農耕の季節になりました。ホームセンターや種苗屋さんの店頭に夏野菜の苗が多種多彩に並んでいます。昨年来の食の危機感、食料品価格高騰などから「農」への関心が高まってきているようです。
近所の種苗屋さんに聞くと、野菜づくりに取り組む人たちが増えてきていると言います。
ミロクコミュニティ救世神教(三重県津市・以下:MC)では、自給自他足を目指して「みろく菜園」に取り組んでいる信徒さんが2025年5月には1834人に達したそうです。
「みろく菜園」とは、田畑やプランターで米や野菜栽培に取り組んでいるMC関連の拠点で、全国に46カ所あります。キーワードは「自給自他足」で、収穫物だけでなく栽培技術も惜しみなくお裾分けした共存共栄をめざしています。ここでは、微生物を活用した自然農法の実践の場として農業を「農行(のうぎょう)」と位置づけています。
「みろく菜園」からヒントをいただいて、今回のテーマは「プランターで取り組む農行、土づくりのHow to」です。
プラスアルファで自給EM資材
2013年をスタートに自給自他足を目指してみろく菜園づくりを提唱してきたMCでは、毎月の勉強会や講座を通してEM技術プラスアルファの技術進化を見せています。講師の小川敦司さん(自然農法指導士・地球環境共生ネットワーク理事・執行役員)はEMの開発者琉球大学名誉教授の比嘉照夫教授が発表されるEMの最新技術を徹底して研鑽し、比嘉教授の助言を得ながら試行錯誤を重ねて独自の技術に再現してきました。
そうした進化の一例が、「スーパーEMボカシ」の考案です。
一般的なEMボカシは、米ぬかにEM活性液・EMセラミックス・もみ殻を加えて仕込みます。
それに対し、EM整流もみ殻くん炭、廃菌床(産業廃棄物として廃棄される菌床を無料で入手し、塩入りEM活性液を散布後、ブルーシートで覆って追熟・一定期間寝かせて使用)、グラビトロン炭、EMセラミックスを加えた「スーパーEMボカシ」を考案。
勉強会や講習会を通して試用したところ、「生育が良い」「病虫害に強い」など良い反響があり、どんどん広がり、今では農行の必需品になっています。
このようにMCでは独自の工夫を凝らした資材を使うことで、クオリティが高い自給自他足農行を実現しています。
しかしながら、これから始めようとする人にはハードルが高くて、誰もが簡単に挑戦できる農業ではない、と二の足を踏んでしまうのも否めません。それでも、入手できる資材で工夫して結果を出しているのであればチャレンジするのも一考かと思われ、つくり方レシピを公開していただきました。詳細レシピはこちら。
<山路 誠二農法部長からのアドバイス>
「畑がなくても育てられる!都市菜園スタイルのススメ」
「都市部に住んでいて野菜づくりをしたくても利用できる土(畑)がないのですが」
農法部によくある質問です。確かに都会などでは土(畑)を準備するのが難しいようですので、ホームセンターで手に入る有機培養土を使ったプランターでの土づくりをお奨めします。
プランター以外にバケツの応用も楽しいですよ。

<右>ミニトマト、プランター栽培で鈴なりに!(小川敦司さん / 三重県四日市市)



い!(石黒みゆきさん / 愛知県名古屋市)
「プランターだって立派な農行だ」
<小川 敦司さん(自然農法指導士・地球環境共生ネットワーク理事・執行役員)>
全く土地のない方もプランターなら、かなり狭い場所でも作物を育てることが出来ます。最初の土づくりの時に、土にスーパーEMボカシ<300g~1㎏>(プランターの大きさによって違います。最初は多めに)とEM整流もみ殻くん炭を混ぜ込んでください。数日後には土が出来ます。
MCの最新農行では、プランターでも畑でもEMによる結界をつくることを重要視しています。プランター栽培ではプランター内部の四隅にスーパ―EM団子を配置することで根の張り具合が良くなり、生育も順調など、結界として十分な役目を果たすことが分かってきました。また、スーパーEM団子は塩入なのでナメクジにも効果があり、ボカシも入っているので追肥にもなります。
ご紹介するMCオリジナルのレシピはMCで大量に製造するときの数量のため、単位がプランター1個向けには当てはまらず、あくまでも参考レシピとして活用してください。

