫定基準値の怪

各地で米の収穫が続いています。福島県の二本松市の米は国の安全暫定基準値のkgあたり500ベクレルを上まわったため、廃棄することになりました。この場合、499ベクレルであれば基準値以下なので安全としてよいか否かと問われると、100%の人が安全でないと思っています。

8月下旬に収穫された茨城県北部の早場米で52ベクレルという測定結果が出た時点で、マスコミは国の基準の約10分の1なので安全であると報道していました。いつの間にか、国が緊急的な対応として出した暫定基準が一般的な安全基準にすり替わり始めています。

国も福島県も暫定基準値以下のものは、あたかも安全であるかのように福島の農産物を買うように様々なキャンペーンを行っていますが、このレベルで風評被害を防ぐことは困難です。

国際的な放射線防護の考え方は、被爆線量に「これ以下は安全という値はない」という前提で、「合理的に達成可能な限り低く」となっています。現在の我が国の放射性セシウムの基準値は、飲料水や牛乳などの液体が200ベクレル、野菜、米、果実や卵、肉類が500ベクレル、牛の牧草は300ベクレル、水田の土壌5000ベクレル、有機肥料400ベクレル、海水浴場50ベクレルとなっています。

この数値は、素人が見ても極めて奇妙であることがわかります。毎日飲む飲料水や牛乳は200ベクレルに対し、飲料外である海水は、その4分の1の50ベクレルとなっており、本来なら逆の関係にあるべきです。また、なぜ牛が食べる牧草が300ベクレルで、人間が食べる野菜や米や果物、肉、卵などなどが500ベクレルなのか。この場合、人間よりも牛が大事と考えているのか、人間は牛よりも放射性物質を排出しやすいからと考えているのか。その設定の根拠はなく、牛は牧草をたくさん食べるからという感覚的なもので決められています。

このような根拠のない、暫定的な数値がいつの間にか安全基準化され、マスコミも基準値以下であれば食品は499ベクレル、水や牛乳は199ベクレルでも「おとがめなし」として報道しなくなり、日本中の国民が放射能汚染食品を安全だと思って食べつつあります。

さらにおかしなことに、お米をつくる水田土壌は5000ベクレル、それに対し、堆肥や腐葉土などの有機肥料は400ベクレルとなっており、10aあたり多くても数トンしか使わない堆肥を厳しく規制し、水田は5000ベクレルを超える特定な地域を除いて「おとがめなし」は、風刺マンガにもなりません。

では、安全というレベルはどの程度かといわれると、測定の結果、検出限界値以下ということになりますが、少なくとも長年の経験を持つウクライナやベラルーシ(チェルノブイリ被災地)の基準以下にすべきです。両国の食品や飲料の基準は、50ベクレル以下となっています。

EMによる農産物の根本的な放射線対策

チェルノブイリの経験則は、50ベクレル以下なら絶対に安全というものではありません。「50ベクレル以下、限りなく低く」ということが基本ですが、事故から20年も経った現在では牛乳やその他の農産物の大半が50ベクレル程度に下がっているという実態もあります。私は、これまでにEM飲料によるベラルーシの子どもたちに対する内部被爆対策について何回も述べましたが、対象となった子どもたちが日常的に食していた農産物(牛乳を含む)は、50ベクレル程度であったということです。

すなわち、ベラルーシの子どもたちは日本の基準の10分の1以下の安全と思われる農産物を食していても、セシウム137の身体的放射線量はいつの間にか30ベクレル以上、中には170ベクレルを超えている例も多く、安全といわれた主都ミンスクの中学生で250ベクレルを超える例も認められています。

すでに述べたように、セシウム137の身体的放射線量が15ベクレルを超えると免疫力が低下し、20〜30ベクレルで白血球が減少し始め、80〜100ベクレルでチェルノブイリエイズ、すなわち放射線による免疫不全症候群に陥ってしまうという疫学的な裏付けもあります。その様な背景を考えると、52ベクレルのお米が安全だということにはなりません。

注目すべきは、農水省の決めた水田の5000ベクレルという基準です。お米が500ベクレルを超えた二本松市の水田は、農水省の基準よりもかなり低い3000ベクレルの水田で発生したことであり、茨城の場合は1000ベクレルの水田のお米が52ベクレルであったことです。すなわち、農水省の定める基準の5分の1以下の汚染地帯でも、安全な米にはなっていないということであり、関東・東北のかなりの水田も同じレベルと考えて差しつかえない状況になっています。

このような状況に対する根本的な対策は、EMを徹底して使い、放射性元素を検出限界値以下にする以外に方法はありません。EMを使った場合、6000ベクレルを超える汚染土壌においても検出限界値以下になっており、これまでの30件以上の調査でも、すべて検出限界値以下、または検出されずとなっています。

EMの使用量は、10aあたり50〜100リットルの活性液を使用することを目安にしますが、当初はその2倍を使用します。検査の結果、検出限界値以下または検出されずであれば、次回からは50〜100リットルで十分です。汚染レベルが高い場合は、EM3号(光合成菌)を10〜20%添加します。とは言え、せっかくEMを使うのであれば、さらに徹底し、安全でおいしく、多収で高品質の限界突破に挑戦したいものです。

そのためには、百倍利器のようにEMを大量に培養できる装置を農機具と考えて購入し、水田や畑地を年中EMだらけにするという管理法に切り替える方が得策です。タンクを含めシステム全体で100万円以下ですので、農機と見なせば安いものです。その結果は、水田の除草剤はもとより、大半の農作物を無農薬にすることも可能となります。

ここで問題なのは、事故を起こした東京電力の責任です。国は水田に関しては、5000ベクレル以下という線引きと、それ以下でも生産物のkgあたりの放射線量が500ベクレル以上のものは廃棄という線引きを行っています。この基準は補償の基準になり始めています。すなわち、5000ベクレル以下の土地で500ベクレル以上の汚染農産物が出た場合は、政府の責任で補償するが、それ以外は安全なので各々の責任で対応するようにということです。東京電力としては免罪符をもらった形になりそうです。

すでに述べたように、政府の基準は世界に類例のない高い数値であり、でたらめと言っても過言でないひどいものです。事故を起こした当事者は、現状回復の義務を負っています。したがって、東京電力は日本中のすべての地域で放射性物質が検出限界値以下になるまで浄化の義務を負っています。わずかでも放射能汚染が発生した地域は、そのことを忘れずに東京電力に現状回復を求め続ける必要があり、東京電力はそれに応える義務があります。無理難題を押し付けている訳ではありません。これまで述べたように、EMを空気や水のごとく使えば解決する問題であり、コストも安く、確実に実行できるからです。

(2011年10月3日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。名桜大学国際EM技術センター所長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)など。


 

 

 

農地土壌の放射性物質濃度分布図(農林水産省・農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について

 

地表面から1mの高さの空間線量率(文部科学省・放射線モニタリング情報より

 

地表面へのセシウム134、137の沈着量(同上)

 

EM研究機構の研究員(飯舘村の試験圃場にて)

 

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