EM柴田農園の50から畑人 | 柴田和明・知子

Part.2 第11回 EM栽培と有機栽培について

EM栽培と有機栽培(オーガニック)とは何が違うの?

EMの勉強会(お話会)や農園見学会に参加された方から、EM柴田農園は有機栽培ですか?とか、栽培しているのはオーガニックの野菜ですか?と聞かれることがしばしばあります。
その様な時には「EM柴田農園は有機栽培ではなく、EM栽培です」とお答えしています。これってどういう事なのでしょうか。今回はEM栽培と有機栽培の違いについて考えていきたいと思います。

EM栽培と有機JASについて

EM柴田農園はEMを活用して野菜を栽培していますが、EM栽培=有機栽培だと思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。EM栽培は有機栽培ではありません。

「EM栽培」には「有機栽培」のような厳しい基準はありません。確かに有機JASの取得は望ましいことですが、認証を受けるための費用や事務処理に関わる時間を敬遠して取得しない農家さんも多くいます。大規模な農家さんがEMを活用し、有機JASに匹敵する野菜づくりをされていたり、化学肥料や農薬を併用しながら多収穫を目指したり、EM活性液を使ってEMボカシや独自の有機発酵肥料をつくり味の追求や高糖度の野菜を目指している農家さんもいらっしゃいます。また果樹など無農薬では難しい栽培にEMを活用し減農薬で栽培をしている農家さんなど一言でEM栽培と言ってもひとくくりにできない程、栽培方法は多岐に渡っています。

今更ですが、EM柴田農園は有機JAS認証を取得していないので「有機栽培」とか「オーガニック」とはいえません。したがって、私の場合は「栽培期間中、化学肥料と農薬を使っていません」とお伝えしているのです。

EM柴田農園の案内リーフレット


有機JASってどういう事

自然農法センターのJASマーク

「有機」「オーガニック」と表示できるようにするには有機JASの認証を受けなければなりません。もちろん第三者機関から厳しい審査を受け、承認された農家さんだけが、あの有機JASマークのシールを貼る事ができるのです。

有機農産物の生産とは化学肥料・農薬(有機JAS法で認められていないもの)を使わず、農地本来の地力を生かし環境への負荷をできるだけ低減した栽培方法なのです。

最近「サスティナブル」という言葉をよく耳にしますが、有機農法こそがサスティナブルな農業と言えるでしょう。

家庭菜園を始めたい方へ

この連載の読者の中には家庭菜園を始めたいと思っている方も多いかもしれません。もちろん農家ではありませんから有機JASの認証を受ける必要はないですが、できれば有機JASで認められた資材以外は使わない栽培をお勧めします。有機JAS認証についての詳細は(公財)自然農法センターにお問い合わせください。

(公財)自然農法センター webサイト

とはいっても農薬を使わなければ病害虫対策ができないと思っていませんか?

農薬や化学肥料を使わなくても健全な生育をしている野菜に虫はつきません。虫がつく(好む)のは弱っている野菜や、一生を終わろうとしている野菜なのです。では虫がつかない野菜をつくるには何をすれば良いのでしょう。それは健全な土づくりをすることです。健全な土づくりをすることで病気や虫に負けない元気な野菜作りができます。それには土壌改良資材のEMを活用することが一番の近道だと思います。

理想はEM栽培+有機JAS認証

すでにご存知だと思いますが、沖縄のEMウェルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾートのレストランではオーガニックの野菜が提供されているので、EMを知っている人ばかりでなく、近隣の方や口コミなどで遠くから足を運んでくる方など、ランチは順番待ちで並ぶほど大人気です。その野菜を作っているのが直営農場のサンシャインファームです。EMを最大限活用した農場ですが、さらに有機JASの認証を受けているので理想の農場といえるでしょう。

サンシャインファームではホテルから出た食物残渣をEMで発酵させ農場の肥料や養鶏などで活用されています。

皆さんは有機JASを取得し、そのうえEMも使っている農家さんの心当たりがありますか?

なかなか見当たらないですよね。

私の農園がある栃木県那須塩原市のお隣、別荘地や御用邸で有名な那須町には有機JAS+EM栽培の農家「那須高原農場スノ・ハウス」さんがあります。

次回から那須町の中でも冷涼な気候を活かし那須高原でレタスを年間を通じて生産されている「那須高原農場スノ・ハウス」さんの野菜栽培の様子を紹介したいと思います。そしてさらに有機栽培の奥深さを知っていただけたら嬉しいです。

 

【柴田さんへの質問はこちらから】<Web Ecopure お問い合わせフォームへ>



<PROFILE>

柴田和明(しばたかずあき) 会社退職後、約2年間栃木県農業大学校で農業を学び、その後トマト農家で1年間研修を受け就農。 柴田知子(しばたともこ) 会社退職後、東京農業大学(世田谷区)オープンキャンパスのカレッジ講座で野菜や果樹の育て方、スローフード、発酵などの講座を受講。EM柴田農園では、種まきから仮植、種取りなどの細やかな作業を担当。