小川さんオリジナルEM資材の作り方
1.塩入EM活性液(※海水でつくった海水EM活性液でも良い)
材料 | 必要量 |
---|---|
EM活性液 | 2L (EM1+糖蜜+水で培養、発酵熟成した1次培養液) |
塩 | 60g |
2. (完成量 約5kg)
材料 | 必要量 |
---|---|
もみ殻くん炭 (ホームセンター等で購入) |
20L(約3kg) |
塩入EM活性液 | 2L |
EMスーパーセラ発酵C または EM菜園パウダー |
200mL(約120g) |
EM・3(またはEM・3S) | 100mL |
もみ殻くん炭は燻炭器ともみ殻があると比較的容易に作ることが出来ますが、野焼き(野外焼却)は原則禁止で難しいです。農業では廃棄物の焼却として認められるので、MCでは該当地区のグループがまとめて製造し、配布しています。
3.スーパーEMボカシ
以下の材料を混合した後、すぐに使えます。
材料 | 必要量 |
---|---|
EM整流もみ殻くん炭 | 2.5kg |
廃菌床 | 6.5kg |
EMボカシ1型 | 3kg |
EMグラビトロン炭※ ※<お問い合わせ先> 株式会社EM研究機構 090-6869-2824 |
40g |
EMセラミックパウダー (EMスーパーセラ発酵C またはEM菜園パウダー) |
25g |
4.スーパーEM団子
すべての材料を丸めて4~7日程度でカチカチに固まったら完成です。
スーパーEM団子の材料を合わせたものを量産しておくと、スーパー団子づくりが容易になります。
(以下の資材量で、野球のボールくらいの大きさ約100個分を作ることが出来ます。)
材料 | 必要量 |
---|---|
土 | 14L(約10kg) |
EM整流もみ殻くん炭 | 300g |
塩 | 1.8kg |
EMボカシ1型 | 1㎏ |
EMグラビトロン炭 | 20g |
EMセラミックパウダー (EMスーパーセラ発酵C またはEM菜園パウダー) |
20g |
塩入EM活性液 | 4~5L |
プランターでの土づくり<準備するもの>
- EM整流もみ殻くん炭 ・・・ 1L
- スーパーEMボカシ ・・・ 1L
※効果を持続させるにはスーパーEMボカシが理想ですが、EMボカシⅡ型でも代用できます。 - EMセラミック(EMスーパーセラ 発酵C または、菜園EMパウダー) ・・・ 少量
※EM資材取扱店で販売しています。 - 塩 ・・・ 100g。
※普段使っている塩で可。大量に使う場合は工業用が安価。塩は通常、作物を枯らしてしまうがEMを活用することで原子転換が起こり、作物の養分となります。 - 10倍に希釈したEM活性液(またはEM・1) ・・・ 1~2L(EM活性液:水 = 1:9)
- スーパーEM団子・・・4個
- 有機培養土 × 50L(25L× 2袋)
- 大きめ(60L程度)のプランター × 1
※ 底面に水抜けの穴が無かったり小さかったりする場合は、あらかじめ工具等を使って穴を空ける - 鉢底石・・・10L
- ネット袋(鉢底石を入れるため)
プランターでの土づくり<土づくりの手順>
- トロ舟(ブルーシートや新聞紙でも可)に有機培養土全量<50L>を入れます。スーパーEMボカシ<1L>(EMボカシⅡ型で代用可能)を加え、EM整流もみ殻くん炭<1L>を入れる。次にEMスーパーセラ発酵C(またはEM菜園パウダー)<少量>と塩<100g>を加え、ていねいに攪拌します。
- 10倍に希釈したEM活性液<1~2L>をかけて、さらに攪拌します。EM活性液の量は土の湿り具合で調整します。
- プランターを準備して、ネット袋に入れた鉢底石を敷きます。
- トロ箱からプランターに土を移します。プランターの7から8分目まで土を入れます。土は多めの方が根が張りやすく、目安として根菜類は8分目まで、葉物類は7分目が好いでしょう。
- プランターの四隅にスーパーEM団子を置いて整流します。
- 2週間ほどで土は出来上がります。植え付けまでは週に2~3回の頻度で10倍希釈のEM活性液を散布します。